五輪まで1年、技術力アピール

株式新聞,高度道路交通システム
(画像=PIXTA)

東京オリンピック・パラリンピックまで1年を切った。予想される道路混雑に備え、首都高速道路や都内の一般道では24日に過去最大規模の交通規制の実験が行われた。「世界一安全で円滑な道路交通社会」を目指す政府は、来年の五輪を通じて「ITS」と呼ばれる高度道路交通システムの技術を世界にアピールする考え。注目される関連銘柄に迫った。

ITSは、最先端の情報通信や自動車の制御技術を活用し、自動車と道路、人との間にネットワークを構築し、渋滞や事故といった交通問題を解決する仕組み。政府が目標とする自動運転の実現に向けても欠かせない存在だ。

政府は1990年代半ばからITS構想を練っており、車両感知器など交通管制に必要な機器の整備を進めてきた。今後はIoT(モノのインターネット)を活用した車両データをビッグデータにより解析し、自動運転から交通事故の削減、渋滞緩和、新サービスの創出まで幅広く活用する。

ITS導入の流れは世界的にも強まる。世界的な調査会社のマーケッツ&マーケッツでは、2023年の世界の市場規模は18年比32%増の307億ドル(約3.3兆円)まで拡大すると予想。車載機器や通信、インフラ周辺から、地図データ、レーダー、カメラ、カーナビゲーション、AI(人工知能)など、恩恵を受ける分野のすそ野は広い。

ITSの関連銘柄では、NEC(6701)がセンサーや通信技術とともにシステム開発に取り組み、海外でもインドで実績を積んでいる。いすゞ自動車(7202)と日野自動車(7205)も共同でトラック・バスの自動運転実用化に向けたシステム開発に乗り出すなど、企業側も需要の取り込みを急いでいる。

小型の注目銘柄の一つがアンテナ機器の日本アンテナ(6930・JQ)。同社は防災や消防、警察など公共向けに強く、車載用途でも活躍の場が増えそうだ。今3月期の収益は急拡大した前期からの反動が想定されるが、株価は手掛けやすさも相まって高騰が期待される。

星和電機(6748)は道路表示装置を手掛け、官民共同でのITSの共同研究事業にも参画する。今3月期の連結営業利益は10億円(前期は100万円)への急増を見通す。ITSを含めた情報システム事業の受注残は前期末に大きく積み上がった。

このほか、地図情報のゼンリン(9474)やOKI(6703)、車載システムでシステナ(2317)、アドソル日進(3837)などもマークしたい。

また、交通規制とともにカーシェアリングに関心が高まる可能性もあり、パーク24(4666)や日本駐車場開発(=日駐、2353)、次世代の移動サービス「MaaS(マース=モビリティー・アズ・ア・サービス)」関連でジョルダン(3710・JQ)、ソネット・メディア・ネットワークス(=SMN、6185)なども関心を集めそうだ。(7月25日株式新聞掲載記事)

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