アステラス、武田薬品……その数字をチェックしてみると

粗利益率
(画像=THE21オンラインより)

6月は株主総会シーズン。企業の「決算」に注目が集まる時期だ。だが、そもそも決算書のどこをどう見ればその企業の状況を正しく判断することができるのか、正しく理解している人はそれほど多くはないだろう。

経理の本としては異例のシリーズ60万部を発刊した『決算書がおもしろいほどわかる本』の著者として知られ、近著『ざっくりわかる「決算書」分析』にて決算書分析のイロハを解説した公認会計士の石島洋一氏に、「そもそも利益とは何か」についてうかがった。

かつては売上高、今は「利益」にて評価される

今となっては信じがたいことですが、日本経済の一時期、売上至上主義がはびこっていました。「とにかく業界でNO.1となるために売上シェアを上げるのだ!」という号令一下、全社を挙げて売上拡大を目指していたのです。家電の業界など、その最たるものでした。

もちろん、売上があっても儲けがなくては、収益性の面でも安全性の面でもよいわけはありません。売上至上主義は、拡大する日本経済の悪しき側面だったかもしれません。

企業にとっては、儲けが重要です。儲けのことを会計の世界では「利益」といっていますが、収益性の状況は、この利益の大きさで判定します。

なんといっても大きな利益を上げた企業の評価はよいわけです。「トヨタの利益が2兆円を超えた」「ソフトバンクの今期利益は過去最高」などというニュースは、その企業の好調ぶりを明確に示すことになります。