「類似事例」がない場合、どうすればいい?

説得力,大塚寿
(画像=THE21オンライン)

2つ目は「事例紹介」を活かすこと。聞き手と同業種・同規模がベストだが、同規模の会社がない場合はより大規模な方から紹介する。

同業種の事例がないケースでは、業務フローが似た類似業界の事例を用いたい。

例えば、酒類業界と化粧品業界というのは製販が分離していることが多く、業務が類似しているといえる。

また、多少業界が異なっていたとしても、間接部門の業務やグローバル展開といった共通項の中での案件であれば、あまり問題視されることはない。

更にその「類似事例」では、

・導入背景、導入理由
・効果
・費用
・費用対効果

がポイントとなるので、そこがリアルに語れるように準備して欲しい。

「うちの業界では」という脳内翻訳を先に済ませる

3つ目は、一般論ではなく聞き手に理解しやすい切り口、表現を徹底させること。

聞き手の業界特性、業界用語だけでなく業界の慣習なども勘案し、「うちの業界でいうと~」と相手が頭の中で翻訳しなければならないことは、あらかじめこちらで準備し、完全に翻訳した形でプレゼンするのが鉄則。

よくあるのは、プレゼンでの自社の製品やサービスの説明を、営業ツールにあるままの話し方でやってしまうケース。それではよほど商品力や価格優位性がない限り、競合には勝てない。

聞き手の側に立った切り口、表現というのは、プレゼンに至るまでの相手とのコミュニケーションにヒントがある。相手がよく話していた言葉、相手の経営陣、上司の考え方やキーワードをプレゼンに散りばめるのが、ポイントだ。

更には、聞き手の業界、企業自身やその業務特性についてどれだけ深く知っているかも重要になるので、日常的に顧客に興味、関心を持って知見を増やしていくこともお薦めしたい。

(出典:営業サプリ)

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大塚 寿(おおつか・ひさし)
エマメイコーポレーション代表取締役
1962年、群馬県生まれ。1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に『リクルート流』(PHP研究所)、『オーラの営業』(Nanaブックス)、『仕事をつくる全技術』(大和書房)、累計28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』シリーズ(ダイヤモンド社)など多数。共著に『法人営業バイブル』(PHP研究所)など。(『THE21オンライン』2019年06月27日 公開)

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