異業種参入や新ルール、5G(次世代高速通信システム)の発進などを背景に新たな時代を迎える日本の携帯電話業界。ただ、「第4の事業者」の楽天(4755)のスタートは控え目になる可能性がある。一方、根強い「ガラケー(フィーチャーフォン)ユーザー」の取り込みが今後の注目点だ。
昨年4月に総務省から携帯電話の電波割り当てを受け、NTTドコモ(9437)、KDDI(9433)、ソフトバンク(9434)に続く4社目の通信キャリアになることが決まった楽天は、今年10月にいよいよサービスを開始する。当初はユーザーの大移動も想定されていた。
しかし、10月以降は端末とサービスが完全に分離される上、端末販売の値引きもこれまでより制限される。このことがユーザーの流動性に歯止めを掛けるとみられる中、変動要素だった楽天の参入についても、品質面を優先してスタート時の規模は絞られる可能性がある(料金体系は9月上旬にも発表予定)。新制度の導入を前に一時加熱した加入者獲得競争は、ひとまずトーンダウンする公算が大きい。
一方、見極めにくいのが、いわゆるガラケーを使用しているユーザーの動向。NTTドコモを筆頭にまだ全体の1割程度を占めるとみられ、通信キャリアにとってはスマートフォン利用者の伸び代に当たる。ガラケーユーザーを効率的にスマホユーザーとして獲得できるかは、今後の業界の勢力図を左右する一つのポイントだ。
攻勢を掛けるソフトバンクは、ガラケーからスマホへ乗り換えを促す「スマホデビュープラン」が好調。最初の1年は割引適用後で月額980円(税別)と安い。また、1000円相当の電子マネー「ペイペイ」のボーナスが毎月付与されるキャンペーンも話題となり、他社を一歩リードした印象がある。
ソフトバンクの関連銘柄としては、販売代理店のベルパーク(9441・JQ)やトーシンホールディングス(9444・JQ)をマークしたい。また、決済端末が全国のソフトバンクショップで採用されたフライトホールディングス(3753・(2))や、電気通信工事の請負でAKIBAホールディングス(6840・JQ)なども面白い存在となる。(8月15日株式新聞掲載記事)
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