五輪に向け東京都が実証実験

サービスロボット
(画像=PIXTA)

2020年の東京五輪に向けて、ロボット導入の動きが強まってきた。省人化の流れを受けて産業用での浸透は進んでいたが、五輪をきっかけにサービス分野での本格採用も見込まれる。関連銘柄の見直しにつながりそうだ。

東京都はJR東日本(9020)と組んで、7月にはAI(人工知能)を活用したデジタルサイネージ型ロボットの検証に入っており、8月21日のイベントではコミュニケーション用や警備ロボットと、飲食物の調理や配膳を組み合わせた実証実験を行った。既に多くのロボットがさまざまな場所で活用されることを前提に、その連携を確認する段階に入っている。

実証実験には、川崎重工業(7012)の産業用ロボットのほか、ベンチャーのコネクテッドロボティクス(東京都小金井市)の手掛ける調理向け、サイバーエージェント(4751)の声掛けロボ、ALSOK(2331)の警備用、メルカリ(4385・M)の移動向けと幅広い製品が参加した。

中でも、サイバーの声掛けロボットは、20年の東京五輪によって訪日観光客が増加する中で、人をもてなして満足度を向上させることを目的としている。人とのコミュニケーションという最も難しい分野だけに、その成果は大きな注目となりそうだ。今後も、エレベーターと連動して乗降する実験を行い、ロボットの活躍できる領域を広げる構えだ。

トヨタ自動車(7203)も、ディープラーニング(深層学習)を手掛けるベンチャー企業のプリファードネットワークス(東京都千代田区)と組み、サービスロボットの実用化に乗り出している。AIやIoT(モノのインターネット)などの最新技術の導入が進む中、産業用からサービス用までロボットの活用は進みそうだ。

スマートフォンやパソコン向けコネクターの第一精工(6640)は、ロボット用のトルクセンサー「エストルク」を手掛ける。シンプルで小型軽量、低コストで実装できるメリットを生かし、より小型の製品が多いサービスや介護向けロボット向けでの搭載が期待される。

5G(次世代高速通信システム)の導入によってより円滑なロボットの遠隔操作が可能になる中、5G向け製品に強みを持つ同社の活躍の場も広がりそうだ。一方、業績面では、スマートフォン向けでの減速を理由に8日に今12月期の業績予想を引き下げたが、来期に向けては5G向けの引き合いも出始めた。株価は業績減速を織り込む形で低迷していたが、21日の今期上期決算説明会をきっかけに大きく上昇した。ただ、18年1月の高値3300円からは4割超調整した段階にとどまる。

このほか、倉庫の在庫管理システムを手掛けるロジザード(4391・M)は海外で自動搬送ロボットの活用が進む。ソフト開発の電通国際情報サービス(=ISID、4812)はサービスロボを一元的に制御し、連携を可能にするプラットフォームの開発に取り組む。豆蔵ホールディングス(3756)やシステナ(2317)もマークしたい。(8月23日株式新聞掲載記事)

>>話題のテーマや注目株を一足早くお届け「株式新聞WEB」限定プレミアム銘柄も

【関連株式ニュース 株式新聞へ】
日経平均は82円高と続伸、引けにかけて高値推移、円弱含みに時間外の米株先物高が支え=23日後場
<個別株動向>三井住友、Gunosy、燦HD、HANATJ、SFJ=23日後場
菱洋エレクが急伸、上期の業績予想を上方修正
三菱鉛筆が急騰、1.68%の自社株買いを実施へ
マザーズ指数反発、ブシロードが人気=新興市場・23日