金利低下追い風、追加緩和思惑も

不動産株
(画像=PIXTA)

金利低下を背景に不動産株がクローズアップされている。8月28日には大手の三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、住友不動産(8830)がそろって上昇し、不動産業は東証業種別指数の値上がり率トップとなった。日米欧で金融緩和が加速する思惑も追い風となる中、昨年の上場来高値に迫る平和不動産(8803)などに注目したい。

この日は国内債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時マイナス0.280%を付けた。26日にはマイナス0.285%まで低下しており、これは2016年以来の3年ぶりの低水準に当たる。一方、米国では27日に、10年物国債の利回りが2年物を下回る長短金利の逆転(逆イールド)が再発生した。

世界的な金利の低下は、ローン活用の促進を通じて不動産価格の上昇につながるとされる。9月には17、18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で米政策金利の追加引き下げが見込まれ、ECB(欧州中央銀行)も12日の理事会でマイナス金利を深掘りする可能性がある。

9月18、19日に金融政策決定会合を控えた日銀についても、米欧と歩調を合わせて緩和策を強化するという見方が根強い。足元の長期金利は、日銀がアナウンスしている許容幅の下限(マイナス0.2%)を割り込んでいる。こうした状況を容認することで、日本の不動産マーケットへの追い風が一段と強まるとみた投資家の買いが、関連銘柄の株価を押し上げている。

また、直近話題となったユニゾホールディングス(3258、監理)をめぐるTOB(株式の公開買い付け)合戦により、土地持ち企業の価値を市場が再評価している面もある。含み益を加味した大手不動産の株価は依然として割安だ。

大手3社のほかにも、株式新聞でもこれまで繰り返し取り上げてきた平和不の相場が躍動感を増しつつある。同社は再開発が進む東京・日本橋兜町が地盤。デモで混乱する香港や、EU(欧州連合)からの離脱を控えたロンドンに代わる国際金融センターの有力候補地としても期待が膨らむ。

このほか、大和証券グループ本社(8601)との資本関係を深め、ホテル開発が収益をけん引するサムティ(3244)、含み益の大きいダイビル(8806)や渋沢倉庫(9304)などにも注目したい。(8月30日株式新聞掲載記事)

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