「徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」――。 2007年7月、「村上ファンド」で世間の関心を集めた投資家、村上世彰氏の一審判決で裁判所が出した判決だ (同氏の著書「生涯投資家」より引用) 。この判決については意見が分かれるところもあるだろうが、投資を利益のみ追求するもののように想像し、抵抗感を覚える人は少なくない。このように考える人にぜひ知って欲しいのが「ESG投資」である。投資を通じて行われる社会貢献活動の存在は、利益至上主義というイメージを変えることになるはずだ。

年々注目度が高まるESG投資

ESG投資
(写真=ITTIGallery / Shutterstock.com)

ESGとは、「環境 (Environment) 」、「社会 (Social) 」、「企業統治 (Governance) 」の頭文字を取ったものだ。 これらのキーワードに配慮し、社会貢献をもたらす企業やプロジェクトに対して投資することを指す。具体的には、地球温暖化対策や生物多様性といった環境問題、女性活躍やLGBTといった多様性の受け入れ、 社外取締役の登用やコーポレート・ガバナンスの遵守などが挙げられる。これらの対応に力を入れている企業は将来的にも会社が存続していく可能性が高く、結果的に継続して高いリターンを得られるというのが基本的な考え方だ。

この概念が広がったのは、2006年に国際連合の事務総長だった故コフィー・アナン氏が、プロの投資家たちに「責任投資原則」を投げかけたことがきっかけ。ESGを投資に組み入れる考え方は、当時としては画期的だった。

ESG投資を知るにあたって、SDGs (持続可能な開発目標) も理解しておこう。2015年に国連で採択された全世界の共通目標だ。貧困の撲滅や不平等の是正などの社会問題に関して、具体的な数値で目標を設定している。この達成に向けて取り組みを行う民間企業もあり、これらの企業に投資することがESG投資の一種と考えられている。

投資によって社会貢献するというESG投資の考え方は、SDGsの採択を経て急激に広まったと言える。

実はあなたもすでにESG投資をしている

利益を追求するだけでなく、社会問題の解決にもつながり得るESG投資。その具体的な取り組みを紹介しよう。

実は、ほとんどの日本国民がGPIF (年金積立金管理運用独立行政法人) を通して間接的にESG投資を行っている。国民が納付した年金を運用するこの機関は、自身では直接企業の株式を保有しないが、委託先の運用会社にESGを考慮した投資を要求しているのだ。またESGへの意識や取り組みが高い日本企業を集めた「ESG指数」を選定。同指数に連動する運用を行っている。 そういう意味では、ESGは日本の誰もが関わる身近な存在といえる。

「投資で社会貢献」をより実感したい人に向けた金融商品

もちろん、個人で積極的にESG投資を行うこともできる。ESGをテーマにした投資信託が数多く設定されているからだ。

また、クラウドファンディングでもESG投資に関わることができる。クラウドファンディングは、主にインターネットのサイトを通して不特定多数の人に出資を募る資金調達方法だ。発展途上国での公衆衛生に関する事業や、存続が危ぶまれる文化を守る活動など、社会貢献性の高いプロジェクトも少なくない。収益化が難しいためにこの方法で資金調達を試みるケースもあるが、中には高いリターンをあげるファンドもある。

定期預金を活用するなら、大和ネクスト銀行の「えらべる預金」は、金利に加えて「もらえる」「応援する」「予想する」 といったプラスアルファを選ぶことが可能だ。例えば「応援する」では、預金残高の一定割合を大和ネクスト銀行が寄付するもので、児童福祉施設や小児医療施設などに寄付金を届けている実績がある。社会貢献性が高い運用方法であり、これもESG投資の一種といえるだろう。

リターンを追求するのもいいが、“寄付”のような感覚で気軽にESG投資を行ってみてはいかがだろうか。(提供:大和ネクスト銀行

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