台風15号による千葉県を中心とした大規模停電は復旧が遅れ、11日になっても続いたまま。自然災害で浮き彫りとなった首都圏のもろさは、改めて諸対策の必要性を感じさせる。今後の政府の予算にも重点的に盛り込まれる可能性が高く、関連銘柄に注目したい。有力どころをピックアップした。

災害対策銘柄
(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)

藤倉ゴム――マグネシウム電池活躍、長期調整は反転の兆し

藤倉コンポジット(5121)は緊急災害時に活躍する小型マグネシウム空気電池「アクアチャージ」のポテンシャルが大きい。水を入れるだけで充電ができる手軽さが支持され、官公庁から一般家庭向けまで受注を拡大している。

マグネシウム空気電池は短時間で充電できる一方、長期保存も可能な優れもの。2016年に上市し反響を集め、その後一般家庭向けにも販売を開始した。いまやスマートフォンは生活に欠かせず、そのための電気の確保は災害時の優先事項の一つ。同社の電池はスマホのフル充電が可能だ。

また、防災関連製品では災害用テントや救命胴衣なども手掛け、幅広い領域をカバーする。今3月期の連結営業利益の見通しは15億円(前期比64%増)と、苦戦した前期からの急回復を見込む。株価は17年11月の高値1070円がピークの長い調整に一巡感が出てきている。足元では200日移動平均線に迫り、反騰期待が高まった。

京三製――信号の停電対策急務、今期は収益急回復へ

今回の台風被害では大規模な停電により、信号機や鉄道の交通インフラが停止するケースが相次いだ。深刻な事故につながる恐れもあり、無停電システムなどによる対策が急務となる。

そこで浮上するのが、道路や鉄道信号で大手の京三製作所(6742)。同社はUPS(無停電電源装置)を併設した複合電源を開発。機器ごとの電源管理をシステム全体に切り替えることで停電時の対応を図る。小型化やコストダウンも実現している。

同社は産業用電源の不振で前3月期に業績が落ち込んだものの、信号システムの堅調な需要もあり今期は収益回復を見通す(連結営業利益予想は40億円、前期比24%増)。防災に絡んでは、太陽光パネル付きの信号機も展開。また、延伸の決まった台湾新幹線の関連株としてもマークしたい。

戸上電――無電柱化は〝ど真ん中〟、もみ合い上放れ期待

今回の台風で改めて認識されたのが、災害時の電柱の問題だ。強風でなぎ倒された設備は道をふさぎ、垂れ下がった電線が非常に危険な存在となった。株式市場でも早々にコンクリート2次製品のイトーヨーギョー(5287・(2))が動意づいたように、「無電柱化」への関心が再び高まっている。

狙い目は配電制御システム機器の戸上電機製作所(6643・(2))だ。同社は電気設備を保護し、波及事故を防止する「SOG開閉器」を手掛ける。工場向けなどのほか、無電柱化に絡んでも地中線用の開閉器の需要を取り込む〝ど真ん中〟の関連株だ。

2月以降のもみ合いは煮詰まり、テーマ株物色の勢いにも乗って大きな上放れが期待される局面だ。(9月12日株式新聞掲載記事)

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