(本記事は、田辺由香里氏の著書『瞬間記憶術〜たった3日で驚くほど頭が良くなる本〜』ぱる出版、2019年9月24日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
記憶術の極意はイメージングとアソシエーション
記憶術の極意はシンプルです。
イメージングとアソシエーションです。
イメージすること。
そして関連づけること。
ただこれだけです。
まず、前提として、無意識の状態で目に入ったもの全てを、自動的に頭の中に入れている人はいないということです。
記憶力に長けている人は、何かしらの方法で頭に入れる事柄をイメージ化して、既知のものと関連づけることによって頭に入れています。
ただし、例外的に「サヴァン症候群」と呼ばれる人たちがいます。
知的障害や発達障害などがあるけれども、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮する人たちの総称です。
映画『レインマン』の中でダスティン・ホフマンが演じたレイモンドがそうです。
床に散らばった爪楊枝の数を瞬時にして言い当ててしまうシーンはとても有名なので、映画をご覧になった方は記憶に残っているのではないでしょうか?
レイモンドの弟、チャーリー役はトム・クルーズが演じていました。
自由奔放な弟とサヴァン症候群の兄の兄弟愛の物語を描いた映画です。
このレイモンド役の元になったのは、キム・ピークという実在したアメリカ人の男性でした。生まれつき小脳に障害があり、脳梁が欠損していたため日常生活は困難を期したそうです。その一方で映像による記憶が得意で9000冊以上の本を暗記し、生年月日を言えば、瞬時に何曜日であるかを言うことができました。
サヴァン症候群であれば、見たもの全てを瞬時に記憶してしまうということも可能でしょうが、サヴァン症候群は脳の機能障害であるということがわかっていますので、一般的には、無意識の状態で目に入ったもの全てが記憶に残ることはありません。
無意識では入らないので、もしも大切な情報を記憶に残しておきたければ、意識的に脳に入れることが必要です。
人間の脳は右脳と左脳に分かれていて、その二つを脳梁がつないでいます。
右脳はイメージ、感情、本能を司り、左脳は論理、言語、理性を司っています。
この二つの性格の違う脳を、脳梁がつないで情報のやりとりをしています。
脳梁は人によって太さが違います。
脳梁が太いとそれだけ左右の情報のやりとりが得意ということになります。
脳梁が太いタイプの脳は女性脳といいます。
脳梁が細いタイプの脳は男性脳といいます。
女性でも男性脳の人はいますし、男性でも女性脳の人はいます。
こまやかに周りに目配りできるのは女性脳のほうですし、一点集中が得意なのは男性脳です。
左脳は文字や文章や論理的判断をしますが、右脳は感覚的です。
左脳は過去のデータ分析が得意ですが、右脳は未来のイメージをすることが得意です。
右脳は情報を総合的イメージで捉えます。
右脳の情報ストック量は左脳の何倍もあると言われています。
記憶に残るような形で意識的に頭に入れていくとはどういうことでしょう。
右脳のイメージ記憶を使うのです。
言葉をそのまま記憶すると脳がとても嫌がります。
記憶するものをイメージに転換して入れて行くということを意識するだけで、驚くほど大量の情報が短時間で脳に入ります。
また、脳の記憶を司る「海馬」という場所があります。
タツノオトシゴに似ています。
タツノオトシゴは英語でseahorseです。海の馬、そのままです。
この海馬は左右に1つずつあります。
海馬のすぐ隣にはアーモンド型をした「扁桃体」があります。この「扁桃体」は感情を司っています。
喜怒哀楽の感情を覚えたときに、この扁桃体が反応します。
嬉しい! 楽しい! ワクワク! 感動!
などプラスのイメージが強く起こったとき、扁桃体はプルプルッと震えます。
マイナスの感情にも反応します。
痛い! 辛い! 苦しい!
そのときも扁桃体はプルプルッと震えます。
どちらかというとマイナス感情のほうに強く反応するかもしれません。
イヤな記憶は脳に刺さって残りやすいのです。
そして海馬の扉をノックし、記憶の部屋へと情報を運び込むのです。
つまり、記憶には「感受性」が重要な役割を担うということです。
これらの脳の動きを利用して、実際に記憶に挑戦してみましょう。