(本記事は、田辺由香里氏の著書『瞬間記憶術〜たった3日で驚くほど頭が良くなる本〜』ぱる出版、2019年9月24日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
1個1秒、「瞬間記憶」の世界へ
最初はイメージを作るのに時間がかかるかもしれません。
頭の中でイメージが見えるような、見えないような、自分ではよくわからないかもしれません。それは、できないとか苦手なのではなくて、脳がその処理の仕方に慣れていないだけです。正しい方法である程度の数をこなしていくと、最終的には1個1秒でぱっ、ぱっと見えるようになる人も出てきます。
すると二つの単語を頭に入れるのに、見えた!見えた!と頭の中でイメージを見るだけです。記憶するときにわざわざノートに書く必要すらなくなってきます。
もちろんノートは全く必要ないと言っているのではありません。
じっくりと思考するときなどは、脳の中の情報をノートに書き出して整理するのは非常に良い手段です。ただ、時と場合によっては、書く時間すらもったいないということがあるので、状況に応じてやり方を変えていくことをお勧めします。
例えば、セミナーや講演会に参加しているとき、講師の話をノートに書いている間に思考が別のところに行ってしまうことはありませんか?
早口の講師の話を聞く、パワーポイントを見る、手元の資料を見る。
進行のスピードが早く、ついて行けない場合、ともすると相手が何を言っていたかわからなくなり、頭がもやもやしませんか?
真面目な人は後で資料を読んで復習しようとします。
ところが、後で復習しようとしても、その場で資料を読んでいた瞬間、思考していた瞬間は、相手の話が音としては聞こえていても、意味のある情報として聞いていません。そもそも頭に入っていないので、記憶の空白ができます。
日々の雑務に追われて、復習までに1週間も間を空けてしまうと、もうそのとき何を聞いたのかほぼ憶えていない状態です。
もしも後でゆっくり考えようとするのなら、その場ですぐにやってしまわないと効果が薄くなります。
脳は一度に1つのことしか処理できないのです。
同時処理するためには脳の中のワーキングメモリを大きくする必要があります。ちょっとだけ頭の隅に記憶を置いておくことができるスペースのことをワーキングメモリと言います。このスペースは例えるとテーブルのようなものです。
カフェで打ち合わせをするときのシチュエーションを想像してみてください。
小さな狭いテーブルに通されました。
パソコンを広げて話をしたくてもテーブルが狭いと、飲み物が運ばれてきた時点でパソコン作業は不可能です。
ましてや、お料理が来ようものなら、テーブルの上は食べ物も乗り切らないような状態です。荷物もたくさんあって、置き場もない。これでは、ゆっくり話もできません。
ワーキングメモリが広い人はホテルのラウンジで悠々と打ち合わせをしているイメージです。テーブルも広く、資料を広げても大丈夫。精神的にもゆったりと話ができます。ワーキングメモリを有効に働かせる方法は二つあります。
一つはテーブルの上にある不要なモノをそこに置かないこと。
そしてもう一つはワーキングメモリ自体を大きくしてしまうことです。
ワーキングメモリを鍛える方法で最も推奨されるのは運動をすることですが、他にも短期記憶を鍛えると広がると言うことがわかっています。
アクティブ・ブレイン・プログラムを終了した人がさらに記憶力を加速するためのトレーニングで、記憶力エキスパートコース(旧F1トレーニング)というものがあります。
2日間にわたり、イメージ連想、人の顔と名前、数字、架空年表、初見の文章、アメリカの州名と州都と州の花、有名な映画名と映画監督名、トランプカード、などなど1000点満点中制限時間内での記憶力を競うものです。
このトレーニングをして脳に負荷をかけて憶えようとしたときに、脳の中で不思議な現象が起こります。
今までゆっくり時間をかけて憶えていかないと憶えられないと思い込んでいたのに、「制限時間内に満点を取る!」と思って取り組むと、サッと見ただけで頭に入ってしまうという現象が起きます。
トレーニングする前とした後では明らかに記憶力の向上が見られます。
集中力も精神力も必要なので、メンタルトレーニングにもピッタリです。
時間があればゆっくり憶えれば良いのですが、短い時間で集中して記憶するので、一瞬でも心が動揺するとあっという間に集中力が途切れて自滅してしまいます。
心理的にもなかなかハードなこのコースですが、人の脳は火事場の馬鹿力のように追い詰められたときに思いもよらない力が出ますので、自分の限界に挑戦して新たな世界を見たい方はぜひ挑戦してみてください。
外から見ていると、ただひたすら黙って問題に向かい合う人々の集まりです。
メモリーアスリート達の静かな戦いが地味に繰り広げられます。
最後まであきらめないで集中力を維持すること。
焦らず、呼吸も整える必要もあります。
隣の人の気配に意識が持って行かれると思った人は、自前のむぎわら帽子を準備して、その帽子を目深にかぶって自分だけの空間を作るという工夫をする人もいます。競技が始まるまで、落ちつく音楽を聴いて周りの人と話をせずに集中力を高めようとする人もいます。
自分なりの集中するポーズを決めておいて、パブロフの犬の反射のようにスイッチを切り替えて取り組む人もいます。
老いも若きも自らの脳の限界に挑戦します。
タイムを競うと、1個1秒で頭に入れていくのは可能であることがわかります。
ふわーっとまつり縫いをするように薄く脳に入れて、それを忘れる前に高速で繰り返して定着させるのです。薄い記憶をバームクーヘンのように積み重ねるのがコツです。
自分の脳がターボになったときの動きを中から観察するのは、きついけれども面白いです。
記憶力チャンピオンの池田さんはイメージになる前の靄のようなモノを脳内に置いていくとおっしゃっていました。ニュアンス的なものからイメージを推量し言葉を取り出すのだそうです。どのような脳の動きをしているのか、将来的にバーチャル体験できるようになると面白いですね。
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