(本記事は、田辺由香里氏の著書『瞬間記憶術〜たった3日で驚くほど頭が良くなる本〜』ぱる出版、2019年9月24日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
脳がフリーズする言葉・動き出す言葉
極限まで追い詰められたときや、自分にとって困難に見える課題を与えられたとき、「無理!」「難しい!」という言葉がすぐに出てきませんか?
口に出さなくとも、心の中に浮かぶことはありませんか?
これは思考停止用語と言われています。
脳をストップさせる一番手っとり早い言葉なので、止まりたいときに出てきてしまうのです。
脳の「自己保存の法則」が働く瞬間です。
「自己保存の法則」というのは簡単に言うと自分を守ろうとする脳のクセです。
子どもの頃、親から「ダメ!」と言われたり、「絶対〜しなさい」と言われたりすると、心がキュッと固まりませんでしたか?
「大丈夫」「できる」「いいね!」「その調子!」はどうでしょう?
どんな言葉を耳にすると元気が出ますか?
言葉には力があります。
言葉はエネルギーです。
言葉の使い方によって、自分や他人の脳を止めたり、元気にさせたりすることができるのです。
「この人に会うと元気が出る」と感じる人と、「一緒にいるとエネルギーを吸い取られる」と感じる人がいます。
その人がどんな言葉を使っているかを観察してみてください。
エネルギーを与える人ですか?奪う人ですか?
会えば愚痴を言う人のそばにいると、話している本人はスッキリしているかもしれませんが、聞かされるほうは本当に辟易としてしまうことはありませんか?
愚痴は溜めないほうが良い、話したほうがストレス発散になるという人がいますが、大きな誤解です。
愚痴という言葉の意味は二つあります。
一つは仏教用語です。
『広辞苑』では「理非の区別のつかないおろかさ」と記されています。
道理に叶っていることと外れていることの区別がつかないことです。
何が正しくて、何が正しくないかがわかっていない状態のことを愚痴というようです。
もう一つの意味は「言っても仕方のないことを言って嘆くこと。また、その言葉」とあります。
言っても仕方のないことを言って嘆くほど人生は長くありませんので、そこに時間を割くのは愚かなことです。
しかも、否定的な言葉は自分が言っても、周りの人が言っているのを聞いても、脳にとっては悪い影響しかないということがわかっています。
なぜなら、否定的な言葉が脳に入ると、脳の中のA10神経群がその言葉に反応し、その情報に対してマイナスのタグ付けをしてしまうからです。
A10神経群というのは私たちの「感情」が生まれる場所です。
そこで「好き」「嫌い」というタグが作成され、一つ一つの情報にぺたぺたとタグ付けして仕分けしていくのです。
「嫌い」というタグ付けをされた情報には脳の自己保存の法則が働いて、それを排除しようとします。
本当は大切な情報なのに、好き嫌いでレッテルを貼ると重要な情報が入ってこなくなり、結果チャンスを逃してしまうことがあるかもしれません。
脳が情報をストレートに処理できる状態にしておくためにも、日頃からマイナスの言葉を言う習慣はなくしたほうが賢明です。
言っても仕方のないことを言って嘆く時間があるなら、その事実を一旦受け止め、これからどうするかという方向に脳を動かそうとしてみましょう。
悲観的な感情はそのときの気分によってコロコロかわるもの。
楽観的なモノの見方は意志力でコントロールできるものです。
概して、愚痴を言っている人は自分が愚痴を言っていることに気づいていないことが多いようです。
聞かされたときには、この人は自己保存の法則が強い人なのだな〜と客観的に観察して静かにその場を去りましょう。そして自分自身も毎日どんな言葉を使って生きているか観察してみてください。
エネルギーを与えていますか?
人間ですから、愚痴を言いたくなるときもあるでしょう。
その場合は周りの人にマイナスのエネルギーを転嫁しているという自覚はお忘れなく。聞いてくれる人に感謝ですね。
もしも自分でマイナスの言葉を発していることが多いなと感じたら、マイナスの言葉に気づいた後に「でもね」と一言付け加えて、プラスに転換して終わらせれば大丈夫です。
「疲れた〜、でもね、今日は充実していた〜!」 「イヤだわ〜、でもね、ちょっとだけトライしてみよう」 「難しい〜、でもね、難しいほど楽しい〜!」
という具合です。
脳は最後に聞いた言葉を保存します。終わり良ければ全て良し、です。
人生最後にマイナス49対プラス51だったらオッケーというくらいの感覚で言葉を意識的に選んでみましょう。
見える景色がたちまち変わってくることでしょう。