(本記事は、米山公啓氏の著書『できる人の、脳の「引き出し」「スイッチ」「ブレーキ」』ぱる出版、2017年6月8日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

リセット
(画像=StockPhotosLV/Shutterstock.com)

リセット術

リセット術とは、脳の休み方である。

何度も言っているが、人間がやる気を持ち続けるのは難しい。それは短期的にも長期的にも言える。また、集中力もずっと保ち続けるのは至難の業だ。そのため、どこかで脳を休ませる必要がある。

脳についての基本だが、左脳は数字や計算、文字などをはじめとした論理的思考を司っており、右脳は映像的な処理などをはじめとした直感的思考を司っている。

脳が疲れるというのは、このうちどちらか一方を使い続けているときに起こる。やる気はあるけど集中できないことも、飽きてしまうのも同じだ。

そこで、例えばずっと数字や文字を扱う作業をしていたのであれば左脳を使い続けていたことになるので、雑誌を読む、映像を見るなどをして右脳を使うような作業をする。右脳を使っている状態では左脳は休んでいるからだ。これは数分間でも効果はあるので、適度に、できれば飽きや疲れがやってくる前に意識的にやると良いだろう。

しかしながら、基本は何もしないでリラックスするのが良いリセット術である。これは左脳も右脳も働かせていない状態だ。もしも可能ならば、数分だけでいいので目を閉じてボーっとしてみよう。そのあとの作業への集中力が高まるのを感じられるだろう。

休憩する時間については、これも人それぞれではあるが、どこかで必ず休みを取ると決めておくことが大切だ。1時間やったら10分休む。30分やったら5分休むなど、自分なりのペースを探すと良い。

休憩もせずにやり続けるのは、やる気があったとしても結局のところ作業効率が落ちてしまうので、それならばはじめから決めてしまって、仕事のオンオフを仕事時間内に作ってしまえばいい。気持ちにも余裕が生まれるはずだ。

ここまでは短時間でできるリセット術だったが、休みの日や長時間のリセット術について説明しよう。

まず、できる人というのは遊び方が上手である。逆にできない人は家に帰っても仕事の資料に目を通したり、休みの日でも仕事のことをずーっと考えたりと、本来はリラックスする時間でさえも脳は働きっぱなしだ。

それが一概に悪いとはいえないが、仕事は仕事、遊びは遊びと切り替えられるのができる人であると心得よう。

頭は同じ部分を使わずに、別の部分を刺激すると休めるということは前述したが、内容が違うのであれば似たようなことをしても問題はない。

そこで出てくるのが趣味である。仕事と切り離し、自分の好きなこと、つまり趣味に集中してしまうのだ。仕事を忘れるくらいに夢中になれれば、それは最高である。スポーツでもいいし、ドライブでもいいし、散歩でもいい。クロスワードやゲームや映画鑑賞などでも構わない。

このように、別のことに集中することによって脳内がリセットされ、もう1回やる気がアップしてくるのだ。

物理学者のアインシュタインは、気分転換のためにヴァイオリンを弾いていたという。他にも、著名人には楽器を演奏することを趣味とする者がしばしばいるのだが、実験や研究などの合間に演奏をして脳をリセットしているのだろう。

リセット方法は、いくつあっても構わないので、興味のあることはとことんやってみると良いだろう。

できる人の、脳の「引き出し」「スイッチ」「ブレーキ」
米山公啓(よねやま・きみひろ)
1952年山梨県生まれ。作家、医学博士。専門は神経内科。聖マリアンナ大学第2内科助教授を98年2月に退職。診療を続けながら医療エッセイ、医療実用書、医学ミステリーなど幅広く著作活動や講演を行っている。現在までに280冊以上を上梓。主な著書に、『もの忘れを90%防ぐ法』(三笠書房)、『脳が若返る30の方法』(中経出版)、『Dr.米山公啓の頭が良くなる生活習慣』(アントレックス)『できる人の脳が冴える30の習慣』(中経出版)など多数ある。

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