(本記事は、米山公啓氏の著書『できる人の、脳の「引き出し」「スイッチ」「ブレーキ」』ぱる出版、2017年6月8日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

コツコツ
(画像=Gustavo Frazao/Shutterstock.com)

できる人になるためには

ここまで、できる人とできない人の違いなどを伝えてきたが、結局どのようにすれば良いのかという疑問が出てくるだろう。人によっては、ここまで読み進めるまでの間にアクションを実行した人がいるかもしれない。重要な部分には線を引いたりドッグイヤーをつけたりした人もいるかもしれない。

しかし、何もせずに読んでいる人のほうが多いことだろう。個人的な気持ちとしては、この予想が間違っていることを期待したいところだが、現実はそう甘くなく正しいはずだ。もし、予想が間違っているのであれば、もっと世の中に成功者と呼ばれてもおかしくない人が溢れていることだろう。

つまり、できる人は行動力がある。この流れではそのように受け止めてしまうだろうが、そうではない。世の中の自己啓発本に共通して書かれている内容としてのまとめは、たしかに行動力と言えるだろう。これは決して間違いではないのだが、上辺だけになってしまうので気を付けてほしい。

できる人はマメな行動を迅速に起こしている。できる人になりたいのであれば、今すぐに小さなことでもできることをやる。これに尽きるのだ。

自分には簡単にできるからと、後回しにしていないだろうか。後回しにするということは、重要でないと判断している。つまり、できる人にならなくてもいいと考えられる。曲解であり、極端すぎる屁理屈のように感じるだろうが、突き詰めていけばこのような解釈になることだろう。

営業に行く際、相手のことを検索してみる。名刺をもらったら、必ずその日のうちに挨拶の連絡をする。メールが届いたら、すぐに返信する。約束の日程は変更しない。この中に、難しくて数年かからないとできないものなんてないだろう。

明日からでもなく、もしかしたら今日からでも実行できることばかりである。ピンと来た人がいたのであれば、実行してみよう。素直な行動力は勇気にも繋がってくる。

私がやっているマメなことの一つに、毎年コスプレ年賀状を出すというのがある。これは干支とは関係なく、話題性のある人にコスプレするのだが、誰にするのか決めるところから、実際の撮影のポーズや衣装の用意まで、ほとんど自分の手でやっている。

数年前、テニスの錦織圭が有名になり始めた頃、彼の代名詞にもなっているエアKのポーズを撮影することにした。これはジャンプをしながらも、綺麗に写るためにラケットを真横あたりで止めていなければならない。どちらも難しく、そのためだけにトランポリンを購入して撮影に挑んだ。その時の反響は良く、ツッコミも含めて話のネタとして大いに役になってくれた。

なかなか会う機会がない人と話をするにはネタがなければなかなか難しいものがあるので、こちらからネタを提供することによって、たった一言かもしれないが返事がきたり、印象を与えたりできる。

今はメールなどが普及したことをはじめ、様々な要因で年賀状を出さない人が増えているが、これはもったいない。今年は2000通ほど送ったのだが、久しい人と話をする機会が生まれ、仕事にまで繋がった。なんでもかんでも仕事のためだと思ってしまっては、どこか腹黒いようにも感じるが、それについては二の次で、今では年賀状を出すのが楽しいのだ。

他にも、初めて本を出したとき、小さなな出版社の編集者に「著者が努力しないと絶対売れない」と言われた。今もそうだが、当時はその言葉に強く心を動かされて、執筆する努力だけでなく、新刊が出たら数百冊くらいはいろいろな書店で購入したり、書店に電話したりした。

そのことを友人の奥さんに話したら、彼女の主婦グループでいくつかの大手書店に電話を何度もかけてくれたようで、発売して間もなく平積みになっていたこともあった。

本が数百冊というのは、出版部数から考えるとその程度に思えるかもしれない。書店への電話についても微々たるものかもしれない。しかし、その小さな行動の積み重ねのおかげもあり、書店のランキングに入ることもできたのだ。

この話を多くの作家を目指す人にしたのだが、実際にやったのは片手で数えられる程度だけ。100冊までとは言わずとも、本を5000円分買うのは不可能なのだろうか。友人に新刊が出るからと宣伝するのは無理な行動なのだろうか。

結果というものは、行動を起こしたあとについてくるものであって、できないと思ってなにもしなかったら、その時点で結果はついてこない。0点という結果すらもやってこない。

完全な無である。できる人のことを観察していればわかるのだが、この世の中の評価は加点方式なのである。もちろん、失敗をするとマイナスされてしまうこともあるが、それも評価のひとつであり、立派な変化だ。

できない人は、マイナスになることを恐れるあまりに行動を起こさず、評価もされない状態が半永久的に続いている。変化がまったくない状態を自分で作ってしまっているのである。

成功したいのであれば、できる人になりたいのであれば、今すぐに小さなことでもコツコツとやっていくこと。その積み重ねが、やがて成功として自分の人生にやってくるのだ。

できる人の、脳の「引き出し」「スイッチ」「ブレーキ」
米山公啓(よねやま・きみひろ)
1952年山梨県生まれ。作家、医学博士。専門は神経内科。聖マリアンナ大学第2内科助教授を98年2月に退職。診療を続けながら医療エッセイ、医療実用書、医学ミステリーなど幅広く著作活動や講演を行っている。現在までに280冊以上を上梓。主な著書に、『もの忘れを90%防ぐ法』(三笠書房)、『脳が若返る30の方法』(中経出版)、『Dr.米山公啓の頭が良くなる生活習慣』(アントレックス)『できる人の脳が冴える30の習慣』(中経出版)など多数ある。

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