消費増税による節約志向、キャッシュレス還元で関心

ポイントサイト
(画像=PIXTA)

10月1日の消費税増税とともに、キャッシュレス決済の還元制度が始まった。増税による家計への負担が意識される中、制度の浸透をきっかけに企業のサービスや広告を活用してポイントを稼ぐ「ポイントサイト」に関心が向かう可能性が出てきた。関連銘柄に改めて注目したい。

キャッシュレス決済元年と言われる今年は、ソフトバンクグループ(9984)やZホールディングス(旧ヤフー、4689)の合弁会社「ペイペイ」が先手を打って大型キャンペーンを展開。大手コンビニエンスストアや楽天(4755)も対抗し、ちまたにはサービスをどう使い分ければお得になるかというような記事もあふれる。

キャッシュレス決済の還元制度では、コンビニエンスストアやドラッグストアなどのチェーン店で購入した金額の2%、中小規模の小売店では5%が消費者に戻る。各種のサービスがこれだけ関心を集めるのは、増税に伴う家計への負担の裏返しだ。

消費のカギを握る所得の増加ペースが鈍る中、ただでさえ財布の紐(ひも)は絞られがち。最新の9月の景気ウオッチャー調査では、先行き判断の指数が3カ月連続で悪化し、前回(2014年)の増税以来の低水準となった。

一方、消費者の節約志向の高まりとともに、短期間で手軽に小遣いを稼ぐポイントサイトの存在感も高まりそうだ。ポイントサイトは、企業の広告閲覧やスマートフォン向けアプリのダウンロード、提携先でのショッピングを通じてポイントがたまる仕組み。キャッシュレス決済の還元制度によってポイント活用が浸透し、これまで利用することのなかったユーザーの取り込みも期待される。さまざまな方法でポイントをためる「ポイ活」という言葉をよく耳にするようになった。

セレス(3696)は国内最大級のポイントサイト「モッピー」を運営し、累計利用者数は1000万人以上を誇る。今12月期はセブン銀行(8410)との連携によって利便性を向上させたほか、クレジットカード大手のビザと組んでキャッシュレス決済のポイント還元にも対応した。

セレスのポイントサイト事業の4~6月売上高は、前年同期比31%増の13億円に拡大した。上期の営業利益は前期のコインチェック売却益計上の反動減から大幅減益だった一方、通期の連結営業利益は前期比22%増の15億円を見込む。

ネット広告のCARTA HOLDINGS(3688)は、「ECナビ」などを運営する。直近ではポイント提携先も増やして使い勝手を上げている。

ベクター(2656・JQ)はペイペイに特化したポイントサイト「クイックポイント」を9月25日に開設。「当初の想定よりも好調」(ベクターの事業推進グループ)で、今後の収益貢献が期待される。今3月期上期の決算は23日に発表する。

また、キャッシュレス還元は来年6月までの期間限定だが、景気の動向次第では延期も想定される。総務省はマイナンバー(社会保障・税番号)カードによるポイント付与を検討する会議を9月に開催した。この領域では、ITbookホールディングス(1447・M)、アイネス(9742)などの関連銘柄をマークしたい。(10月10日株式新聞掲載記事)

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