(本記事は、近藤珠實氏の著書『伝わる!電話、メール、ビジネス文書の仕事活用術』の中から一部を抜粋・編集しています)
『伝わる!電話、メール、ビジネス文書の仕事活用術』シリーズ
表現に凝らない
ここまでお伝えしたように、表題と結論を明確にしたうえで、文章を短くすれば、文書はかなりわかりやすくなるでしょう。
さらに、レイアウトを工夫してグラフや表を追加すれば、大きな問題はないはずです。
しかし、それでもなんとなく「物足りないな」「説得力がないな」と感じたり、そう指摘された場合はどうすればよいのでしょうか?
一番避けたいパターンは、文学作品のように表現に凝ってしまうことです。ビジネス文書は、あくまで分かりやすいものでなければいけません。難しい表現や比喩を使っても、評価されることはないのです。基本を忘れないようにしましょう。
- たとえばトマトを表現すると……
主張を際立たせる「比較」
物足りなさを感じた要因は、伝えたい内容がぼんやりしているからです。
たとえば、A社についてのレポートを書いたとします。十分に情報を集めて分析をし、明確に結論を書いたのに、説得力が感じられない。情報を羅列しただけで、「A社とはこういうものだ」という主張が際立たない。
それは、比較が足りないからです。
A社について述べるときに、「A社は……、さらにA社は……」と、A社ばかりについて書くと、味気ないレポートになってしまいます。
そうではなく、「A社は、B社と比較すると……」と他社と比較することで、A社の特徴がより際立つのです。
比較する対象は複数あってもよいでしょう。そのほうがA社の特徴がはっきりとします。
ある対象について書く場合は、ひとつの目線だけから書くのではなく、比較のように目線の角度を変え、複数の見方をすることも大切です。
- 比較で表現を豊かにする
- 【×】A社は本業界のトップランナーであり、規模も大きい。A社はBtoCを中心としてきたが、近年はBtoBにも進出している。【○】A社はB社の倍近い規模を誇る企業である。B社がBtoBで存在感を示してきたのと対照的に、A社はBtoCを中心としてきた。
point
- 内容が薄くても表現でカバーしようとしない
- 別の対象と比較すると特徴が際立つ
- 複数の目線から描くと分かりやすくなる