(本記事は、近藤珠實氏の著書『伝わる!電話、メール、ビジネス文書の仕事活用術』の中から一部を抜粋・編集しています)

充実
(画像=PIXTA)

表現に凝らない

ここまでお伝えしたように、表題と結論を明確にしたうえで、文章を短くすれば、文書はかなりわかりやすくなるでしょう。

さらに、レイアウトを工夫してグラフや表を追加すれば、大きな問題はないはずです。

しかし、それでもなんとなく「物足りないな」「説得力がないな」と感じたり、そう指摘された場合はどうすればよいのでしょうか?

一番避けたいパターンは、文学作品のように表現に凝ってしまうことです。ビジネス文書は、あくまで分かりやすいものでなければいけません。難しい表現や比喩を使っても、評価されることはないのです。基本を忘れないようにしましょう。

たとえばトマトを表現すると……
伝わる!電話、メール、ビジネス文書の仕事活用術
(画像=伝わる!電話、メール、ビジネス文書の仕事活用術)

主張を際立たせる「比較」

物足りなさを感じた要因は、伝えたい内容がぼんやりしているからです。

たとえば、A社についてのレポートを書いたとします。十分に情報を集めて分析をし、明確に結論を書いたのに、説得力が感じられない。情報を羅列しただけで、「A社とはこういうものだ」という主張が際立たない。

それは、比較が足りないからです。

A社について述べるときに、「A社は……、さらにA社は……」と、A社ばかりについて書くと、味気ないレポートになってしまいます。

そうではなく、「A社は、B社と比較すると……」と他社と比較することで、A社の特徴がより際立つのです。

比較する対象は複数あってもよいでしょう。そのほうがA社の特徴がはっきりとします。

ある対象について書く場合は、ひとつの目線だけから書くのではなく、比較のように目線の角度を変え、複数の見方をすることも大切です。

比較で表現を豊かにする
【×】
A社は本業界のトップランナーであり、規模も大きい。A社はBtoCを中心としてきたが、近年はBtoBにも進出している。

【○】
A社はB社の倍近い規模を誇る企業である。B社がBtoBで存在感を示してきたのと対照的に、A社はBtoCを中心としてきた。

point

  • 内容が薄くても表現でカバーしようとしない
  • 別の対象と比較すると特徴が際立つ
  • 複数の目線から描くと分かりやすくなる
伝わる!電話、メール、ビジネス文書の仕事活用術
近藤珠實(こんどうたまみ)
現代の社会生活にマッチした作法を提唱するマナーのエキスパート。東京神田生まれ。1975年、「現代作法研究会」を発足。
1977年、作法をより現代的にマッチしたものとするため、指導を受けていた國學院大學名誉教授の命名により、新作法「清紫会」を結成。同時に「清紫会」新・作法学院を開設し学院長に就任。以後、生徒を指導するかたわら、執筆、テレビ、講演、社員教育、学校教育等幅広く活動している。
プライベートでも仕事でもスグに役立つ、「日常マナー」のほか「ビジネスマナー」の人気講師として講座を定期開催。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます