(本記事は、福永活也氏の著書『日本一稼ぐ弁護士の仕事術』=クロスメディア・パブリッシング、2019年7月1日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

今日から3年間、一度も「忙しい」と言わずに生活する

日本一稼ぐ弁護士の仕事術
(画像=『日本一稼ぐ弁護士の仕事術』※クリックするとAmazonに飛びます)

後輩や友人から、「成功する秘訣は何ですか?」と聞かれることがあります。その時私は、今日から3年間、一度も「忙しい」と言わずに生活してみてください、と答えています。

なぜなら、何か新しい挑戦を断る理由として最も多いのが「忙しい」という理由だからです。そして、「忙しい」という理由には中身が伴っていないことが多いものです。

26歳の秋にこのことを思いついて以来、私は何かを拒否する理由としては一度も「忙しい」という言葉を口にしたことがありません。同じく、「疲れた」「体調が悪い」「無理」といった言葉も使わないように強く意識しています。

私が弁護士1年目で入所した法律事務所は、当時で100人近い弁護士が所属しており、所属する弁護士の人数だけで言えば国内では7番目で、同期も6人いました。このように、ある程度の規模のある法律事務所の多くは、パートナーと呼ばれる経営者側の弁護士と、アソシエイトと呼ばれるサラリーマン的な勤務弁護士に分かれています。

パートナーが全員で共同してアソシエイト達を雇っているようなイメージです。パートナーがとってきた仕事を、アソシエイトに振っていくのですが、各パートナーはアソシエイト達が現在どの程度仕事を抱えているか、横断的には把握をしていませんでした。

そのため、パートナーが何人かのアソシエイトに一斉送信で「誰か空いている人がいたら、この事件を一緒にやりませんか?」といった形で投げかけることが頻繁に行われていました。

こういう時、他の同期の弁護士は、自分の仕事の状況や手持ちの業務量を確認して、余裕があるかどうかを考えた上で、余裕がある場合のみ「参加させてください」と返信していました。ただ、常にある程度の仕事量は抱えているわけですから、「忙しい」と言ってしまいがちになります。しかし、私はこれに、まず「やります」と返事をしていました。

色々な挑戦や誘いを一旦「Yes」で受けてしまって、タスクを手元にかき集めた上で、どうやって時間をやりくりしようか考えていくようにしていました。すると、活動時間そのものを増やすことを考えたり、時間の効率化を図ったり、時間を最大活用化できるようになっていきます。

イメージとしては、時間という箱の中に、仕事やタスクのゴムボールが詰まっているような状態です。ゴムボールは最大まで膨らむので、ゴムボールの数や大きさに関わらず、常に時間の箱は満タンに詰まった状態に感じます。

しかし、既に入っているゴムボールを縮めて新しいゴムボールを無理やり押し込んでしまえば、意外と時間の箱の中に納まってしまうものです。そして結果的に時間の箱が破裂することなく、こなせていけるものですし、それでこそ自分の限界の幅が広がっていきます。

当時、私は自分の時間の箱に際限なく仕事というゴムボールを詰め込んでいきたいと思っていました。私のいた法律事務所では、毎日の業務内容や業務時間をチェックして、所内のシステムに現在進行中の案件内容や業務量を入力するようになっていました。私はいつも、これを過少申告していました。あまりに私に業務量が偏っていることがパートナーにばれてしまうと、案件が減らされたり、労働管理の面からも指導される可能性があったからです。

また、自分が発する言葉や態度から、「私は忙しくはないのだ」と周囲にイメージしてもらえるような発信を心がけてきました。そうすると、私が担当する案件は結果的にどんどん増えていき、弁護士2年目に入る頃には、同期の弁護士の2倍程度の仕事量をこなすようになっていました。

新しい挑戦への最大かつ手軽なストッパーとなるのが「忙しい」という言葉です。この言葉はとても便利で、実際に具体的な予定があるかどうかに関係なく、いつでもどこでも誰でも使えてしまうので、挑戦に際して何か消極的な理由があったり、積極的なモチベーションを感じられなかったりすると、口癖のようについ「忙しい」と言ってしまいます。

しかし、新しいことに挑戦するのであれば、それに要する時間が現在のタイムスケジュールに加わるわけですから、今より忙しく感じるのは当たり前です。ですから、少し時間の使い方の効率を良くしたり、いらない時間を削減したりして、新しいことに挑戦する時間を確保していくしかありません。

よく考えてみると、そもそも「忙しさ」とは、タイムスケジュールの客観的な濃密度だけで決まるわけではなく、スケジュールをこなすスピード、効率、それらに対して主観的にどう感じるかといったことが合わさって決まるものです。口癖のように「忙しい」と言っていても、実は単にタスクをこなすスピードが遅く、効率が悪く、客観的には大してタスク量がないのに、忙しさへの耐性がないために、忙しいと過度に思ってしまっているだけかもしれません。

あまり適切な例ではないかもしれませんが、仕事に関して言えば、誰よりも忙しかったはずのクリントン元アメリカ大統領は、大統領としての公務をこなしつつ、奥さんもいながら不倫をしていたわけで、私のような一般市民が「忙しい」なんて言えるはずもありません。

「今の仕事が落ち着いたら新しいことに挑戦しよう」と考えることもあると思いますが、では、先々は今と同じだけ仕事をする気はないのか、と言われればそうではないはずです。将来には、その時その時の予定が新たにできているはずで、時間が余裕たっぷりになることなんて、きっと永久にないのだと思います。そうなると今やっていることと同時並行、同時多発的にどんどん新しいことに挑戦していくしかありません。

「忙しい」という便利な断り文句がなくなれば、とりあえずやってみるという選択をすることが多くなります。そして、とりあえずやってみる習慣がついてくると、全てに対して「Yes」から入ることになり、世界がどんどん広がっていきます。

そして、こういう姿勢は、必ず周りの人に伝わり、「あの人はいつ誘っても気持ちよくYesで応えてくれる」というイメージがついていきます。

試しに、今日から3年間、一度も「忙しい」と言わずに生活してみてください。3年が経つ頃には性格そのものも変わり、周りからの評価も大きく変わっているはずです。そして、必ず人生に大きな変化が生まれます。

日本一稼ぐ弁護士の仕事術
福永活也(ふくなが・かつや)
弁護士・実業家・冒険家。名古屋工業大学を卒業後、24歳までフリーターとして過ごす。その後、関西大学法科大学院を経て、27歳の時に司法試験に出願者数7842人中56位の成績で一発合格。弁護士として働き始め、5年目にして独立。独立1年目から2年連続して弁護士業のみで年収5億円を突破し、「日本一稼ぐ弁護士※」となる。 ※ 2014・15年度 国税庁統計年報所得種類別人員における主たる収入が「弁護士」の区分で最も高いレンジである課税所得5〜10億円に入る。

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