(本記事は、福永活也氏の著書『日本一稼ぐ弁護士の仕事術』=クロスメディア・パブリッシング、2019年7月1日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

ファーストドラフト感のある仕事をしない

未完成
(画像=tadamichi/Shutterstock.com)

「ファーストドラフト感のある仕事をするな」というのは、私が弁護士になって1年目の時にパートナー弁護士から言われた言葉です。ファーストドラフトとは、完成形として世に出せるレベルではなく、この後にさらにブラッシュアップすることが予定されている、第一段階の成果物のことを指しています。

つまり、新人であれば、自分が作成した成果物は、必ず先輩がチェックしてくれますが、それを前提に一旦作成してみましたとでも言わんばかりの成果物を上げてはいけないという意味です。

確かに、当時の私は、どうせ先輩が仕上げをしてくれるだろうという気持ちで、自分ができる100%のことをしていませんでした。すると、何か失敗をした場合も、自分の能力や仕事のやり方に問題があったというよりは、そもそも力を出し切っていない姿勢が問題だったとなりがちです。そうなると単にもっと一生懸命、丁寧にやれよ、となるだけで、次に繋がる本質的な改善を得ることもできません。

しかも、ファーストドラフト感のある仕事をしている時は、実は自分でもいろんな箇所に考察不足の不安があることがわかっていました。そういう箇所は、もしかしたら見逃されるかもと思うものの、必ず先輩からは考察不足だということが見抜かれました。

ミスをした時は、この時に限って不注意だったと思いそうになりますが、実際はミスが発生する原因は常日頃から雑な仕事をしてしまっていることにあります。それがたまたま、この時にミスとなって現実化しただけなのだろうと思います。一つのミスを防ぐためには、雑に仕事をしたけれどもミスにならずに見過ごされていったものも含めて、丸ごとレベルアップさせる必要があります。

また、こんな単純なミスをしてしまったと悔やむことがありますが、ミスとは大抵単純なもので、常日頃の意識によって改善するしかありません。

改めて、仕事には魂を込めて作業をするようにしています。

●単純で簡単な作業こそ結果に差が出る

単純で簡単な作業は、いつ誰がどのようにやっても、想定できる結果が比較的明確なので、難しい仕事以上に差が出やすいこともあります。

私は、数年前に引っ越しをした時に、組み立て式の本棚を購入し、誰かにバイト代を払って組み立ててもらおうと思いました。

まずは、実験的にSNSで募集をしてみたところ、20代前半ぐらいの人で、普段あまり仕事をしていない人が手を挙げてくれました。何となく当時の私が普段付き合っている友達とはタイプが異なるような印象があったので、興味を持ってお願いすることにしました。

すると、ただ本棚を組み立てるだけなのですが、いざやってもらうと、微妙に板と板の間に隙間が残っていたり、ネジの締め方が甘かったり、また、作業してもらった場所が汚れて散らかっていたりしました。もちろん、使用には全く問題ないので、十分に有難い作業結果ではありました。

次に、比較的優秀な大学の医学部を出て、お父さんが財閥系の大企業の会長まで勤めているような女医の友達にお願いしてみました。

経歴だけで差別はしませんが、結果的には、彼女はとても綺麗に本棚を組み立ててくれ、さらに安物の本棚だったからか、きちんとネジが締まり切らない箇所があったことを報告してくれ、さらに実際に荷物を載せてみて耐久には影響なさそうだと自ら試して感想を述べてくれ、作業後には何も言わなくても綺麗に掃除までしてくれました。

ただの本棚組み立てのように単純で簡単な作業こそ、結果に差が出て比較しやすいこともあるので、どんな仕事でも、一生懸命取り組む必要があります。

日本一稼ぐ弁護士の仕事術
福永活也(ふくなが・かつや)
弁護士・実業家・冒険家。名古屋工業大学を卒業後、24歳までフリーターとして過ごす。その後、関西大学法科大学院を経て、27歳の時に司法試験に出願者数7842人中56位の成績で一発合格。弁護士として働き始め、5年目にして独立。独立1年目から2年連続して弁護士業のみで年収5億円を突破し、「日本一稼ぐ弁護士※」となる。 ※ 2014・15年度 国税庁統計年報所得種類別人員における主たる収入が「弁護士」の区分で最も高いレンジである課税所得5〜10億円に入る。

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