(本記事は、福永活也氏の著書『日本一稼ぐ弁護士の仕事術』=クロスメディア・パブリッシング、2019年7月1日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

上司やクライアントへの報告は金曜の朝までにする

金曜日の朝
(画像=parasolia/Shutterstock.com)

私は、その週に予定している、上司やクライアントへの報告や上申は、金曜の朝までにすることを意識していました。

なぜかと言うと、金曜の朝までに成果物を送っておけば、金曜のうちにざっとは見てもらえる確率が高いからです。他方、金曜の日中に送るのであればその確率は少し落ち、さらに金曜の夕方以降や、土日に送ったところで、見てもらうのは翌週の月曜になってしまいます。

つまり、金曜の朝までに仕上げれば金曜中に見てもらえるものが、半日遅れただけで、見てもらえるタイミングが2、3日分も遅くなってしまうのです。逆に言えば、半日頑張って早く仕上げれば、2、3日分早く先方に見てもらえます。

ですから、どうせやるのであれば、金曜の朝までに仕上げるのがお得です。

そこで、私は法律事務所に勤めていた頃は、木曜の夜には予定をあまり入れずに、いつでも朝方まで作業ができる体制にしていました。実際、木曜の深夜は遅くまで事務所に残り、その週の成果物は、金曜の朝までに仕上げることがよくありました。

自分の中でこういう楽しみを設定してゲーム感覚で仕事をしていると、一層仕事そのものや、スピードを高めるという自分の中でのテーマに対して積極的にモチベーションを高めて取り組めます。

●クライアントへのサプライズを楽しむ

さきほど、金曜の朝までに仕事を仕上げるのはお得だという話をしましたが、では金曜の夕方に差し掛かった仕事は週明けにゆっくりやるのかと言えばそうではありません。

こんなことを言うと、結局、毎日ハードワークをしろということかと言われてしまうかもしれませんが、本書でお話ししているような考え方を実践できる時もあればできない時もある前提で、その時その時に、少しでもモチベーションを上げるきっかけの一つとして考えています。

さて、例えば、夜に飲み会の予定がある金曜の夕方くらいに、クライアントから「来週中にご回答ください」という長めの質問メールが来たとします。これに対して、いつ対応するかという問題です。

クライアントからの依頼通りに対応するなら、週明けに質問メールの全容を確認して作業に取り掛かり、余裕を持って、水曜か木曜くらいに回答できれば良いかなという感じだと思います。

でも、私の場合は、金曜夜の飲み会に参加した後、事務所に戻り、質問メールを確認して、金曜の深夜から土曜の朝方にかけて回答メールをしていました。

この時、私はこう考えるわけです。翌週クライアントが出社した時、当然、質問メールの回答が来ているとは思っておらず、水曜くらいに回答が来たら有難いな、くらいに思っているだろう。それが、月曜の朝に出社したら、すでに回答メールが来ている、もちろん内容はしっかりしている。しかも日時を見ると金曜の深夜である。

すると、クライアントは私に対して、「金曜であれば飲み会でもあっただろうに、それを終えてから作業してくれたのだろうか。なんて頼もしい人だ」と驚いて喜んでくれるのではないだろうかと。

さきほどの金曜の朝までに成果物を仕上げようという話とは矛盾するかもしれませんが、これはこれで、日常の業務にちょっとしたサプライズ、ワクワクを取り入れることでモチベーションの維持に役立つことがあります。

そして、サプライズとは、スピードに限らず、上司やクライアントの期待を超えていくことです。ホンダの本田宗一郎さんも、ユニクロの柳井正さんも、クライアントの要求に応えていてはダメだと言っています。

なぜなら、クライアントは自分の常識、想像の範囲内にあることしか要求することができないからです。クライアントが自ら思いもつかない潜在的な要求をこちらから提供していくことで、初めてクライアントの期待を超え、新たなニーズの発掘に繋がるのです。

●月曜の朝は、少し早めに快活に出社する

さきほど木曜、金曜の話をしましたが、最後にもう一つだけ、月曜の朝の話もしてみます。

月曜は、週末を挟んで、職場のメンバーが少し新しい雰囲気で再会する瞬間です。週末に遊び倒した疲れからか、月曜朝の出社時には元気がなく遅刻しそうになることもあります。

しかし、少しだけ日数をあけて再会する月曜の朝に、相手に与えるイメージは、他の曜日以上に大きいものです。しかも、週末にもメールが来ていて、作業しなければいけないことが他の曜日より多いこともあります。そうであれば、もし週のどこかで力を入れようとするのであれば、月曜の朝がお得です。

日本電産の永守重信さんは、「出勤時間の早い人は、他の待ち合わせ時間にも早く集まり、そういう人は常に心の余裕があり、行動を起こす前にもう一度考えてみることができる。他方、いつもギリギリの人は余裕を持って物事を進める習慣がなく、小さなミスが膨らみ、あらゆることがルーズになっていく」と言っています。

私は、今はフリーランスで出社の概念がありませんが、法律事務所に勤めていた時は、特に月曜の朝は、いつもより意識して少し早く、快活に出社するようにしていました。少し無理やりなエピソードかもしれませんが、このようにいろいろな考え方を自分のモチベーションを高めてくれるツールとして持っておくようにしています。

過去に送信したメールを定期的に見返す

仕事の価値として、自己実現価値というか、自己成長を感じることの楽しさがあります。それをわかりやすく感じられる方法として、自分が過去にクライアントや上司等に送信したメールを定期的に見返すということをしています。

これをするようなったきっかけは、大学院の時に、過去に自分が書いた答案を読んでみると、何が言いたいのか全くわからず、事案の把握も全く不十分で、それにもかかわらず当時の自分は理解できている気になって得意げに論述していることに気が付く、ということがよくあったからです。

これは、逆に言えば、当時からすれば今の自分が成長できているわけです。

同様に、自分が過去にクライアント等に送ったメールを定期的に見返してみると、わずか数ヵ月前に自分が送ったメールでさえ、この時の自分はなんて事案把握能力がなく、とんちんかんなメールを送ってしまっているのだと恥ずかしく思うことが多々あります。と同時に、少し前の自分がとても劣って見える程に今の自分が成長できたことが実感でき、モチベーションを高めてくれます。

さらに、過去の自分の仕事ぶりを客観的に評価できるので、改善点も見つけやすく、さらなる自己成長に繋げることができます。

日本一稼ぐ弁護士の仕事術
福永活也(ふくなが・かつや)
弁護士・実業家・冒険家。名古屋工業大学を卒業後、24歳までフリーターとして過ごす。その後、関西大学法科大学院を経て、27歳の時に司法試験に出願者数7842人中56位の成績で一発合格。弁護士として働き始め、5年目にして独立。独立1年目から2年連続して弁護士業のみで年収5億円を突破し、「日本一稼ぐ弁護士※」となる。 ※ 2014・15年度 国税庁統計年報所得種類別人員における主たる収入が「弁護士」の区分で最も高いレンジである課税所得5〜10億円に入る。

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