要旨
- 今後10年、20年、30年というタームで続くであろう「米中新冷戦」が始まっており、それは米中メガテック企業の今後を占う上でもっとも重要な要素である。
- 米中新冷戦の構図は、PEST分析の手法を用いれば、「軍事や安全保障を含む国力の戦い」(政治)、「米国式資本主義と中国式資本主義の戦い」(経済)、「『自由×統制』のあり方を巡る価値観の戦い」(社会)、「テクノロジー覇権の戦い」(技術)と描写することができる。
- 米中新冷戦のなかでの中国の競争優位は、「経済的効果」と「国家政策」という二つの視点から理解することができる。前者は、「規模の経済」「範囲の経済」「速度の経済」それぞれから産み出される経済的効果である。後者は、中国政府が進める「中国製造2025」「インターネットプラス政策」「次世代AI発展計画」という政策である。
- 中国の競争優位に対して米国が感じる脅威は、西側経済からの「ファーウェイ排除」の攻勢として具体的に現れてきた。
- 「ファーウェイ排除」の本質とは、単なる企業間のシェア争いに留まらず、米中新冷戦の構図がそのまま投影されているということである。
- 米中新冷戦のなかで、日本企業や日本という国家自体には、「戦わずして勝つ」ことができるようになることが求められている。そのためには、世界がどう在るべきなのか、日本がそのなかでどう在るべきなのか、自分の業界や企業がどう在るべきかという使命を明確にしておくことが重要である。