非嫡出子は嫡出子の2分の1の相続分とされていた

上述のとおり、「認知されていない非嫡出子」には相続人となる資格自体がなく、「認知された非嫡出子」には相続権がありますが、民法900条の定めにより「法定相続分は嫡出子の2分の1」と規定されていました。例えば、改正前の民法内容によると、夫・妻・息子の3人家族で、夫に非嫡出子(認知済)がいた場合、夫が亡くなったときの法定相続分は、妻が2分の1、息子(嫡出子)が3分の1、非嫡出子が6分の1となります。

これには、家族以外に愛人や子供を持つことが少なくなかった、過去の時代背景が影響しています。当時、非嫡出子に嫡出子と同等の相続分を認めてしまうと、家制度を維持することが困難になってしまうことから、合理的な法的考えとして差が設けられていました。


民法改正に至った理由~最高裁判所の判例

最高裁判所は「非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とすることは、法の下の平等を定める憲法14条に反しており違憲である」との決定を平成25年9月4日に下しました。

これにより、民法の違憲部分を改正する必要が生じたことから、平成25年12月5日に民法を一部改正する法律が成立し、改正後の法律が平成25年12月11日に公布・施行されました。この改正により、民法において「嫡出でない子(非嫡出子)の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする」と定めた部分が削除され、両者の相続分が同等となりました。


いつから開始した相続に対して新民法が適用されるか

新民法は平成25年9月5日以後に開始した相続に適用されます。また、それ以前に開始した相続についても、最高裁にて「平成13年7月において違憲であった」と判断されたことから、「平成13年7月1日から平成25年9月4日までに開始した相続のうち、平成25年9月5日以後に遺産分割を行う場合」であれば、新民法が適用されることとなりました。なお、同期間に発生した相続であっても、すでに遺産分割協議が終了している場合は、その内容を覆すものではありません。