(本記事は、教養総研 (著)『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』KADOKAWAの中から一部を抜粋・編集しています)

想像力
(画像=PIXTA)

行動する時はいつも「5年後、どうしているか」を想像する

ウォーレン・バフェット(Warren Edward Buffet)
(1930〜)アメリカの投資家・慈善事業家。世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの筆頭株主で、1969年より会長兼CEOを務める。以降、家具、保険から紳士服まで多角経営化を推し進め、有力企業に育て上げた。94年、経済誌「フォーブス」の選ぶ世界長者番付の1位に。2006年、約370億ドル(当時の日本円で約4兆3000億円)を財団ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金などに寄付、自らの財産の8割以上を手放した。「1億円払ってでも話を聞きたい」ともいわれ、「オマハの賢人」の異名を持つ。

この天才の名言

「人は習慣で行動するので、正しい思考と振る舞いを早いうちに習慣化させるべきだ。」

「邪悪な人間と組んでうまくいったためしはない。」

「たとえ証券取引所が10年間閉鎖されることがあっても喜んで持ち続けたい銘柄だけを買いなさい。」

なぜウォーレン・バフェットは世界的な投資家になれたのか?

ウォーレン・バフェットという人物がいます。

バフェットは世界的にその名が知られるアメリカの投資家・慈善事業家で、1979年以来、世界長者番付の常連です。2017年は資産総額756億ドル(日本円で約8兆2000億円)で、ビル・ゲイツに次いで2位でした。

しかし、彼のすごいところはここから。億万長者にもかかわらず郊外の質素な家に住み続け、収入の大部分を慈善事業に寄付しているのです。このことから、彼は生まれ故郷の名を冠されて「オマハの賢人」と称されています(現在でも彼はネブラスカ州オマハに在住)。

彼の投資術には特徴があります。

短期的な利益を求めず、長期的な利益を得ることに終始しているのです。コカ・コーラ、ワシントン・ポスト、アメリカン・エキスプレスなど、グローバル企業の株式を数十年も保有していますが、彼が株式を取得する時は当該会社の経営危機であることも少なくありません。このことから、彼は儲けのためだけに投資をしているのではないということが分かります。そして、このような彼の投資への理念が、彼を世界に名だたる投資家に押し上げているのでしょう。

彼の投資術の片鱗が見える言葉があります。

「私は投資した翌日から5年間は市場が閉鎖されると想定して投資判断をします」

彼はデイトレーダーのように、短期での売り買いで儲けを出すようなことはしません。5年先、いや、10年、20年先を見ながら投資をしているのです。バフェットは半世紀以上にわたってアメリカン・エキスプレスの株式を保有し続けていますが、実は彼が株式を取得した頃、アメリカン・エキスプレスは詐欺(さぎ)に遭って倒産の危機にありました。

しかし、バフェットは「クレジットカードはこれから必ず世界中に普及する」と予想し、同社に投資することにしたのです。その後、アメリカン・エキスプレスは金融業に進出、旅行関連の業績が増大したことによって立て直しに成功しました。彼の長期的な視野が発揮された瞬間といえます。

「相談して決めようと思う時、私は鏡を見るんだ」

なぜ、ウォーレン・バフェットは投資において独特な考え方を持つようになったのでしょうか?

彼は若い頃、投資に関して、二度にわたって苦い経験をしています。

一度目は、11歳の時。幼い頃から株に強い興味を抱いていた彼は1株38ドルの株を3株購入し、40ドルに上昇した時に売却。6ドルの利益を得ました。ところがその後、その株は急騰。何と200ドルにまでなったのです。このことからバフェットは、購入した時の株価にこだわらず、小さな利益を求めることをしないことを学びました。

二度目は、大学生の時。父親と株式を共同で購入していた彼は、マーシャル・ウェルズという金物卸売企業の株主総会に出席しました。その帰り道、バフェットは母校で教鞭を取る経済学者ベンジャミン・グレアムの盟友である投資家ルイス・グリーンにランチに誘われ、こう尋ねられます。「なぜマーシャル・ウェルズの株式を買ったのか?」と。

それに対し、バフェットが「グレアムが買ったからです」と答えると、グリーンは「人が勧めるから買うのか? 投資は自分の頭で考えて行なうものだ」と諭されました。[※1]

このことにより、バフェットは、投資は自分自身で調べ、自分の頭で考えてから行なうものだということを学んだのです。

またバフェットは、「他人が貪欲になっている時は警戒しよう。他人が警戒している時だけ貪欲になろう」とも語っています。つまり、「(株は)安く買って、高く売る」のがよいといっているわけです。彼がこの言葉で伝えたいのは“集団に流されることの危険性”であり、自分の勘を信じることの大切さだと思います。

バフェットは、銘柄選びや売買のタイミングをどのように選んでいるのかと聞かれた時、このように答えていました。

「相談して決めようと思う時、私は鏡を見るんだ」

鏡に映る自分を見つめながら、「私はこれからどうすればいいのだろうか?」と問う。

相談相手を選ぶ時は、まず自分自身に問いかけることからはじめてみてはいかがでしょうか。

[※1]『ウォーレン・バフェット 巨富を生み出す7つの法則』桑原晃弥(朝日新聞出版)

プラスα 「目標達成後の自分は何をしている?」と自分に問う
バフェットは銘柄を購入するとき、「5年後、どうなっているだろう?」と問いますが、何か行動するときに彼のようにイメージすることはとても重要なことです。さらにいうと、具体的に、クリアにイメージすることが大切になってきます。たとえば、目標を達成した時、「私はその後どんなことをしているのか?」「誰といるのか?」「どんな気持ちになるのか?」というように、現実に沿ってイメージを具体化させると、あなたのやりたいことが実現に近づくでしょう。
すぐに真似できる 天才たちの習慣100
教養総研
今ではレアとなった古説・珍説の類から、広く一般に普及しているライフハックまで、知識・知恵など「教養」に関するさまざまなトピックスをわかりやすい形で世に発信する小集団。
古今を問わず、東の『論語』や西の『道は開ける』(D・カーネギー)など、これまで世に出た優れた教養・自己啓発書を日々物色し続けている。

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