(本記事は、教養総研 (著)『すぐに真似できる 天才たちの習慣100』KADOKAWAの中から一部を抜粋・編集しています)

ソニー,株価
(画像=Sundry Photography/Shutterstock.com)

相手の気持ちがどのチャンネルにあるか見極める

盛田昭夫 (Akio Morita)
(1921〜1999)実業家・経営者。実家は江戸時代から続く造り酒屋で、大阪帝国大学(現在の大阪大学)理学部物理学科卒業後、戦後の1946年、井深大とともに東京通信工業(ソニーの前身)を創立。初の国産テープレコーダーやトランジスタラジオなどの独創的な製品を立て続けに開発。営業面も担当し、同社を「世界のソニー」に育て上げた。携帯カセットテープ・プレーヤー「ウォークマン」の発案者でもある。

この天才の名言

「相手の電波が何チャンネルに合っているかを知ってその電波を出せば、ちゃんと受信する。それがコミュニケーションだ。」

説得力があり、かつ論理的に話す盛田のスピーチ

1998年、アメリカ誌「タイム」で「20世紀にもっとも影響力のあった経済人20人」の1人に選ばれた盛田昭夫。井深大とともにソニーを創業した偉大な経済人です。彼が開発に携わったウォークマンは世界を席巻し、人びとのライフスタイルを一変させました。ビジネスマンとしても技術者としても天才だったのが盛田でした。

欧米の財界人とも親しく交流した盛田はスピーチをすることも多かったのですが、彼はスピーチする時、原稿を見ません。元ソニー社長の出井伸之氏によると、「人を口説く時に原稿を見ないのと同じで、原稿を見ながら説得力のあるスピーチができるはずはない」というのが盛田の持論だったそうです。[※1]

事前にきちんと練習を重ねた盛田は、相手の感情や自分の主張をことさら訴えるのではなく、事実を提示しながら、相手が自ずと結論に到達できるように導く話し方をしていたといいます。

盛田はコミュニケーションをとても大切にしていましたが、その時のコツの表現方法もまた独特です。彼が相手とコミュニケーションを図る時、相手の気持ちがどのチャンネルに合っているのかを早く見つけることに神経を集中させていました。

つまり、相手の言葉の真意がどこにあるのかを探りながら間合いを詰めるということです。あるテーマパークでは、広大な敷地を掃除することに関して、ただ「きれいに掃除しなさい」と従業員に伝えるのではなく、「赤ちゃんがどこを這ってもいいように洗いなさい」と伝えています。「赤ちゃんが這ってもいいように」という具体的な指示がポイントで、その言葉が相手と自分のチャンネルを合わせる合言葉になるわけです。

プラスα 出会いを大切にし、明るくオープンな盛田昭夫の接し方
 盛田昭夫は明るくオープンな接し方が特徴で、2〜3回会えば「あの人は知っている」、4〜5回会えば「親しい」といっていました。顔と名前を覚えるのもとても早く、それが相手との親近感をもたらし、早く良好な関係性を築くことができる要因にもなりました。
すぐに真似できる 天才たちの習慣100
教養総研
今ではレアとなった古説・珍説の類から、広く一般に普及しているライフハックまで、知識・知恵など「教養」に関するさまざまなトピックスをわかりやすい形で世に発信する小集団。
古今を問わず、東の『論語』や西の『道は開ける』(D・カーネギー)など、これまで世に出た優れた教養・自己啓発書を日々物色し続けている。

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