インドネシアの19年9月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比5.7%減(前月:同10.0%減)とマイナス幅が縮小した。輸出は自動車・同部品の増加が下支えとなっているものの、昨年後半から世界的な需要減退と商品価格の下落を背景に主力の石炭やパーム油などの資源関連が振るわず、低迷している。また輸入額も前年同月比2.4%減(前月:同15.7%減)とマイナス幅が縮小した結果、貿易収支は1.6億ドルの赤字となり、前月から2.7億ドル悪化した(図表9)。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同2.7%減(前月:同7.2%減)とマイナス幅が縮小、また石油ガス輸出が同37.1%減(前月:同38.5%増)と2ヵ月連続で大幅に減少した(図表10)。品目別に見ると、宝飾品(同57.5%増)と自動車・同部品(同13.3%増)、鉄・鉄鋼(同41.2%増)など一部品目の好調が続く一方、電気機械(同5.2%減)やゴム製品(同9.0%減)、鉱石、スラグ及び灰(同14.5%減)、動植物製油脂(同13.8%減)など幅広い品目の減少傾向が続いた。
シンガポールの19年9月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て、通関ベース)は前年同月比8.6%減(前月:同10.0%減)となり、小幅ながらマイナス幅が縮小した。輸出の伸び率は昨年後半から低調に推移していた電子製品が年末頃に減少幅を拡大、また石油化学製品が低迷するなど、主力の輸出品を中心に不振が続いている。なお、総輸出額は前年同月比5.7%減(前月:同11.5%減)、総輸入額は同5.3%減(前月:同7.5%減)となり、それぞれ低迷した。結果として、貿易収支が29.2億ドルの黒字となり、前月から0.8億ドル黒字が縮小した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同25.2%減(前月:同26.7%減)と低迷し、10ヵ月連続の減少となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同30.6%減)をはじめ、PC(同33.5%減)、PC部品(同18.5%減)、ダイオード・トランジスタ(同14.0%減)などが軒並み低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同15.4%減(前月:同19.3%減)と4ヵ月連続で減少した。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品(同11.1%減)と医薬品(同27.2%減)がそれぞれ大きく減少した。
フィリピンの19年9月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比2.6%減と、前月の同0.8%増から低下した。輸出の伸び率は昨年12月に短期的に落ち込んだ後、4月以降は電子製品を中心に小幅の増加傾向が続いていたが、9月は幅広い品目で輸出の減少傾向が強まり、6ヵ月ぶりのマイナスとなった。また輸入額も前年同月比10.5%減(前月:同8.8%減)と低下した。結果として、貿易収支は31.2億ドルの赤字となり、前月から4.4億ドル赤字が拡大した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同3.8%増と、前月の同6.6%増から低下したものの、6ヵ月連続のプラスとなった(図表14)。電子製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同4.1%減)が落ち込んだものの、家電製品(同47.2%増)がプラスに転じたほか、主力の半導体デバイス(同5.5%増)が拡大した。その他9品目は総じて減少した品目が多かった。その他鉱産物(同89.6%増)と生鮮バナナ(同55.5%増)が増加した一方、金属部品(同25.8%減)と衣類・同附属品(同20.7%減)、機械・輸送用機器(同20.0%減)、雑製品(同8.1%減)、イグニッションワイヤーセット(同7.0%減)、その他製造品(同6.3%減)、金(同1.8%減)が減少した。
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斉藤誠(さいとう まこと)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 准主任研究員
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