中国向け製品の最大の見本市「中国国際輸入博覧会」が5日から上海で始まっている(10日まで)。巨大市場の開拓を視野に日本からも約380の企業と団体が出展。一方、中国は市場開放の拡大を視野に、巨大経済圏構想「一帯一路」の推進にも一段と力を注ぐ構えだ。
輸入博は今年で2回目。日本を含めた155の国と地域が参加し、4000近くの出展がある。中国の習近平国家主席は開幕のあいさつで、関税の引き下げにより、同国市場をより一層開放していく考えを表明した。
日本からも日立製作所(6501)やパナソニック(6752)、花王(4452)といった大企業が乗り込み先端技術を積極的に売り込んでいる。昨年は日本円で6兆円に上る商談が成立した一大イベントだけに、各社の鼻息は荒い。
有望な市場の一つがヘルスケアだ。グンゼ(3002)は本格参入したばかりの再生医療分野をさっそくアピールする。生体内で分解される「ポリグリコール酸」を用い、手術の際に患部に貼り付けることで、軟骨が再生するための足場になる基材を開発した。高齢化の進む中国で、軟骨の劣化に起因する病気の治療ニーズを狙う。
このほか、島津製作所(7701)は移動式のデジタル一般エックス線撮影装置を出展。フマキラー(4998・(2))も、家庭用殺虫剤やPM(粒子状物質)2.5対策でまだ手薄な中国市場での攻勢の機をうかがう。
食品メーカーにとっても中国市場の開放は大きな商機になる。輸入博にはキユーピー(2809)や井村屋グループ(2209)、木徳神糧(2700・JQ)などが参加。青果物のネット販売を主力とするオイシックス・ラ・大地(=オイラ大地、3182・M)は野菜ジュースを展開するほか、豆乳のマルサンアイ(2551・名(2))も巨大市場を見据える。
一方、中国の市場開放は、同国の西部から中央アジア、欧州へとつながる一帯一路のビジョンともリンクする。米トランプ政権の「アメリカファースト主義」に対抗する構えの習主席は、輸入博を契機に一帯一路を一段と整備する方針も示した。
現代のシルクロードとも呼ばれる一帯一路に絡んでは、大規模なインフラ需要が発生している。日本企業も油圧ショベルの日立建機(6305)やロードローラーの酒井重工業(6358)、湾港工事の五洋建設(1893)などが有力な関連銘柄だ。
そして、このテーマの一押しが掘削機械の鉱研工業(6297・JQ)。トンネル用ボウリングマシンの中国西部での販売実績が豊富で、経済圏の拡大が追い風になる。海外売上高は前3月期が7%にとどまったものの、中・長期的に2割程度への拡大を目指す。株価は500円前後でのもみ合いが続き、そろそろ噴射へのエネルギーが蓄積されたとみられる。(11月7日株式新聞掲載記事)
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