日本KFC「日常食」訴求

フライドチキンブーム
(画像=PIXTA)

フライドチキンブーム到来か――。日本KFCホールディングス(9873・(2))は「ケンタッキーフライドチキン」を「日常食」として訴求する戦略が奏功し、今3月期上期の収益が急拡大した。また、米国では、大手チェーンが最近発売した「チキンサンドイッチ」が社会現象を巻き起こしている。タピオカに続く外食のトレンドを予感させるだけに、関連銘柄をマークしたい。

日本KFCの上期決算は、連結営業利益が25億円と前年同期の5倍に膨らんだ。書き入れ時のクリスマスを待たずに、通期計画(営業利益15億円、前期比32%減)を大きくクリアする好調ぶりだ。

それもそのはず。以前は誕生日やクリスマスといった「晴れの日」のファミリー層需要に頼っていた同社だが、前期から「普段のメニューとしてのフライドチキンの浸透に力を入れた」(日本KFCのIR担当者)。500円ランチメニューの導入や、30%引きのキャンペーンなどの施策を積極的に打ち出した結果、既存店売上高は10月まで11カ月連続で増加し、上期累計では前年同期比11%増を達成した。

フライドチキンの人気は世界でも熱い。米国では、ニューオリンズ発祥の大手チェーン「ポパイズ・ルイジアナ・キッチン」に、今年8月発売のチキンサンドイッチを求める客が殺到。売り切れが続出し、ついには行列の順番をめぐるいさかいから殺人事件まで発生するなど、耳目を引く事態となっている。

競合も負けてはいられず、米国では「ウェンディーズ」などほかの大手チェーンもPR合戦を繰り広げる「チキンサンド戦争」に発展しているという。振り返れば、タピオカ入りミルクティーも、日本で空前のブームとなる前に米国市場を席巻している。その経緯を踏まえると、チキンサンド戦争が海を越えてやってきても不思議ではない。

外食では日本KFCを筆頭に、日本マクドナルドホールディングス(2702・JQ)やモスフードサービス(8153)が浮かび上がる。ただ、いずれも株価に割安感がないため、市場の関心はおのずと周辺銘柄に向かっていきそうだ。

鶏肉大手のアクシーズ(1381・JQ)は、ケンタッキーフライドチキンに材料を供給している。足元の事業環境は日本KFCと対照的に、鶏肉相場の低迷により厳しい(今6月期第1四半期の連結営業利益は前年同期比30%減の5億円)が、フライドチキンブームが本格化するとなれば状況も変わる。また、加工工程などでの機械化を進め、収益性の改善を図る方針だ。

日東富士製粉(2003)はケンタッキーフライドチキンのトップフランチャイジーとして外食事業を展開する。今3月期上期の連結営業利益は22億円(前年同期比31%増)と好調。株価の上昇基調に陰りはなく、PER9倍、PBR(株価純資産倍率)0.8倍の投資尺度を踏まえるとまだ上値余地は大きそうだ。

ファストフードのトレンドはコンビニエンスストアにも波及する。フライヤーなどの設備投資を後押し、業務用ちゅう房大手のマルゼン(5982・(2))や中西製作所(5941・(2))に商機が拡大する可能性がある。(11月15日株式新聞掲載記事)

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