決算発表がほぼ終了しました。上場企業の企業業績は悪化局面を迎えたことが明らかになりました。したがって、銘柄のパフォーマンスは今まで以上に明暗が分かれる可能性があります。そこで、「日本株投資戦略」は、そんな業績悪化局面でも逆に「強さが光る」と期待される8銘柄をスクリーニングにより抽出し、ご紹介したいと思います。

この業績悪化局面で、逆に強さが光ると期待される8銘柄はコチラ!?

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

決算発表がほぼ終了しました。3月決算の主要企業については、11/19(火)に損保3社の発表を残す程度となり、それ以外の業種では、発表が終了しました。今後は、3月決算全銘柄について、2019年4~9月期の業績を織り込んで、比較・分析することが可能になります。

後述する通り、今回の決算発表を経て、上場企業の企業業績は悪化局面を迎えたことが明らかになりました。したがって、銘柄のパフォーマンスは今まで以上に明暗が分かれる可能性があります。そこで、「日本株投資戦略」は、そんな業績悪化局面でも逆に「強さが光る」と期待される8銘柄をスクリーニングにより抽出し、ご紹介したいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証上場銘柄であること。
(2)時価総額が1千億円以上の銘柄であること。
(3)3月決算銘柄であること。
(4)広義の金融や、投資法人等を除く業種の銘柄であること。
(5)業績予想を公表しているアナリストが3名以上いる銘柄であること。
(6)2019年4~9月期(上半期)累計の営業利益について、以下の条件を満たすこと。
 ・前年同期比で10%以上の増益であること。
 ・事前の市場予想営業利益よりも上回っていること。
 ・前年同期比の増益率が通期(2020年3月期)会社予想営業増益率より大きいこと。
 ・通期会社予想営業利益に対する進捗率が50%以上と計算されること。
 ・決算発表と同時に会社側が通期予想営業利益の下方修正を行っていないこと。
(7)市場予想営業利益が10/10(木)以降11/14(木)までの間に下方修正されていないこと。
(8)市場予想営業利益が来期(2021年3月期)に10%以上の増益見通しであること。

これらの全条件を満たす銘柄について、2019年4~9月期(上半期)累計の対前年同期比営業増益率が高い順に並べたものが表1となります。「日本株投資戦略」では、これらの8銘柄は、今後の東京株式市場で好業績が評価され、「強さが光る」銘柄にとらえられる可能性があると考えています。なお、こうした考え方はスクリーニングからもたらされるもので、アナリスト等による評価と大きく異なる場合もありますので、あくまでも参考意見としてご理解いただけると幸いです。

表1 この業績悪化局面で、逆に強さが光ると期待される8銘柄
(画像=SBI証券)

表1 この業績悪化局面で、逆に強さが光ると期待される8銘柄はコチラ!?
コード / 銘柄 / 株価(11/15) / 営業増益率(前年比)2019/4~9期 / 営業増益率(前年比)2020/3期予想
<6754> / アンリツ / 2,091 / 90.5% / 2.3%
<3360> / シップヘルスケアホールディングス / 4,750 / 60.9% / 3.1%
<7780> / メニコン / 3,980 / 56.0% / 29.4%
<4516> / 日本新薬 / 9,540 / 45.7% / 1.7%
<4681> / リゾートトラスト / 1,858 / 39.9% / -15.2%
<2317> / システナ / 1,656 / 27.0% / 14.0%
<8919> / カチタス / 5,020 / 24.1% / 13.7%
<4528> / 小野薬品工業 / 2,240 / 19.1% / 8.0%

※会社公表データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。予想は会社予想。

悪化局面を迎えた企業業績

2019年4~9月期、上場企業の業績は悪化局面を迎えたと考えられます。本業のもうけを示す営業利益は、広義の金融を除く上場企業全体(時価総額1千億円以上)において、前年同期比1割を大きく超える減益になったとみられます。投資ファンドで損失を計上したソフトバンクグループ(9984)の減益が目立ちましたが、経営陣を巡る混乱が続いた日産自動車(7201)、米中通商問題激化に伴う荷動き悪化の影響を受けた海運株、同問題による世界的な設備投資減速の影響を受けた機械株など、減益となる企業が増えました。

それを受け、3月決算の主力上場企業について、約3割の企業が通期(2020年3月期)の予想営業利益を下方修正したようです。上方修正できた企業は14%程度にとどまりました。会社予想営業利益は全体で、当初予想から5%弱下方修正され、前年同期比では5%を超える減益になる見通しです。同様に、アナリストの予想を集計した市場コンセンサスも、通期予想営業利益で1%超下方修正され、前期比4%弱程度の減益見通しになっています。

日経平均株価から計算される同株価の予想EPS(1株利益)は、日本経済新聞社の計算によりますが、会社予想がベースになっていると考えられます。会社予想業績の下方修正が増えた結果、同EPSは、決算発表の始まった10/10(木)は1,756円でしたが、決算発表が一巡した11/14(木)には、1,667円まで減少してしまいました。

日経平均株価は過去数年、順調に上昇基調をたどってきましたが、その背景には上昇を続ける予想EPSの上昇があったと考えられます。予想EPSの上昇は企業業績の拡大を示しているからです。今回、予想EPSが低下に転じたことは、株高の条件がひとつ失われたことを示しており、投資家には要注意と言えるかもしれません。

ただ現実には、決算発表シーズンに相当する10月中旬以降、株価は上昇基調となりました。なぜでしょうか。2019年4~9月期の営業利益について、市場コンセンサスの存在する主力企業の約6割が市場コンセンサスを上回ったことが大きな理由と考えられます。株式市場は悪いなりに、業績悪化を事前に予想し、実際の業績は心配したほど悪くなかったことになります。

表1に掲載した企業は、このように厳しい環境下でも市場予想を超える営業利益を確保し、さらに来期にかけても大幅増益が見込まれる企業です。株式市場では希少価値を有した存在ともいえ、今後も評価される可能性が高そうです。

図1 日経平均株価と予想EPS(1株利益)

図1 日経平均株価と予想EPS(1株利益)
(画像=日経平均株価データをもとにSBI証券が作成)

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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