【目次】
①JMDC IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【12/4更新】
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント 【12/2更新】 ※有料会員限定
- 会社名
- 株式会社JMDC
- コード
- 4483
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長兼CEO 松島陽介 /1972年生
- 会社住所
- 東京都港区芝大門2-5-5
- 設立年
- 2013年
- 社員数
- 200人(2019年09月30日現在)
- 事業内容
- 医療データベースの構築と提供、PHR 等の健康増進サービス、画像診断 等の遠隔医療、調剤薬局へのデジタルソリューションの提供
- URL
- https://www.jmdc.co.jp/
- 資本金
- 668,972,000円 (2019年11月13日現在)
- 上場時発行済み株数
- 25,975,042株
- 公開株数
- 5,100,000株
- 連結会社
- 8社
- スケジュール
- 仮条件決定:2019/11/29→2,780~2,950円に決定
- ブックビルディング期間:2019/12/02 - 12/05
- 公開価格決定:2019/12/06→2,950円に決定
- 申込期間:2019/12/09 - 12/12
- 上場日:2019/12/16→初値3,910円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- ノーリツ鋼機(株) 77.26%
- 松島陽介 5.37%
- 山元雄太 4.38%
- 杉田玲夢 1.94%
- (株)PKSHA Technology 1.75%
- 木村真也 1.29%
- 上沢仁 0.82%
- 長谷川雅子 0.67%
- 岡山太郎 0.42%
- 松本孝 0.34%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2017/03 単体実績
2,215,000 561,000 160,000 1,229,000 - 2018/03 連結実績
3,022,000 596,000 390,000 1,752,000 - 2019/03 連結実績
10,064,000 1,410,000 1,010,000 6,117,000 - 2019/09 第2四半期連結実績
5,626,000 855,000 590,000 6,756,000 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2020年3月14日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 150億4500万0000円(5,100,000株×2,950円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 2,681,600株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社JMDC<4483>はヘルスビッグデータ事業、遠隔医療事業、調剤薬局支援事業の3事業を展開する企業である。尚、ノーリツ鋼機<7744>が株式シェア77%を保有しており連結子会社となっている。
■事業内容詳細
同社はJMDC及びグループ会社により下記3事業を展開している。尚、同社グループは複数企業から構成されており、()内がサービス提供企業である
・ヘルスビッグデータ事業(株式会社JMDC、メディカルデータベース株式会社)
・遠隔医療事業(株式会社ドクターネット、有限会社エムアイ・コミュニケーションズ、医解网(上海)科技有限公司)
・調剤薬局支援事業(株式会社ユニケアソフトウェアリサーチ、株式会社日本メディアケートプラン、有限会社神田登栄薬局)
尚、同社は2002年1月に設立された株式会社日本医療データセンターが前身である。2008年2月にオリンパス<7733>が買収を行った後、2013年5月にノーリツ鋼機グループがオリンパスの保有株式を買い取り子会社化した。
積極的なM&Aにより事業を拡大しているが、下記が直近の沿革である。
●ヘルスビッグデータ事業
ヘルスビッグデータ事業は3つのサービスより構成されている
・保険者支援
主に健康保険組合に対して、レセプトデータ・健診データ等をデータベース化した上で、データを活用した健康課題分析等のサービスを提供する。
・PHR(パーソナルヘルスコード)
保険者支援サービスを提供する健康保険組合に対して、健康情報プラットフォーム「PepUp」による個人向け健康ポータルサイトを運営している(PepUpの発行ID数は140万を超え順調に増加中)。
・医療ビッグデータ
保険者支援サービスの中で健康保険組合より二次利用許諾を得て受領したレセプトデータ及び健診データ(匿名加工データ)から、600万人規模の医療ビッグデータを構築し、製薬企業・研究機関、生損保企業等に提供している。疫学調査やポピュレーションヘルス(集団全体の健康向上を効率的に実現する政策)に活用される。
●遠隔医療事業
遠隔医療事業を提供するドクターネットでは650人の放射線診断専門医と契約し、700の医療施設に遠隔読影マッチングサービスを展開している。
本サービスは契約医療機関の継続性が高く、また契約医療機関数と契約放射線診断専門医数が相乗的に増加する構造であり、安定的に成長している。
●調剤薬局支援事業
調剤薬局に対する業務システム(レセプトコンピュータ、電子薬歴など)の開発・提供を行っている。現在、調剤薬局向け業務システムをクラウド化した新商品の開発に取り組み中である。また同社グループの他のデータベースと組み合わせることで、より付加価値の高いデータベースの構築と調剤薬局向けソリューション開発を行う予定である。
■部門別売上高
2019年3月期の部門別売上高は下記である。
2019年3月期 売上収益101億円、営業利益15億円、EBITDA24億円
・ヘルスビッグデータ 売上収益43億円、セグメント利益15億円
・遠隔医療 売上収益35億円、セグメント利益8.7億円
・調剤薬局支援 売上収益23億円、セグメント利益0.7億円
※セグメント利益=セグメントEBITDA
ヘルスビッグデータ部門の売上収益が最大であるが、遠隔医療・調剤薬局支援も20億円以上の売上があり、バランスの取れた売上構成となっている。
■業績推移
2017年3月期 売上高22億円、経常利益5.6億円、当期純利益1.6億円
2018年3月期 売上収益30億円、営業利益6.2億円、当期利益3.9億円
2019年3月期 売上収益101億円、営業利益15億円、当期利益10億円
2020年3月期(予想) 売上収益112億円、営業利益19億円、当期利益13億円
※同社は2018年3月期よりIFRSを採用
※親会社の所有者に帰属する当期利益=当期利益としている
2019年3月期に株式会社ドクターネット(遠隔医療事業)、株式会社ユニケソフトウェアリサーチ(調剤薬局支援事業)などを子会社化した結果、2019年3月期は大幅な増収増益を果たした。
2020年3月期は着実な増収予想としているが、Q2(累計)で売上収益56億円、当期利益5.9億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状態
2019年3月期末時点で、資産合計190億円に対し資本合計61億円、自己資本比率32%である。
借入金53億円に対し、現預金36億円、営業債権及びその他の債権18億円となっている。また過去の企業買収もありのれん59億円、無形固定資産14億円が計上されている。
尚、営業活動によるキャッシュ・フローは2018年3月期+9.8億円、2019年3月期+18億円とプラスの状態で推移している。
■資金使途
IPOにより53億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。
・既存事業における顧客及びデータ量拡大に対応するための資金 17.億円
・PepUPのサービス対象拡大のための資金 5.6億円
・保有データ増加対応に伴う次世代データ基盤構築のための資金 15億円
・ドクターネットにおける基幹システム改善及びサーバー容量拡大資金 7.7億円
・ユニケソフトウェアリサーチにおけるクラウド型の新製品開発資金 4.4億円
調達資金の大半は、取り扱いデータ量拡大にともなう設備投資資金に充てられる。
■株主構成
ノーリツ鋼機<7744>が株式シェア77%を保有する筆頭株主である。松島社長は5.4%の株主シェアを有する第2位株主となっている。尚、ノーリツ鋼機は保有20,595,776株のうち3,100,000株を売出に拠出するが、IPO後も筆頭株主にとどまる。
ノーリツ鋼機を除けば個人中心の株主構成であるが、PKSHA Technology<3993>が少数株主(株主シェア1.8%)として存在している。
■まとめ