(本記事は、堀口龍介氏の著書『【契約率76.2%】営業・即アポ 6万5026時間の会話分析からわかった!』ぱる出版の中から一部を抜粋・編集しています)
アポ訴求率とアポ取得率の関係 なぜ即決営業は「3訴求」をルールとしたのか
私が過去に、5年分の全営業社員の商談やテレアポをすべて録音、分析し、「即決営業メソッド」の体系化に役立てたことはよく知られています。
しかし、分析の詳細については、これまで語ったことがありませんでした。そこで、即決営業初のテレアポ本となる本書では、特に「テレアポデータ」の分析から導き出したポイントをお伝えしてみようと思います。
テレアポのデータをご覧ください。
「どん底」事件後からはデータの取り方も工夫し、積極的にABテストなどを取り入れるようになりました。
例えばこのグラフは、「アポ訴求」の回数にあえて変化をつけて取ったデータから作成したものです。アポ訴求とは、「アポの設定に挑んだ数」のことであり、「ご興味ありますか?」などの軽い提案とは異なります。
【0訴求】趣旨説明や提案だけを行い、相手の回答に従うアポインター 【1訴求】趣旨説明後、1度アポ訴求をして、断られたら諦めるアポインター 【3訴求】趣旨説明と1度のアポ訴求で断られても、2度押し、3度押しを行うアポインター
1訴求、3訴求を担当するアポインターは、可能な限りそれを挑む気持ちで電話をかけるという前提です。
所定の回数のアポ設定を挑むまで、自分から「またお願いします」などと言って電話を切ることはしませんが、アポ訴求を挑む前に、相手から一方的に電話を切られた場合でも分母の3万件に含まれます。
なお、私の会社では、もともと【3訴求】がルールですが、データ取得のために、2支店で計9名のアポインターを使って、この実験を行いました。そして営業経験3年以上で、営業力が安定している6人の営業を現場に行かせるようにしました。すると面白いことがわかります。
●【0訴求】考察
「詳しくお話を聞いてみませんか?」のような提案だけで、積極的にアポの日時設定を仕掛けないため、タイミングよく商品を求めていた相手(今すぐ客)からしかアポを取ることができません。ですから、アポ設定数はかなり少なくなりますが、アポキャン率は低く、成約率は高くなり、成約単価は平均的になります。
●【1訴求】考察
「平日か土日だったら、どちらがご都合よろしいですか?」などのアポ訴求まで話を持っていくため、最初の提案で反射的に断ってしまった人や、押しに弱い人からもアポが取れる場合があります。その結果、アポ設定数はある程度増え、その分アポキャン率が高くなり、成約率と平均単価も低めになります。
●【3訴求】考察
最初の提案を断られても話を戻し、2度押し、3度押しを行うため、1通話の平均時間は長めになります。最も押しが強くなり、アポ設定数は増えますが、アポキャン率も高くなり、成約率も多少下がります。しかし、注目してほしいのが金額の部分です。3訴求だと、同じ3万件のテレアポを行った1訴求と2訴求に比べて、契約金額と平均単価が最も高くなるのです。
私はこれを、3訴求を行うことで相手の本音が引き出せ、最も必要とする人に商品が届くからだと考案しています。最も「契約につながるお客様」を探せるのが、3訴求だということです。ですから、私の学習教材の会社では、3訴求をルール化しているのです。
これまであまりデータを重視してこなかった方は、電話の録音機能やボイスレコーダーなどを活用して、1週間、1ヶ月とデータ収集を行ってみてください。データの量にあまりこだわらなくても、それを考察するだけで思わぬ発見があると思います。
そしてデータ分析で知り得たことは、すぐ次の行動に反映させるようにし、忘れずにデータを取ってください。データ収集を習慣づけることが大切です。