(本記事は、堀口龍介氏の著書『【契約率76.2%】営業・即アポ 6万5026時間の会話分析からわかった!』ぱる出版の中から一部を抜粋・編集しています)
アポ獲得率を格段にあげる「即アポ」フローチャート
ここまでで、アポ訴求の大切さをご理解いただけたと思います。しかし、「わかる」と「できる」は全然、違います。
野球でも、球の打ち方やフォームがわかっても、いきなりホームランを打てるわけではありません。テレアポも同じで、自然にできるようになるには、練習が必要です。そこで、これまで社外秘でしたが、本書では特別に、アポ訴求率を上げるための、具体的なテレアポフローチャートをご紹介します。次の図のフローチャートにしたがって練習を重ねてみてください。まず、いくつかの前提とトーク上の注意点があります。
「即アポ」の前提 ・断られても自分から電話を切らない ・相手が電話を切らなければ100%アポ設定に挑める ・相手が電話を切ったら引きずらず次にいく
「即アポ」の注意点 ・変な「間」をつくらない。間があると切られる可能性が高まる ・常に3倍の反応を心がける。人は良く反応してくれる人を好きになる ・ベネフィットはAREA話法(後述)でわかりやすく伝える
何度も言いますが、電話を切らない相手には、必ず3度はアポ設定に挑むようにします。このフローチャートにしたがって練習することで、相手の反応に惑わされることなく、アポ設定の「3訴求=3度押し」が可能になります。
アポが取れない人は、フレーズだけにこだわりすぎて、「次、何を言うんだっけ」と考えてしまう人です。すると、会話のリズムが途切れるため、相手に主導権を奪われ、電話を切られてしまいます。
テレアポは相手があることですから、教科書通りには進みません。
だからこそ、個々のセリフや順序にこだわるのではなく、流れを意識します。
そのうえで、「断りが出てきたらプラスに変えよう」という意識を持ち続け、アポ設定に挑んでください。
これはそのためのフローチャートです。
以下、復習も兼ねて順を追って解説します。
●「入り」の法則(1)、(2)
(1)と(2)については前出ですので、(1)は52ページ、(2)は62ページをご参照ください。
●アポ設定1 回目の法則(3)
(3)の「3倍の反応+流す」というのは、間髪入れずに次の話を始めて、相手の断りを「流す」技術です。
3倍の反応
相手に「けっこうです」と言われた場合、まず
「あー、そうですよね。わかります!」
と3倍の反応で受け入れ、「共感」しましょう。なぜ3倍の大げさな反応なのかというと、人は反応、つまりリアクションをしてくれる人を好きになるからでしたね。一番つらいイジメは「無視」だと言われるほど、リアクションが相手の心理に与える影響は大きいものです。しかし、ただ反応すればいいというものではありません。「ふーん」などの薄い反応では、興味がないように感じさせてしまうため、いつもの3倍の反応を意識してください。テレアポでは表情や動きが見えないため、大げさなくらいがちょうどいいのです。
流す
そして、電話を切らない相手に対しては、すぐに次の話を始めてください。大切なのは相手の断り文句と戦わず、いったん「流す」ことです。
実はこの段階では、相手はあなたの話を真面目に聞いて断っているわけではありません。
ですから、相手が断り文句というボールを投げてきたら、いったんそのボールを3倍の反応で受け止めて、投げ返さずに脇に置いてください。
話を戻す
置いたうえで、「でね」と間髪入れず、話を戻します。
話を元に戻すときの魔法のフレーズは「でね」です。
断りを流してから、強引に自分のペースに戻します。
もし+二者択一
ここで趣旨説明が終わっていたら、とにかく「もし+二者択一」で最初のアポ設定に挑みましょう。趣旨説明が終わっていなければ、趣旨説明から行い、また断られたらとにかく「そうですよね。いきなりですもんね。でね!」と言い続けて、1度目のアポ設定までたどり着いてください。
これを続けていると、理論上、電話を切らない相手なら100%アポ設定までいけます。もちろん、相手の言葉を流している感じにはなります。「こいつ、強引だな」と思われることもあるでしょう。
しかし、あなたが(5)のところで、「ちょうどよかった!」と言うまでは、相手は電話を切ろうとするだけで話を聞く態勢になりません。
だから、「3倍の反応」で受け止め、きちんとリアクションをしておけば、そこはあまり気にしなくても大丈夫です。
そして、「もし、お話を聞くとしたら、平日と土日だったらどちらがよろしいですか」と、1度目のアポ設定をお伝えできたら、返事のいかんにかかわらず、それだけで成功です。
●1回目のNOは「反射的な断り」(4)
これでアポを獲得できたら万々歳ですが、なかなかそうはいかないでしょう。
「けっこうです」
と、断ってくることがほとんど。
でも、ここで諦めてはいけません。1回目のNOは、「反射的な断り」。
電話を切られたら別ですが、1回目の断りは、次の戦いのゴングと考えましょう。
カーン。では、第2ラウンドの始まりです。
●アポ設定2回目の法則(5)
このラウンドのあなたの武器は、「理由を聞く」「ちょうどよかった!」「ベネフィット」、そして「もし+二者択一」です。
理由を聞く
相手が断ってきたら、まず、
「あ、ちなみに、何かお会いすることが難しい理由など、ございますか?」
と、断ってきた理由を聞きましょう。反射で断っているなら、「忙しい」「お金がない」などと適当に言う場合が、ほとんどでしょう。
もちろん、「けっこうです。忙しいから」と断り文句に理由をそえてきたら、この「理由を聞く」は省いて構いません。
ちょうどよかった!
断り文句が出て来たら、ここですかさず「ちょうどよかった!」です。
虚を突かれた相手は理由が知りたくなり、話を聞く態勢ができます。
「(断り文句→)ちょうどよかった!忙しいご家庭ほど喜んでくださる体験授業なんです。なぜなら……(→ベネフィット)」
などと言って、と次の展開に続けましょう。
ベネフィット+「もし+二者択一」
ベネフィットは、いかに効果的にお伝えするかが勝負です。
なお、設定に挑んだ数がアポ数につながりますので、ベネフィットを言った後は必ず、アポ設定までワンセットで行ってください。
「もし、体験授業を受けられるとしたら、平日か休日のどちらがご都合よろしいでしょうか?」
と、「もし+二者択一」で2回目のアポ設定に挑みましょう。
●2回目のNOは「警戒心の断り」(6)
ここの「けっこうです」は、「警戒心の断り」かもしれません。これも不屈の魂で、次の戦いのゴングと受け取りましょう。3回目で会ってくれる人が多いことは、データが実証しています。営業は、嫌われることを恐れてはいけません。
すかさず3回目のアポ設定に挑んでください。
●アポ設定3回目の法則(7)
一度断る理由を言わせているので、ここでは、
「子どもに勉強する気がないので、今はいいです」
と再度理由をそえて断ってくることが多いでしょう。
ここで間髪入れず、もう一度、
「ちょうどよかった!」です。
「ちょうどよかった!お子さんに勉強する気がないご家庭ほど、喜んでくださる体験なんです。なぜなら……(→ベネフィット)」
と続けましょう。
3回目のアポ設定では、2回目のアポ設定とは異なるベネフィットを伝えます。
そして、ベネフィットを語り終えたら、「もし+二者択一」で3度目の「アポ訴求」です。
●3回目のNOは「本音のNO」(8)
ここまでフローチャート通りに進めてきたら、ようやく相手の本音がわかります。
本当に興味がない人は「やっぱりいいです」と断ってきますので、丁寧にお礼を言って「またお願いします」と、相手が切るのを待って電話を切りましょう。そして気持ちを切り替えて「ハイ、次」です。
ただ、ここまで電話を切らずに話を聞いてくれる相手は、次回タイミングが合えばアポ設定できる可能性が十分あります。電話を切ってから問い合わせが入る場合もありますので、可能であれば案内状を送らせてもらうか、あなたの連絡先をお伝えしておきましょう。
そして本当に興味がある人は、この3度目のアポ設定で、
「じゃあまあ、土曜日なら少しくらい時間を作れるかも」
と少し上からOKしてくれます。
●具体的なアポ日時を設定していく(9)
「もし+二者択一」で細かく日時設定を行う
「少し上から」でもOKしてくれたらゴールは目前。
あとは相手の気が変わらないように、テンポよく話を進めていきます。
「オウム返し+リアクション」と「もし+二者択一」を小刻みに繰り返して、具体的なアポ日時を設定しましょう。
「(相手が土曜日と言ったら)土曜日ですね(オウム返し)、ありがとうございます(リアクション)。もし土曜日だったら、お昼か夕方だったらどちらがよろしいでしょうか?お昼ですね。ありがとうございます。もし……」
こんな感じです。相手に「自分で選んだ」という気持ちを持たせるために、一気に日時を決めようとせずに、はやる気持ちを抑えながら、少しずつ相手の都合を聞いていきます。
最後まで主導権は渡さない
そして、相手から、「夕方より夜の方がいいんだけど」と、逆提案をされたときは、スーパーチャンスでしたね。でも、すぐに飛びつかないようにしてください。
「夜ですか……、土曜日は人気ですので、ちょっと確認しますね。あっ、次の土曜日は大丈夫でした!」
このように言ってこちらの価値をあげてください。「よかったー」と相手に思ってもら うためです。このテクニックには、アポ設定率だけではなく、アポ当日の成約率をあげる効果もありますので、あなたの未来のためにしっかり行っておきましょう。日時が決まれば、ついにアポ入れ成功です。
相手の気持ちはすでにYESに向いています。