(本記事は、堀口龍介氏の著書『【契約率76.2%】営業・即アポ 6万5026時間の会話分析からわかった!』ぱる出版の中から一部を抜粋・編集しています)

なぜ、このネット全盛期に古典的なテレアポが一番強いのか?

テレアポ
(画像=Brian A Jackson/Shutterstock.com)

さて、このネット全盛期に、なぜ古典的なテレアポをおすすめするのでしょうか?

それは、アポを取るにはテレアポが最も効率的だからです。

まず、即決営業でいうアポの定義とは、(1)相手、(2)日時、(3)場所、(4)趣旨がすべて確定していることです。

例えば、

「また来週、御社に伺いますので、詳しいお話を聞いてくださいね」
「わかりました」

と、このようなやり取りでは、弊社では「アポが入った」とは言えません。再度連絡を取らないことには、相手と確実に会うことができないからです。

アポ設定には、テレアポ以外にも、次のようなさまざまなやり方があります。

(1)飛びこみ訪問
(2)メール、お問い合わせフォーム
(3)FAX、チラシ、DM
(4)チャット営業
(5)申込サイト・イベントからの誘導

しかし、相手、日時、場所、趣旨の4つを確定するために、私はテレアポを強くおすすめします。それはどうしてなのか?他のアポ取得方法を解説しながら、テレアポと比較検証していきます。

(1)メンタルは強くなる「飛びこみ訪問」

これは、各営業が、割り当てられたエリア内の会社やご家庭を一軒ずつ訪問していくという昔ながらのやり方です。

私も散々やってきたのでよくわかりますが、無駄足が多く、時間と体力を消耗します。ご近所付き合いなどで人と人とのつながりが深かった昔とは違って、今は見知らぬ人が訪ねてくると警戒される時代です。

まれに会話が弾んだとしても、あなたの商品に何の興味もない可能性が高く、決裁者に会えるとも限りません。初日に名刺だけでも渡して、後日、訪問を繰り返せばアポや商品説明につながることはありますが、可能性は高くありません。

門前払いは当たり前、怒鳴りつけられたり、マンションの出入りを禁止されたり、警察を呼ばれることもありますので、メンタルを鍛えるトレーニングとしては役立ちます。

(2)「メール」「お問い合わせフォーム」は1万件に1本

これは、ターゲットになりそうな企業のメールアドレスやお問い合わせフォームを探しては、自社のサービスを紹介する営業メールを送り、

「よかったら一度、お話を聞いていただけませんか?」
「興味を持っていただけたら、一度ご連絡ください」

などと締めくくるやり方です。

メールを送った後で電話をかけていくならテレアポですが、基本は相手からの連絡を待つスタイルです。100件や1000件程度の配信では反応が見込めないため、何万件もの配信先を探すことになります。

運よく1万件に1本の問い合わせが入ったとして、そこから改めてアポ設定を始めなければなりません。

そもそも文章は、一瞬で理解できる絵や写真とは違って、読む側の時間やエネルギーを奪います。これを専門用語で「認知コストがかかる」と言います。ですから、内容に興味がある人にしか効果を発揮しないのです。

BtoB営業などで、1件の契約金額が相当大きい場合を除き、多くのアポを確実に取るには、メール営業にはあまり期待しないようにしましょう。

(3)FAX、チラシ、DMの反応は「万三つ」以下

これは、一方的に商品情報を送って相手の連絡を待つという点では、(2)と同じです。ただ、上手く写真やイラストを使えば、パッと見て一目で理解ができるため、「認知コスト」はメールよりも低くなります。

例えばトラクターなどの有形商品でお得感があれば、ちょうどその商品を探していた「今すぐ客」からの反応が得られる可能性はあります。

しかし、マーケティング業界には「せんみつ」という言葉があります。バナー広告のクリック率は千に三つ、つまり平均0・3%ぐらいだということです。

チラシやDMなどの反応率はさらに低い「万三つ」だと思っておかなければなりません。

実際、水回りのトラブルの修理業者を行っている私の友人も、1万枚のチラシを撒いて3件反応があればいい方だと言います。

ましてや、もっと高額な商品や無形のサービスを扱う場合、このやり方だとアポ取りが難しいことは想像に難くないでしょう。

(4)「チャット営業」は相手のペースにはまる

これは、ネット時代ならではのFacebookやLINEの個別メッセージで、アポを取るという方法です。

メール営業との違いは、SNSのいいねやコメントを通じて、まず信頼関係を築き、相手の関心事を把握することができるということです。

そして時機を見て、1対1の個別メッセージを開始し、「一度会ってお話しませんか?」などと言って、アポを取っていきます。

これを「チャット営業」と言います。若者はネット慣れしていて、このやり方が上手い人は大勢います。

でも、アポはそれほど取れていないのが現状です。なぜなら文字のやりとりでは、こちらのペースで話を進められないからです。何日も既読スルーになったり、話をそらされたり、逆にこちらがすぐに対応できないこともあります。さらにうっとうしいと思われてブロックされたら、すべてが水の泡です。

一方、電話ならお互いが時間を共有しているため、会話によって相手の気持ちをほぐしながら商品への興味をひくこともできますし、相手の断り文句に対して即座に応酬することもできます。

結局チャット営業では、よほど前向きな相手でないと、どこかで返信がなくなり、アポまで導けません。その他、相手の身元がわからない、アポが入っても簡単にすっぽかされるなどのデメリットがあります。

SNSメッセージのやりとりは、情報収集や初期の人間関係を築くにはとても役立ちますが、アポ取りのとどめは電話にかないません。

(5) 集客力があれば「申込サイト・イベントからの誘導」は有効

まず無料イベントやお茶会を企画して、ポータルサイトやHPにアップし、申し込んでくれる参加者を募ります。そして、当日参加してくれた人たちに商品説明などを行い、興味のある人からアポを取るというやり方です。

しかし、知名度の高い大企業とは異なり、中小企業や個人でイベントを成功させるには、ある程度の実績が必要になります。イベントへの集客ができなければ、話にならないからです。

一方で、自らイベントに参加する人は、商品やサービスへの関心が高いため、アポは取りやすいといえます。すでに集客力を持っている場合は、有効な方法です。

以上の5つが、テレアポを除く代表的なアポ取得方法です。私の会社では、すべてを実践して検証した結果、「テレアポ」を最も効率の良い方法だと確信し、テレアポをメインにアポ取りを行っています。

もちろんテレアポ以外の方法も、それぞれの長所があるので併用していますが、最後のアポ取りは必ず電話で行います。以下にそのメリットをまとめておきます。

・短時間で多くの人にアタックできる
・会話の主導権を握れる
・欲しい情報をヒヤリングできる
・信頼関係を築きやすい
・契約が取れる相手かどうかを判別しやすい
・断り文句に対して応酬話法が使える
・アポのキャンセル率が低め

まとめると、ファーストコンタクトに電話以外を使うのはいいかもしれません。

でも、とどめは電話が一番。なぜなら、相手、日時、場所、趣旨を確定させやすいのは、電話だからです。

【契約率76.2%】営業・即アポ 6万5026時間の会話分析からわかった!
堀口龍介(ほりぐち・りゅうすけ)
株式会社即決営業代表。セールストーク分析の“鬼”。1976年大阪生まれ。訪問販売の最大手に入社し、その翌年にセールスマン1000人以上のなかで年間個人売上1位の成績を収める。その後、営業会社を渡り歩き、在籍した3つの会社すべてで年間個人売上1位を記録し独立、29歳で営業会社を起業。指導した人数は延べ3万人を超え、年収1000万円以上のトップ営業を多数輩出。「即アポ」メソッドは、2011年から計6万時間以上の通話を録音&分析し、誕生。

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