要旨
- 低金利環境が長期化したことで、住宅ローン残高に占める変動金利型の割合が上昇している。
- 変動金利型の選択は、金利上昇による利払い負担増のリスクを長期的に抱えることにつながる一方で、当面の「利払いコストの低減」と「元本返済の早期化」のメリットを享受することができる。そのため、低金利環境の長期化をメインシナリオに置くのであれば、将来の金利上昇リスクへの備えという意味で合理的ともいえる。
- 簡易的な分析では、仮に短期的に急な金利上昇が生じたとしても、家計に与える影響は民間最終消費支出の1%に満たないものと見られる。
- しかしながら、金利上昇によって繰り上げ返済や固定金利型への借り換えが促進されることによる負担増について考慮する必要がある。
- さらに、住宅ローンの主な借り手である資産形成層に金利上昇の悪影響が集中する点にも留意すべきである。