(本記事は、沖村鋼郎氏の著書『はたらくおうち 賃貸併用住宅──次世代の新しい資産運用のかたち』合同フォレストの中から一部を抜粋・編集しています)
人生の4大支出は住宅、保険、教育、老後。住宅費は生涯支出の4割
家を買う前に、まず、みなさんに考えていただきたいのが、生涯支出の4割をも占める住宅費についてです。今、賃貸住宅に暮らしているとしたら、その家賃、高いと思いませんか?
これまで人生の3大支出といわれてきたのが、住宅、保険、教育にかかるお金でした。
そこに老後資金が加わり、昨今では人生には4大支出が必要だといわれるようになりました。
最近では、金融庁が発表した報告書で、定年退職後に必要とされる金融資産の推計が示されており、夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯が年金に頼って暮らす場合、約2000万円が不足するとしています。不安に感じた人も多いでしょう。
4大支出のなかでも、生涯支出の約4割を占めるのが住宅費です。公益財団法人不動産流通推進センターが実施している「2019年不動産統計集」によると、東京都の戸建ての平均価格は4551万円、土地の平均価格が4885万円(面積100~200㎡)となっています。土地から購入することを考えると、高額な金額になります。都心に近づけば6000万〜8000万円と高くなり、場所によっては1億円を超えます。
教育資金に目を向けると、一般的に学費だけで1人1000万~2000万円かかるといわれています。これに加えて通学定期代や部活費用、塾や予備校のお金が別にかかります。
具体的にイメージしやすいように、ある家庭の収入と支出の数字を出して、考えてみましょう。
夫婦共に35歳、子どもは3歳とします。夫の月収は35万円。手取りで30万円。妻の収入はパートで8万円。毎月の世帯収入は約38万円です。
支出を見てみましょう。最もお金がかかるのが住宅費です。賃貸で10万円、駐車場代が1万5000円、食費が5万円、日用品などの生活費が1万円、被服費が1万5000円、水道光熱費が2万円、携帯電話代が2人で1万2000円、インターネット代が3000円、車のローンが2万5000円、交通費が6000円、保険料が3万5000円、お小遣いとして、夫4万円、妻3万円、予備費として1万円、貯金2万円。
以上で約36万円の支出です。
支出で削れそうなところはあるでしょうか?お小遣いを削るしかないかもしれません。子どもの教育費が未計上ですが、そのうち、習い事や塾、部活動などにお金がかかるようになります。また、もしも親の介護などで妻が働けなくなったらどうなるでしょうか?そうなると家計はマイナスに陥ってしまいます。
支出で大きく改善できるとしたら、ズバリ、住宅費でしょう。教育や保険、老後にかかる費用は、なかなかコントロールできません。もし、住宅費が2万円ぐらいになったとしたら、どうでしょうか?
ここであげたモデルケースでいうと、駐車場代と家賃を合わせた金額が11万5000円。それが毎月2万円ですむとなると、9万5000円も浮くことになります。
毎月9万5000円分浮いたら、貯金を増やしたり、夫婦それぞれの趣味に使ったり、家族旅行に使ったりできるかもしれません。
賃貸併用住宅ならば、それができるのです。理由は家賃収入があるからです。この方法を選択すると、きっとあなたの人生は、あなたの家族の人生は、大きく変わるはずです。
0円ローンで、マイホームが持てる賃貸併用住宅とは?
家は、賃貸よりも購入したほうがいいというのが、私の持論です。それもただの家ではなく、賃貸併用住宅を購入すべきです。マイホーム購入時に、戸建てであれば土地を資産として手に入れることができますが、ローンの返済は最長で35年も続きます。マンションであれば、建物が劣化するのに合わせて、マンションの価値も目減りし、そのうえ、土地のような資産が手元に残りません。
そこでおすすめなのが賃貸併用住宅です。賃貸併用住宅とは、そのようなマイホームに関する悩みを一気に解決してくれる建物です。賃貸併用住宅の最大のメリットは、家賃収入によって家のローン返済の負担を軽減できる点です。自宅に住みながらにして、賃貸物件が「はたらくおうち」としてお金を稼いでくれます。
この方法を使えば、東京都内に一軒家を建てたいけれど、ローンの負担がネックだという方も、都内に夢のマイホームを建てることが可能なのです。
場合によっては、住宅ローンの返済が0円で、家賃収入だけでローンの返済が可能になる「0円ローンでマイホームが持てる」ことになります。
賃貸併用住宅は、1つの建物内に自宅スペースと賃貸スペースを設計することで、賃貸部分から家賃収入を得ることができる方法です。そして家賃収入から住宅ローン返済を行うことで、実質オーナーの返済負担は0円に近づけられるのです。
注文住宅を建てたり、建売戸建てやマンションを買ったり、賃貸を借りたりするのに比べて、月々の住宅コストの負担が劇的に軽くなります。一般的に、月に15万~20万円程度のコストカットが可能です。
プラン次第では、数万円のプラスになることさえもあります。
一番の魅力は、賃貸併用住宅にすることで、住みたいエリアに夢のマイホームを所有できることでしょう。それだけでもかなりのメリットですが、もう一つの大きなメリットは、将来、大きな資産を得ることができることです。
賃貸部分からの月々の家賃収入でローン返済をしていき、返済が終わったときは、老朽化で建物の価値がたとえゼロになっていたとしても、土地はしっかり自分のものとして残ります。少なくとも、土地の価格分、東京都内では3000万~7000万円程度は、貯金しているのと同様になります。
しかも、首都圏の好立地にある土地付きの一戸建てという、しっかりとした資産です。ローンの返済が終わったら、毎月、一定の家賃収入が入ってきます。それが老後の収入の糧になるかもしれません。
年金がどれだけ受給されるのか、先行きがわからない中、家族と安心できる住まいを作るためにも、マイホームと賃貸住宅が一つになった賃貸併用住宅は頼りになります。
サラリーマンの多くは賃貸併用住宅という選択肢を知らずに家を買っている
これまで私は長く不動産業界に身を置いてきました。独立して不動産会社を営むなかで、多くのサラリーマンに住宅を販売してきました。それと同時に、持ち家を売却したいとの相談を受けることも数多くあります。特に昨今では、マイホームを購入してから、3~5年もしないうちに売りに出すケースが増えています。
住宅ローンを組んでみたものの、月々の返済だけでは足りず、ボーナス払いをしている人もいます。しかし、現実問題としてボーナスがカットされてしまったら、返済の予定が一気に狂います。
ここ最近の傾向としては、働き方改革によって残業代が大幅に減っている方がたくさんいらっしゃいます。
というのも、私たちは住宅購入に際して、みなさんの収入を元に、ローンの審査に出す書類などを準備するため、源泉徴収票や確定申告書を拝見しています。これを見ていると、残業代が減っている人、ボーナスカットされている人、リストラされた人や再就職で大幅に年収がダウンした人が、想像以上に多いのです。
長く勤めていれば年収が上がる年功序列の時代は終わっているのを肌で感じています。
まだ公になっていないかもしれませんが、マイホームの売却の実態を見ていると働き方改革によって、住宅ローン破産者がじわりじわりと増えています。残業が減って残業代が出ない分、収入がダウンして、住宅ローンの返済が厳しくなり、家を手放さざるを得ないケースが増えているのです。家が高値で売れればいいのですが、売れなければ残債をどうすればいいのでしょうか。
そもそもなぜボーナスが減ったり、残業代がなくなったりしたら返せないようなギリギリの住宅ローンを組んでいるのでしょうか?
思うに、不動産会社の口車に乗せられて、「低金利だから」「消費税増税前に駆け込みで買ったほうがお得」だとか、背中を押されて購入してしまったケースが多いように感じます。
私の友人で、任意売却の案件を主に手がけている人がいます。「最近、怖いくらい任意売却の相談が増えている」と言っていました。任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった場合に、不動産会社の仲介により債権者・債務者の調整を行い、不動産を売却することをいいます。
長く不動産業界で働いてきた身として、このままでは、日本の住宅事情は、よくなるどころか悪くなってしまうと危機感を抱いています。住む人が安心して、幸せになれる住み方を提案したい!そのために、私ができることは何なのか、試行錯誤してきました。
そこでマイホームがほしい人に胸を張っておすすめできるのが、賃貸併用住宅だという結論に行き着きました。
賃貸併用住宅と自宅部分と賃貸部分の2つを備えたまったく新しい形のマイホームです。住宅ローンの融資には、購入者や世帯主の年齢が大きく関係しており、早いうちに知識を付けて決断することで、時間を味方につけることができます。
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