(本記事は、沖村鋼郎氏の著書『はたらくおうち 賃貸併用住宅──次世代の新しい資産運用のかたち』合同フォレストの中から一部を抜粋・編集しています)

いくらぐらいローンが組める?融資を受ける場合の条件

ローン
(画像=Elle Aon/Shutterstock.com)

住宅ローンの審査で重視されるのは、借り手の「職業」「勤め先」「勤続年数」「年収」です。「給与所得の中からいくらまで返済できるのか」と「どれだけ安定した勤務形態か」といった点が重点的に見られます。金融機関にしてみれば、現在のような低金利でも、利益を出せているのです。それは借り手が、安定した勤め先に長く勤める傾向が非常に強いということが影響しているためです。

賃貸併用住宅を建てるには、7000万円以上の借入が必要になります。その場合、住宅ローンを利用できるかどうかの審査の一般的な目安は、次の通りです。

●住宅ローンを利用できるかどうかの審査の目安
・勤続年数が3年以上の正社員が望ましい
(条件や金融機関により異なる場合があります。)
・世帯年収700万円以上が望ましい
・団体信用保険に加入できる健康状態であること

融資金額の判断基準には、返済額が収入に占める割合(返済負担率)があります。年収や金融機関にもよりますが、一般的には月収の35%以下が目安です。

では、いったい、いくらぐらい融資を受けられるかというと、一般的なサラリーマンの方であれば、年収の5・5~8・5倍程度です。最も多いのは7・5倍程度です。正社員に限らず、派遣社員や自営業、会社役員といった方でも、借入が可能な場合があります。

「妻が産休・育休中で世帯年収が少ないため、融資を受けるのが難しいのではないか」とご相談をいただくことがあります。退職していなければ、産休・育休前の収入を加味して審査ができることがあります。

逆に復職後に融資の審査を受けると、勤務時間の短縮などで年収がかえって下がってしまい、下がった年収で審査をすることになる可能性があります。これも家を買うときに覚えておきたいポイントです。

無理のない返済額は? 返済比率は月収の35%

住宅ローンでは長期にわたり、何千万という、これまで借りたことがないような大金を金融機関から借りることになります。めいっぱいお金を借りて返済は大丈夫だろうかと、不安に思われるかもしれません。それは当然の心理でしょう。

返済比率は、収入における住宅ローンの返済額の割合です。一般的な金融機関では、年収400万円以上~700万円未満の世帯の場合、住宅ローンの返済比率の目安は、35%としています。

たとえば年収が600万円なら、600万円×35%=210万円。これが年間の返済額の上限となります。

これをさらに12ヵ月で割ると、210万円÷12ヵ月=17万5000円となります。すなわち、これが年収600万円の世帯の毎月の返済額の上限です。

この場合、どのくらいの借入れができるか、計算してみましょう。

たとえば4000万円の物件を購入し、35年で返済するとします。それを1・5%の金利で借り、「元利均等返済」で返済すると、毎月の返済額は12万3000円になります。

先ほど計算した返済限度額17万5000円に収まっています。ざっくりとした計算で年収600万円であれば、4000万円程度が住宅ローンで借りられる目安になるわけです。夫婦共働きの場合は、2人の年収を合算して考えることができます。

以前に自動車ローンや学費ローン、カードローンなどのローンを組んでいた場合、それらのローン残高は、住宅ローンの借入れ限度額から差し引いて計算しなければならなくなるので、注意が必要です。またワンルームマンションなどの投資物件を買う前に、賃貸併用住宅の購入をおすすめします。なぜなら投資用物件も残債とみなされ、太陽光発電も同じく残債とみなされるからです。そのため、不動産投資をしようと考えている人は、賃貸併用住宅などのマイホームを先に購入することをおすすめしています。

最近では、便利なことに、インターネットで融資の一斉査定ができるようになりましたが、これはおすすめしません。

なぜなら、あまりに簡易的な審査にもかかわらず、本来なら融資を受けられる人までもが、ネット審査で除外されることがあるからです。ネット審査を通過できなかった場合、その履歴がデータ上残ってしまい、審査が通りにくくなってしまうというデメリットが生じることもあるのです。

ですから、安易にネットで融資の審査を受けず、対面でご相談されることをおすすめします。

私がお客様にお願いしていることは、審査の段階で明らかにしなければならない項目は、事前にさらけ出していただきたいということです。

ここまでの話で、年収から健康状態、家族のこと、相続のこと、さらには借金の有無なども、何から何まで審査の対象になってくることがおわかりいただけたでしょう。すべてをヒアリングしたうえで、ベストな融資を組むためのお手伝いができると考えています。

家を買う場合には、理想論だけではなく、現実的にいくら借りられるかで、購入できる家がある程度、決まってきてしまいます。

逆にいえば、プライベートな事柄も包み隠さず共有して、そのうえで一緒になってマイホームのことを考えてくれるような不動産会社を見つけていただくことが、融資面でも重要になってくるのです。

固定金利か変動金利か?5年ルールと125%ルールとは?

住宅ローンを組むにあたり、金利について、知っておきたい項目があります。住宅ローンは固定金利と変動金利を選ぶことができます。どちらを選ぶとよいか、判断に悩むところです。

住宅ローンの返済期間は一般的に最長35年と長いですが、現在は歴史的な超低金利です。これから長期的な視点で考えると、これ以上下がることは考えにくく、いつかは金利が上昇する可能性が高いと考えられます。そう考えると、固定金利がよいと考えるかもしれません。

しかし変動金利を選んでも、住宅ローンでは急激に金利が上がらないように守られています。住宅ローンは多くの人が利用しているため、急激な金利上昇に耐えられなくなるケースが予想されるからです。

変動金利における金利の見直しは、半年ごとに行われます。実は、返済額は5年間変わりません。5年たって返済額が見直される際に、その時点でのローン残高や返済残年数、金利で再計算されます。これを「5年ルール」と呼びます。

また、見直しの結果、返済額がアップすることになっても、それまでの月々の返済額の125%が上限となり、これを超える分については先送りとなります。

これを「125%ルール」と呼びます。この「5年ルール」と「125%ルール」があるために、たとえ変動金利を選択して、金利が上昇しても「月々の支払い額が大幅に増える」ということはないのです。

もしも返済額が増加するようなことになるなら、事前に、さらに有利な条件の住宅ローンに借り換えをしたり、繰り上げ返済するといった回避策もとることができます。

覚えておきたいのは、変動金利から固定金利への変更は可能でも、固定金利から変動金利への変更は原則できないことです。

もう一つ、次の言葉も住宅ローンを考えるうえでよく目にすることになるため、覚えておくといいでしょう。それは、元利均等方式と元金均等方式についてです。これは、住宅ローンの返済方法のことです。

元利均等方式は、元金分と利息分を合わせた返済額が、毎回一定額になる返済方法です。毎月の返済額が変わらないので返済計画が立てやすく、多くの金融機関で使われています。デメリットは、利息が元利均等より多くなることです。

もう一つの元金均等方式は、元金分は毎回一定で、元利分だけが回を追うごとに減っていく返済方法です。最初のほうの返済額が多くなり、これがデメリットといえます。しかし、支払う利息の合計は、元利均等返済より少なくなる点がメリットです。

はたらくおうち 賃貸併用住宅──次世代の新しい資産運用のかたち
沖村鋼郎(おきむら・てつお)
賜典株式会社代表取締役。1969年、千葉県柏市生まれ。1995年に宅地建物取引士資格取得、不動産業に従事。2005年に賜典株式会社(不動産業)を設立、代表取締役就任。25年に及ぶ不動産売買を通して、幸せになった人が多い一方、残念ながら不幸になった人たちも一定数いる現実を直視。売買契約を結んだら終わりではなく、その先も顧客の幸せをサポートしたい、不動産購入で不幸にならないシステムを確立したいと考え、2013年より賃貸併用住宅「はたらくおうち」の販売を開始。以来「住宅費が激減したことでライフスタイルも劇的に変化した!」と多くの顧客から高く評価されている。現在、賃貸併用住宅においては、業界トップクラスの施工数を誇る。

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