(本記事は、沖村鋼郎氏の著書『はたらくおうち 賃貸併用住宅──次世代の新しい資産運用のかたち』合同フォレストの中から一部を抜粋・編集しています)

賃貸併用住宅に向いている土地の判別ポイント

土地
(画像=Brian A Jackson/Shutterstock.com)

・その土地に住宅を建てられるかどうか?(用途地域の確認)
・建てるとしたら、どれくらいの面積・容積の建物になり、それを何部屋に区切ることができるのか?
・土地の値段は相場と比べて高いのか安いのか?
・そのエリアの賃料相場はどうか?
・その結果、収益性はどれくらいになるのか?

このような項目について調べたり計算したり、的確に分析する必要があります。

望むような賃貸併用住宅を建設できるかどうかの判断には土地の広さ、道路付、用途地域、その他建築に関する専門的な知識と豊富な経験が求められます。

一般の不動産会社の営業スタッフでは土地の紹介をすることはできても、その土地にどのような賃貸併用住宅が建てられるかの提案まではほとんどできないでしょう。

建築のプロである建築士であっても、賃貸併用住宅を扱った経験がある人は少ないので、その土地にどのような賃貸併用住宅を建てられるのかはなかなか判別できないのです。当社のスタッフであれば、これらに関して熟知していますので、土地の情報を見ればすぐに、どのような賃貸併用住宅を建てられるかをご提案できます。

ここで注意したいのが、人気のある土地はすぐに売れてしまうため、良さそうな土地が出てきたら、できるだけ早く判断して契約することです。その土地を購入すべきかどうかを判断するには、設計士が実際に図面を作成し、建築の見積もりを取得しなければ、総額でいくら必要になるのか判断できません。

土地を見つけてから、数日のうちに必要な情報を集め、建物の図面と見積もりを作成するには、それぞれの分野に特化した知識をもちつつ、賃貸併用住宅にも詳しいチームが必要になってくるのです。

賃貸併用住宅に精通した会社に依頼すべきであると強調するのは、こうした理由があるからです。

格安の土地とこんな不動産会社には要注意!

土地を探すなかで、格安の土地に興味をもたれる方が少なくありません。もちろん、安さは魅力でしょうが、実は、安い土地ほど注意が必要です。なぜなら、そもそも格安の土地は、業者が購入して、一般的な価格で市場に売りに出るため、一般の人が見ているところで売りに出るようなことは、基本的にないからです。それでも、安い土地が売りに出ている場合、近隣トラブルか越境の問題か、事故物件か、業者さえも敬遠するような理由があるからです。

正直にいいますと、そういう土地を購入すると、あとあと大変です。

たとえば、隣人トラブルがあって客付しにくい場合、せっかく賃貸併用住宅を建てたとしても入居者がすぐに退出してしまい、賃貸経営がままなりません。

ほかにも、次のような場合、相場よりも安く売りに出ている傾向にあります。

相場より安い土地の問題点

・崖のそばに位置している
・昔、沼地や河川敷だったところを造成した
・土地の形が非常に悪い
・周辺環境が悪い
・事故物件である

こうした条件は物件資料に記載されている場合もありますが、資料を見ただけではなかなか実態がわからない場合もあります。

気になる土地には、実際に足を運んで、自分の目で確かめることを習慣にしましょう。

土地を探すうえで、不動産会社についても覚えておきたいことがあります。昨今では、不動産会社のなかでも不正を行う業者が少なくありません。次のような会社には注意が必要です。

たとえば、物件を探すにあたり、さまざまな名目をつけて登録料の請求などをする不動産会社は要注意です。

不動産売買仲介で不動産業者が請求できるものは、成約時の仲介手数料のみです。にもかかわらず、仲介手数料とは別に登録料を請求する不動産業者があります。これは宅建業法違反です。

このような不動産会社に多いこととして、金融機関へ行く際に、お客様だけで行くように促すことがあります。通常、不動産会社は金融機関に対し、お客様の代理となって、お客様の情報や売買の必要書類をやり取りし、融資の手続きを進めることができます。

ところがその不動産業者が、過去に虚偽の申請をしたり、トラブルを起こしていたりした場合は、金融機関がその不動産会社を「取扱い不可」としているのです。実はここ数年のうちに、不動産投資ブームの裏で虚偽の申請をする業者が増え、業界でも問題視されています。

不動産の売買契約を進めるには、売買契約書や重要事項説明書など、多くの書類が必要となり、担当している不動産業者は当然それらに署名、捺印をします。金融機関がその書類を確認したとき、そこに取扱い不可の業者名があれば、絶対に融資をしてくれません。そのため、そのような不動産業者は金融機関へ行く際にお客様ご自身で融資の手続きをするように促してくるのです。

ほかに、駅から距離が遠い物件を紹介する不動産会社も問題です。賃貸併用住宅は賃貸部分が埋まりやすいことが重要ですから、駅から遠い物件は当然、賃貸併用住宅には向きません。それにもかかわらず、駅から遠い物件を強引に勧めてくる不動産会社があるのです。そのような業者は賃料について現実的でない高い家賃を設定して利回りをよく見せるような不正もします。

「空室保証で安心」の口説き文句には注意

「空室保証で安心」を口説き文句にする不動産業者は、さらに悪質です。空室保証をうたっていても実際には賃料の見直しがあるため、後から通常より安い賃料にされることもあります。

空室保証を一方的に解約し、後は知らないという態度を取る業者もいます。

また、住宅ローンを使うにもかかわらず、オーナーが実際には住まないプランを勧めてくる不動産業者も要注意です。

住宅ローンを使うのはオーナーがその物件に実際に住むことが条件になりますので、これは融資のルール違反となります。昨今、このようなことをする不動産業者が増えたため、金融機関も引渡し後に、オーナーが実際に住んでいるのか確認に来ます。

その際にもし理由もないままオーナーが住んでいない場合は、ローンの一括返済を求められる可能性があります。住宅ローンを使う前提で話を進めているにもかかわらず、オーナーも住む賃貸併用住宅ではなく、完全な投資物件としての話をする不動産会社は要注意です。このような悪質な不動産会社に気をつけましょう。

土地選びのポイントと建物にかかる規制

賃貸併用住宅の土地選びではずせないチェックポイントとして、見極めたいのが次にあげる4点です。

(1)自宅にほしい広さの2倍以上の建物が建てられる土地か?

まずは自宅部分にほしい広さを決めます。その倍の広さが賃貸併用住宅には必要と考えます。

(2)自分たち家族が生活するにあたり、良い場所であるか?

マイホームとして長く住むことになるため、当然ながら家族にとって良い場所である必要があります。駅からの距離や、その駅の路線の利便性、買い物をするのに不便ではないか、金融機関や役所までの距離や教育環境、騒音などを確認しましょう。

(3)近隣のアパートの空室率が高くないか?

賃貸部分の入居者が埋まるかどうかを調べるために、近隣の賃貸物件の空室率も調べましょう。一般の人が調べるには難しいものがあるため、当社のような専門会社にリサーチを依頼する方法がおすすめです。

(4)どんな賃貸ニーズがあるのか?

単身者向けの賃貸ニーズがあるのかどうか?ワンルームが足りないのか、余っている のか?1LDKやファミリー向けの賃貸は足りないのか、余っているのか?

はたらくおうち 賃貸併用住宅──次世代の新しい資産運用のかたち
沖村鋼郎(おきむら・てつお)
賜典株式会社代表取締役。1969年、千葉県柏市生まれ。1995年に宅地建物取引士資格取得、不動産業に従事。2005年に賜典株式会社(不動産業)を設立、代表取締役就任。25年に及ぶ不動産売買を通して、幸せになった人が多い一方、残念ながら不幸になった人たちも一定数いる現実を直視。売買契約を結んだら終わりではなく、その先も顧客の幸せをサポートしたい、不動産購入で不幸にならないシステムを確立したいと考え、2013年より賃貸併用住宅「はたらくおうち」の販売を開始。以来「住宅費が激減したことでライフスタイルも劇的に変化した!」と多くの顧客から高く評価されている。現在、賃貸併用住宅においては、業界トップクラスの施工数を誇る。

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