一斉休校で給食代替、市場底上げも

冷凍食品
(画像=PIXTA ※画像はイメージです)

一斉休校や相次ぐイベントの中止などを背景に、「内食」の需要が拡大している。特にニーズが強い冷凍食品は、総合スーパーのイトーヨーカドーで売上が一時前年の5倍に急増するなど人気を強めている。味のレベルの高さが改めて認識されることで、市場そのものの底上げにつながる可能性もある。関連銘柄をマークしたい。

セブン&アイ・ホールディングス(=7&iHD、3382)傘下のイトーヨーカドーでは、2月最終週(3月1日までの1週間)に冷凍食品の売上が前年同時期の5倍になった。「全国の小中高での休校に備え、給食の代わりとなる食材を買う人が増えた」(7&iHDの広報センター)ことが要因。その後やや落ち着いたもようだが、あるネットスーパーでは依然として注文件数が高水準で推移している。

文化施設の休業やコンサートなどのイベントの中止、スポーツの無観客試合といった新型コロナウイルスの感染拡大防止策も相まって、消費者が外出を控える傾向にある。買いだめの動きもみられ、便利で日持ちのする冷凍食品が脚光を浴びた格好だ。

日本粉や新田ゼラチン有望

冷凍食品大手で、自社ブランドのほかにスーパーなどのOEM(相手先ブランドによる生産)も幅広く手掛けるテーブルマークを擁するJT(2914)は、「足元で各社からの生産の注文が増えている」(広報担当者)。生産体制や在庫に問題はなく、「欠品リスクも認められない」(同)。冷凍食品は中国からの輸入も多いが、別のメーカーも供給体制に不安はないとしている。

冷凍食品の中でも「冷凍パスタが売れ筋」(前出のネットスーパー)。日清食品ホールディングス(2897)や日清製粉グループ本社(2002)のほか、日本製粉(2001)もこの分野を得意とし、物流面も「不都合は生じていない」(日本粉の広報担当者)。株価は下値を固めつつあり、反発基調を強めることが期待される。ニチレイ(2871)もしっかりした値動きを維持している。

ここもとの相場波乱で割安感を増している新田ゼラチン(4977)も、有力な関連銘柄だ。同社は食感の改善や冷凍焼け防止、保水性向上などを通じて冷凍食品の品質を高めるゼラチンやコラーゲンペプチドを供給する。インバウンド(訪日外国人観光客)の減少は逆風だが、コストダウンにより2月には今3月期の連結営業利益の計画を従来の14億円から15億円(前期比67%増)に引き上げている。

このほか、カネカ(4118)は、食品内部の水分が凍ることで起きる味の低下を防ぐ添加物「不凍素材」を手掛ける。穴株として、冷凍食品の物流に強いC&Fロジホールディングス(9099)にも注目したい。市販の冷凍食品については「今回の局面で取扱量が増えた」(C&FロジHの広報IR部)。業績拡大基調が続く中、ここ3年の安値圏まで調整した株価水準は魅力的だ。(3月6日株式新聞掲載記事)

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