科学的な根拠にもとづく「ヤバい集中力」

集中力,鈴木祐
(画像=THE21オンライン)

限られた時間を濃い密度で過ごし、生産性を上げるには「集中力」が不可欠。サイエンスライターの鈴木祐氏は、これまで10万本以上の科学論文を読破し、600人を超える海外の学者や専門医にインタビューを重ねてきた。その知見をもとに、科学的根拠のある「集中力」を高める方法を体得。現在は膨大な量の原稿を執筆し、ベストセラーを生み出している。仕事中に散漫になる意識をコントロールする方法を教えていただいた。(取材・構成 林 加愛)

注意力維持の限界は平均わずか20分

複雑で込み入った仕事、タイムリミットの迫った仕事など、集中力を発揮しなくてはならない状況は多々あるもの。しかし、そういうときに限って、なぜか注意力散漫に陥ることも多いでしょう。集中力とは、非常に「脆い」ものです。

そもそも集中力は単一の能力ではなく、様々な要素で成り立っています。

まず、「取り掛かるとき」から考えてみましょう。ここでは二つの要素が登場します。

一つは言うまでもなく、やる気です。「モチベーション管理能力」が、気持ちを高める役割を果たします。もう一つは「自己効力感」。できる、と思えるか否かということです。難易度の高そうな仕事に対して気おくれが生じると、最初の一歩が踏み出しづらくなるのです。

取り掛かりに成功したあとは、「注意を維持する力」が推進力となります。ところが残念なことに、成人の注意力持続時間の限界は、平均わずか20分程度であることが、海外の研究で判明しています。

しかもそこへ、様々な刺激が降ってきます。携帯の着信音はその代表例。肩こりや空腹感などの生理的感覚も、刺激の一種です。

向かっている仕事自体が注意を削ぐことも。読んでいる文章内の一つの単語から連想が始まり、無関係なことを考え始めてしまうなど。これらを迎え撃つには「セルフコントロール能力」も発動しなくてはなりません。

以上、様々な能力を合わせたものを、私たちは「集中力」と呼んでいるのです。