(本記事は、松岡 華子氏の著書「すべての女性を幸せにするネイルサロン 開業・集客の方法」合同フォレストの中から一部を抜粋・編集しています)

美容関係者
(画像=PIXTA)

「自宅以外でネイルができる場所があったら良いなぁ」と開業へ

私が自宅でネイルをするようになって、毎月定期的に来てくださるお客様が10人ぐらいになった頃でしょうか。私のネイルのファンだと言ってくれる方からも「独立してお店を持ったら良いのに」と言われることが増えました。私自身も「家の中が見えてしまう自宅じゃなくて、他の場所があったら良いなぁ」と思い始めていました。

「何が何でも開業したい!」と強く思っていたわけではないのですが、いったん「他の場所が欲しい」と思ったら、行動しないと気がすまない性格なので、気がついたら足は不動産会社に向いていました。

まず飛び込んだのは、近所の不動産会社でした。子どもの保育園の送迎の都合もあるので、なるべく自宅から近い場所で物件を探し始めました。

「ネイルサロンをするための物件を探しています」と伝えたのですが、担当者は「ネイルって何ですか?」とピンと来ていないようでした。しかも、私のような女性が事業用に不動産を借りることが少なかったからでしょうか。「はいはい、良い物件が出たらお知らせします」と、まともに取り合ってもらえませんでした。とりあえず「家賃10万円ぐらい、広さは10坪ぐらいでお願いします」と希望条件を伝えたものの、その後返事はなし。返事を待っている時間すら惜しくて、他の不動産会社を当たってみました。

今度は駅の反対側に行ってみることにしました。すると、そこでは私の話を真剣に聞いてくれたのです。最初の不動産会社とは大違いの対応に驚きながらも、1軒目で諦めなくて良かったと思いました。

「ちょうど良いブティックの居抜き物件が出ますよ」
「本当ですか? ぜひ、見せてほしいです!」

こんなやり取りをして早速紹介された物件。行ってみると、自宅の隣駅で保育園の送り迎えにも便利な立地に加え、広さも10坪。一人でネイルをするならちょうど良いスペースでした。内装もほぼそのまま使えそうです。まだ営業中だったものの、そのブティックをひと目で気に入ってしまいました。こんなにタイミング良く、すぐ気に入った物件が見つかるなんて運命を感じました。

さらに、そのブティックのお向かいには、ウッド調の素敵な雰囲気の喫茶店がありました。CUPという名前のとおり、お客様に合わせてカップを選んで出してくれるオシャレなお店でした。最初に訪れたとき、お店の方が私のために選んでくださったものがピンクのローズ柄のかわいいカップだったことは忘れもしません。

「こんな素敵なお店のお向かいなら大丈夫!」

私は、根拠のない自信とワクワクを抑えることができませんでした。

それからこの喫茶店には、何回も通いました。店内からお向かいのブティックを眺めて「どんな人が来るのかな」と観察していると、その喫茶店の近くに私立の幼稚園や小学校があり、お店はそこに通うママたちの待機場所になっていることが分かりました。

「このママたちがうちのお店に寄ってくれるかもしれない。やっぱりここが良いかも。ここしかない!」

そのときには、もう決意は固まっていました。

ところが、「借りたい!」という気持ちは固まったものの、この物件を借りるお金がありません。

当時、この物件を借りるのに、家賃11万円、保証金6カ月分(=66万円)、仲介手数料11万円、前家賃11万円で、合計99万円が必要でした。不動産物件は、迷っている間にも他の借り手がついてしまうことは多々あります。本当は急いで契約をしたかったのですが、当時の私は貯金もほとんどなく、さすがにその場では決めることができませんでした。

物件の賃貸借契約にかかる費用だけでなく、開業に必要な内装や家具・備品、ネイル材料一式を購入すると、ざっと計算しただけで約200万円は必要でした。もともと開業資金があって店舗での開業を思い立ったわけではないので、もちろんそんな資金はありません。

できない理由を考えるより、できることを探すことが得意な私。何の知識もなかったけれど、「お金を借りるなら銀行!」と考え、近くの銀行に直行。1階の窓口の女性に単刀直入に聞きました。

「どうしたらお金を借りられますか?」

窓口で突然こんな質問をする私に、窓口の女性もおそらくビックリしたと思いますが、丁寧に応対してくれました。

「融資相談は2階へ行ってください」

2階の融資窓口では、担当の若い男性が、私の「ネイルサロン開業計画」を意外にも真剣に聞いてくれたのです。後々聞いて分かったことですが、その男性の彼女が化粧品の美容部員で、ネイルというものに知識と理解があったこともラッキーでした。

私の説明が一通り終わると、

「なるほど、分かりました。では、まず『事業計画書』を提出してください」
「事業計画書? 何ですか、それ?」
「銀行としては、うまくいくかどうか分からない事業に開業資金を貸すことはできません。お金を借りるには、まずは『事業計画書』の提出が必要なんです」
「事業計画書……」

当然、初めて聞く言葉です。

「事業計画書」で、目標を数字に落とし込む

ネイルサロン開業に関しては、家族に相談しました。もともとネイルが好きでアルバイトをしていたので、夫は特に反対することもなく、むしろ賛成してくれました。同時に、私の父は会社を経営していたので、経営者の先輩として相談をしたところ「やってみれば良いじゃないか」と背中を押してくれ、必要な資金を貸しても良いとも言ってくれました。

正直、父にお金を借りれば「事業計画書」を作成する必要はなくなるのですが、サロンを開業した他の人たちはやってきたことです。「まずは自分でやってみたい!」「私にだって、できるはず。なんとかなる!」と思ったので、父から借りるのは、銀行から融資が受けられなかった場合にしようと決めていました。このとき、私は新しいチャレンジにワクワクしていました。

実は、事業計画書を作成するにあたって、書き方を教えてくれそうな人は浮かんでいました。いとこのご主人が美容室を経営していたので、そのいとこに開業経験者として相談に乗ってもらうことをお願いしたのです。そうして、事業計画書を見様見真似で作成しました。

どんな事業計画書であっても、そのときに必ず明記しなくてはいけないのが「月間売上計画」です。そんなに難しいことではなく、簡単に言えば、材料費や家賃などの毎月の経費に自分が希望する収入を加えれば、それが1カ月の売上目標になります。それを営業日数で割れば、1日の売上目標が出ます。例えば「1日あたりの売上は、24000円」だとした場合、「客単価8000円なら1日あたり3人のお客様」に来てもらわなくてはいけません。

事業計画書を作成してみたら、目標が明確になり、私の場合は「これだったらできそう」と自信が持てました。〝資金が必要になって銀行に行ったら、事業計画書が必要なことを知った〟という流れでしたが、事業に取り組むにあたって数字を把握するというのは大切なことです。

もし、当時の私に資金があって事業計画書の存在を知らずに開業していたら、もしかしたら失敗していたかもしれません。失敗はしなくても、多店舗展開が難しいものになっていたかもしれません。

仮定の話なので分かりませんが、一つ言えることは、お金がなかったからこそ事業計画書を作るという経験ができたのであって、今となっては資金がなかったこともラッキーだと思っています。

ですから、開業するにあたり、融資を受ける必要がない人も「月間売上計画」を作成してみると良いと思います。例えば、「この売上目標だと、客単価をもう少し上げなくては」というように、数字としての事実が見えてくることもあるでしょう。

話を戻しますが、貯金がない私は、開業するための資金を調達するために、必死に事業計画書を完成させ、銀行の融資を申し込みました。結果「250万円ぐらいは融資できると思いますよ」と担当者は言ってくれたのです。

融資の目途がついたことで、無事、物件の申込金を支払うことができました。こうして、店舗を出す「場所」と「入居開始日」が決まりました。

すべての女性を幸せにするネイルサロン 開業・集客の方法』
松岡 華子
株式会社ティアラグレイス 代表取締役社長
2004年、当時娘が3歳の時に、ネイルサロン1店舗目を1人でオープンし、スクールも開校。「スクールの卒業生が働けるサロンを」という思いから店舗展開をスタートさせる。現在、ネイル&アイラッシュサロン「ティアラリュクス」18店舗、ネイルスクール4校を経営。従業員数97名(全員女性)に上り、その店舗展開の手腕とスタッフ管理・教育能力が注目されている。独立開業を目指す方の支援セミナーも開催。現在、一般社団法人「神奈川ニュービジネス協議会」の理事を務める。著書に『働く女性が楽しく幸せをつかむ50の法則』(サンライズパブリッシング)がある。

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