(本記事は、松岡 華子氏の著書「すべての女性を幸せにするネイルサロン 開業・集客の方法」合同フォレストの中から一部を抜粋・編集しています)

提案,コミュニケーション
(画像=PIXTA)

「スタッフこそお姫さま」という育て方

千葉県の本八幡の居抜き物件に、自分でドアを白いペンキに塗り替えて作った私の小さなネイルサロン。「お客様をお姫さまにしよう」と開業した小さなお店が、3年後に株式会社ティアラグレイスになり、私は、会社のコンセプト・経営理念を「お客様はお姫さま」から「すべての女性はお姫さま」に変更しました。

〝すべての女性〟とは、お客様だけではなくティアラグレイスの女性スタッフ全員を含んでいます。「お姫さま」とは「幸せな気分になってもらう」ことを意味しています。

人が仕事を「一生懸命やりたい!」「頑張ろう!」と思うのは、どんなときでしょうか?

私はティアラグレイスに関わるすべての人に対して、愛を持って大切に接しています。スタッフを大切にすることで、みんなのモチベーションが上がり、より良い接客につながって、全員が幸せになると考えるからです。

「スタッフを大切にする」というのは、決して「甘やかす」ということではありません。私は、スタッフに責任ある仕事を積極的に任せています。任せたら口出しもしませんが、スタッフに任せた仕事が失敗したとしても、決して怒らず、努力した点を評価しています。

そして、評価されたスタッフが「よーし! 今度は頑張ります」と思えるように、モチベーションを向上させるような接し方を心がけています。その結果、スタッフが成長して、会社も共に成長して、みんなが幸せになる……という考え方です。

この「すべての女性はお姫さま」を経営理念にして、スタッフが成長し、立派な店長が次々と生まれたおかげで、ティアラリュクスはどんどん成長し、多店舗展開をすることができました。

ミスも受け入れ、決して叱らない

私は「怒る」ということはほとんどありません。我慢しているわけではなくて、もともと叱ったり、怒ったりするのは苦手です。娘にも、「どうしてママはそんなに怒らないの?」と言われるぐらいでした。「甘やかす」とも違います。

そもそもミスがあることは当たり前です。だれでも新人の頃はミスをします。ベテランだって、ミスをすることはあります。本人が一番落ち込んでいるのに、それを叱っても、お互いのモチベーションが下がるだけで、良いことは何もありません。そんなときこそ、頑張ったことを褒めるようにしています。

ティアラの店長や店長を統括する事業部代表にも、「私の大事なスタッフを怒らないでね」と話しています。怒ってしまうと、怒ったほうも怒られたほうも気分が落ち込み、サロンの雰囲気は暗くなってしまいます。怒らない、褒めて伸ばす伝え方で、誤っている点は十分に改善されると思いますから。

また、私は「そもそも〝失敗〟して当たり前」という考えを持っています。期待をしていないのではありません。「失敗=ミス」をしたとしても、本人が反省して、その後ミスをしないように気をつけてもらえば、そのミスはそのスタッフにとってはミスではなく、成長のチャンスなのです。

任せて、褒めて、育てる

私は「褒めて育てる」ことを大切にしています。人は誰だって、褒められたら嬉しいものです。とくに女性は褒められるのが好きなので、スタッフが全員女性の株式会社ティアラグレイスでは、「褒めて伸ばす教育」を徹底し、スタッフが自分で考えて活躍ができる場所を提供します。

新しい事業はスタッフに任せるようにしています。「スタッフのことを尊重し、やる気のあるスタッフには全面的に任せたい」という考えです。ですから、私は任せたことについては、その人を信じて、まずはほとんど口出しをしません。

多店舗展開を目指していたからこのような考え方をしたわけではなく、「やる気のあるスタッフに、新店舗の立ち上げを全面的に任せた」というのが、結果的に多店舗展開につながった秘訣だったのかもしれません。

そして、全面的に任せられたスタッフは、期待に応えようと一生懸命頑張ってくれました。「あのとき任せてもらえて、本当に嬉しかった」という声もよく聞きます。実際は私のほうが嬉しいんです。嬉しくて、またいっぱい褒めることになります。すると、それが自信につながり、スタッフはさらに成長してくれます。

もし、何か失敗があっても、私が信じて任せたのですから、責任はすべて私にあります。スタッフに重要な仕事を任せることで、スタッフとの絆も深まります。

株式会社ティアラグレイスのスタッフの成長の秘訣は「任せて、褒めて、育てる」であり、この考え方はティアラグレイスのリーダー達にも伝えています。そうすることで、全スタッフにも受け継がれると考えています。

短所は指摘しないで、長所を見つける

短所のない人はいません。同じように、長所のない人もいません。長所と短所は紙一重。表・裏の関係だと思います。だったら、その人の短所を指摘するより、長所を見つけて長所を伸ばすほうが、みんなハッピーになれると思います。

娘が友達のことを相談してきたときも、同じような考え方を娘に伝えました。

「ママ、○○ちゃんと最近うまくいかないの」
「そうなんだ。じゃあ、○○ちゃんの良いところってどこだと思う?」
「う~ん、誰とでもすぐに友達になれるんだよね」
「それはすごいね。他には?」
「やさしいところ」
「他は?」
「困っている友達がいるとすぐに声をかけたり……。あ、今日もそうだったかも!そっか、良いところいっぱいあった。ママ、ありがとう」

株式会社ティアラグレイスでも同じです。スタッフのことで相談を受けると、これと同じようなやりとりをします。私は、スタッフの短所はモチベーションが下がるので指摘しません。逆に「長所は何だろう?」と常に考えるようにしています。

小さなことでもその店舗の良いところを探して取り上げます。全店会議でも、悪かったことは取り上げません。あえて、良かったことをみんなの前で発表してもらいます。

「お客様アンケートで、○○店のお掃除が行き届いているというお声をいただきました」
「ネットのクチコミで、□□店のスタッフの対応が良かったなどの嬉しい書き込みがありました。紹介します。……」

反省と責任追及ばかりのミーティングではモチベーションは上がらないので、それよりも、良かったことをミーティングで共有したほうが得るものが多いと思います。褒められた人だけが嬉しいだけでなく、全体の雰囲気も良くなり、他の人も「私も頑張ろう」とやる気が湧いてきます。

「誰にでも長所と短所がある。それをみんなで補い合えば良い」という共通認識こそが、チームワークにつながると思います。

すべての女性を幸せにするネイルサロン 開業・集客の方法』
松岡 華子
株式会社ティアラグレイス 代表取締役社長
2004年、当時娘が3歳の時に、ネイルサロン1店舗目を1人でオープンし、スクールも開校。「スクールの卒業生が働けるサロンを」という思いから店舗展開をスタートさせる。現在、ネイル&アイラッシュサロン「ティアラリュクス」18店舗、ネイルスクール4校を経営。従業員数97名(全員女性)に上り、その店舗展開の手腕とスタッフ管理・教育能力が注目されている。独立開業を目指す方の支援セミナーも開催。現在、一般社団法人「神奈川ニュービジネス協議会」の理事を務める。著書に『働く女性が楽しく幸せをつかむ50の法則』(サンライズパブリッシング)がある。

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