全国の公立小学校では4月から英語やプログラミング教育が必修化され、今後は1人当たり1台のパソコン(PC)やタブレットを使える環境も整備される。一方、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一斉休校の要請解除には不透明感が強まる。かつてない状況で迎える新学期。オンライン学習の関連銘柄や大手塾に狙いを定めたい。

英語,オンライン学習
(画像=PIXTA)

10年に1度の学習指導要領の改訂に伴い、小中高の教育課程が大幅に見直された。英語学習の早期導入や、IT知識を養うプログラミング教育の採用はその目玉。小学校3年生から体験型の英語の授業が始まり(従来は5年生から)、中学、高等学校ではコミュニケーション能力の習得に力点を置く。

プログラミングは、ひっ迫するIT人材の拡充へ向けPCを操るタイピングなどの基礎技術や、ソフトの仕組みを必修として学ばせる。海外では教育のIT化を意味する「エドテック」という言葉が浸透しているが、日本も先進国に後れを取らないよう国主導でデジタル分野の担い手を育成する方針だ。

新型コロナへの対応もエドテックを後押しする。一時抑制されていた国内の感染者数の伸びが足元で加速。「長期戦を覚悟する必要がある」(安倍首相)中で、春休み明けから学校を再開する方針が見直される可能性が出てきた。

IT導入で先行する学校では、休校により遅れている授業の補修をタブレットを通じて行っている。本格的なオンライン授業に踏み切るケースもあり、株式市場では関連するサービスを手掛けるアイスタディ(2345・(2))やチエル(3933・JQ)、すららネット(3998・M)などが人気化している。

一方、今後関心を集めそうなのが大手塾だ。各社とも英語、プログラミングなど教育内容の高度化に対応したカリキュラムを組み、外国人を使った実践的な語学教育も導入。新型コロナをめぐっては、オンライン講習の動きが加速している。

本来は新たな入塾生が集まるこの時期に新型コロナの問題が深刻化したことは、業界全体にとって逆風だ。しかし、経営体力の乏しい中小事業者の淘汰(とうた)が進むことで、大手は残存者メリットを享受する可能性がある。

首都圏を地盤に個別指導受験塾「TOMAS」を展開するリソー教育(4714)は、英語が公用語のフィリピンに指導センターを設け、マンツーマンでのオンライン授業で先行する。幼稚園や小学校の受験指導でもトップクラスの実績を持つほか、昨年9月には集団指導塾の「駿台」と資本・業務提携をして事業領域を広げている。

株価は23日に昨年来安値の241円まで調整したが、その後は上昇に転じ、25日移動平均線に迫っている。

通信教育の「進研ゼミ」で知られるベネッセホールディングス(9783)は、通信教育に加えて英語や学習塾も伸びている。大学入学共通テストにおける英語民間検定試験も今後の注目材料だ。早稲田アカデミー(4718)はソニー(6758)の子会社と組み、プログラミング教育に注力する。

「学習動画」や「学習漫画」などの教育アプリに強みを持つのがスプリックス(7030)。自宅でオンラインで授業を受けられるシステムを提供するほか、運営するプログラミング教室は1000超と国内トップの位置付けだ。(3月31日株式新聞掲載記事)

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