◉UBSの特性①顧客の属性毎に専任の担当者を配置
まずはこちらをご覧ください。
UBS がスイス内に配置している、アントレプレナー(経営者)やエグゼクティブ(会社幹部)専用のオフィスの配置図であり、この図にあるようにUBSはアントレプレナー・エグゼクティブの顧客に対しては専任の担当者を設けています。
Source:UBS Marketing brochure
私自身の野村證券での経験からも思うのですが、1人の金融機関の担当者が全ての方に満足をして頂くことは大変難しいと思います。それは、プライベートバンカーやファイナンシャルアドバイザーなど金融機関の担当者には、担当する対象先毎にどうしても得意不得意ができてしまうからです。
例えば、私自身の場合、企業オーナーなど経営者の方を担当することが得意でした。しかし逆に、リタイアメント層や主婦の方々の担当はあまり得意ではありません。しかし担当者の方によっては、リタイアメント層や主婦の方を担当する方が得意な人もいます。また、弁護士や会計士の方などを担当することが得意という人もいます。
これは、担当する顧客の属性毎に、求められる知識や人間性、また顧客自身の課題も異なることが理由だと思います。
その為、会社として多くの顧客が満足するサービスを提供するには、このUBSの経営者専門のチームのように顧客の属性毎に適切に担当者達をグループ分けしておくことは理に適っており、個々の強みを活かせる可能性が高いはずです。
そして、このように、顧客の属性ごとに別々のチームで対応する手法は、UBS とJPモルガンが非常に優れていると言われています。
◉UBSの特性②バランスシートにもとづいたコンサルティング体制
また、UBSの顧客へのコンサルティング体制ですが、顧客の状況やニーズの把握を徹底した上で個人のバランスシートにもとづいて行われます。
まず、こちらのシートをご覧ください。UBSの顧客向けコンサルティングのプロセスとなります。
Source:UBS Marketing brochure
上記の図を簡単に要約しますと
1.クライアントのリスクの許容度を把握する
2.顧客の求めるものやゴールなどを、資産ポートフォリオに基づき把握する
3.現在の資産のリスクの度合い等をレポートする
となります。
UBS はまずこのように、顧客のニーズやゴールに合わせたフィードバックを行うことが特徴的であり、その為のレポーティングシステムも充実しています。
また、顧客への現状分析や提案に際しては、通常は法人向けに使う「貸借対照表(バランスシート)」や「損益計算書」を個人向けにカスタマイズして使用しています。
(※)損益計算書: ある一定期間における会社の活動を数字で集計した結果。売上高などの収益から費用を差し引いて、会社がある一定期間にどれだけの儲け、つまり利益を生み出すことができたのかを表したもの。
貸借対照表: ある時点(決算期末時点)での企業の資産内容を明らかにしたもの。主に財務活動と投資活動の結果が示される。
Source:UBS Marketing brochure
参考資料では右側が四半期毎の損益計算書で、左側がバランスシートになっています。
通常のアプローチでは、現状のフローとストックのバランスを上記のような形で顧客とともに把握していきます。
そして作成したバランスシートに基づき、下記のように課題を資産カテゴリーごとに整理します。その上で、提案に入っていくことになります。
Source:UBS Marketing brochure
◉UBSの特性③専門家チームによる顧客フォロー体制
またUBSの顧客アプローチの特徴として、担当者の個人的な能力だけに頼らず、チームとして顧客に高い価値提供をする事を重視していることも挙げられます。
下記の図は、UBSのチームアプローチを表現したコンセプト図になります。
Source:UBS Marketing brochure
顧客には専任の担当者(Relationship manager)がつきますが、その裏には担当者をフォローする上司(Senior management representative)が控えており、各々のプロダクトのスペシャリスト(Product specialist)のサポートも得られます。
ちなみにUBSの本社にはワインコンサルタントやアートマネジメントの専門家なども複数名在籍しています。他にもフィランソロフィー(慈善事業)の専門家も2~3名は常駐しています。
また事業承継など、様々な分野の専門知識が必要な案件については、弁護士や税理士などの専門家達のチームビルディングにより一層の力を注いでいるようです。