数字やテクニカルな専門用語と、一見とっつきにくい経済も投資を通じて関わりを持つことで、様々な角度から経済トレンドを理解できる契機となる。その糸口となるのは、株式投資だけではない。個別企業の業績や業界のトレンドを通じて経済の潮流を捉える方法以外に、為替を軸にその動きをフォローすることも可能だ。為替を介することで、世の中の動きを把握する習慣にもつながっていくだろう。
為替の中でも「米ドル」に注目すべき理由は ?
経済ニュースで必ずといっても過言ではないくらい、日経平均株価と1ドル=●●円といった為替の数字が伝えられる。海外旅行が直近に控えていなければ、この為替の動きを気にかけないかもしれないが、実はこの動きが経済の流れを反映するバロメーターともなり得る。
近年は中国経済の台頭により、人民元の存在感も高まっているが、為替市場で中心となるのはやはり米ドルで、貿易、金融取引は主に米ドル建てであり、基軸通貨として確立されているため世界的に与える影響力が大きい。
為替相場の動きを知ることのメリットとは ?
為替相場の動きは、プロの投資家にとって重要なだけではなく、実は私たちの日常生活にも大きな影響を及ぼす。例えばアメリカから果物1個が1ドルで輸入されている場合で考えてみよう。
1ドル=100円を基準とすると、1ドル=120円の円安となると、それまでは100円で買えていた品物も、120円支払わないと購入できなくなる。逆に、1ドル=80円の円高となった場合、100円を支払うとお釣りがもらえる計算となる。
食べ物やガソリンなどのエネルギーを輸入に頼る日本にとっては、為替相場の動きは身近な商品価格にも影響を与える。このような視点に立つと、ドル円をはじめとする為替相場に対する関心度も高まり、日常生活にとって重要な情報として注視する習慣がつくのではないだろうか。
ドル円相場はニュースで報じられるような出来事でも動いている
為替相場が身近な生活へも影響を及ぼすことが分かったところで、どのような話題で相場が変化するのだろうか。最近の例でみると、米中貿易摩擦や英国のEU (欧州連合) 離脱などの出来事で為替相場は変動した。貿易摩擦問題においてはアメリカが、中国は自国通貨の元の価値を安くし、輸出の際に有利になるようにしていると批判。米中間の対立が深まれば、貿易が抑制され、世界経済の減速懸念が高まる。その心理が為替相場にも影響を及ぼし、相対的に安全資産とされる円が買われ、円高が進む可能性がある。
また、貿易の落ち込み懸念による為替相場への影響は、英国のEU離脱でもみられた。自由で円滑なEU市場から英国が抜ければ、貿易が低迷し、その影響は英国と欧州諸国だけにとどまらない。世界経済にも悪影響を与えると懸念され、為替相場は大いに荒れた。
2016年に英国の国民投票でEUからの離脱が決定すると、それまで1ドル=106円台だった為替レートは、EUからの離脱が国民投票で過半数を超えたと伝わるや否や、数時間のうちに1ドル=99円台へと急激な円高が進んだ。このように過去の例を振り返ると、ひとたび世界的な危機が発生すれば為替相場は変動し、比較的安全資産とされる円が買われることで円高となる傾向が示されている。
資産の一部を米ドルで保有していれば、1ドル=100円の水準でドルを購入した場合、為替の変動によって1ドル=105円の円安となれば、円に戻した際に利益を得られる。為替相場の変動そのものからの利益に加え、さらにドル・円相場の流れを観察することで、世界経済全体のトレンドもキャッチすることができるだろう。資産に少しでも米ドル預金を保有していれば、必然的にドル円相場にも意識が向くようになる。それをきっかけに日々の動きも気にかけるようになり、資産運用の幅が広がっていくだろう。 (提供:大和ネクスト銀行)
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