要旨
- 東南アジア経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が明らかになり始めており、景気が急激に悪化している。
- 消費者物価上昇率は、今後も原油価格下落に伴うエネルギー価格の低下が続くこと、国内の活動制限措置の緩和後も労働市場の回復の遅れなどコロナ禍による需給面からの下落圧力が続くことから当面停滞すると予想する。
- 金融政策は、活動制限措置の影響が経済指標に色濃く表れ始めたことで、各国中銀は景気動向とこれまでの利下げ効果を見極めつつ、緩和姿勢を続けるだろう。国別に見ると、年末にかけてマレーシアとインドネシア、ベトナムがそれぞれ0.25%の利下げ、フィリピンが0.5%の利下げを実施すると予想する。
- 経済の先行きは、活動制限措置の影響が本格的に現れる4-6月期に成長率が大幅に低下し、経済活動の再開が進む7-9月期から持ち直すだろう。もっとも財輸出と外国人観光客の減少など外需の落ち込みが長期化して景気の回復ペースは緩やかなものになると予想する。タイとマレーシア、フィリピンは20年通年でマイナス成長になる見通し。