マネックス・アクティビスト・ファンド(愛称:日本の未来)が6月25日、新規設定された。同ファンドは、変革期を迎える日本の上場企業を中心に投資対象を選定し、個人投資家を巻き込んだエンゲージメント(対話)を行うことを目指す、国内初そして世界でも類を見ない公募投資信託だ。ファンドの誕生と今後の運用に「今までの経験とネットワークと、情熱の全てを注ぐ」という松本大マネックスグループ代表執行役社長CEOに独占インタビューした。

アクティビスト・ファンド誕生の経緯

ついに個人投資家も“モノ言う株主に”
(写真=末松正義)

――まずは、マネックス・アクティビスト・ファンド設定の経緯をお聞かせください。

松本 個人投資家であるお客さまとマーケットをつなぐことにマネックスグループは創業以来力を注いできた。具体的には、オーダー(注文約定)の執行が早く、安い手数料、マーケット情報を届け、貸株も利用できるなど、マーケットと投資家の距離を縮めるサービスを構築することだ。違う言い方をすると、個人投資家に機関投資家のトレーディングと同等のマーケットアクセスを提供しようということに力を入れて、実際、そのシステムを作り上げてきた。

その成果はある程度、実を結んだが、最近気が付いたのは、個人投資家とマーケットを近づけるためにはシステム面にとどまらず、個人投資家と発行体を近付けていかないといけないということだった。機関投資家は発行体に直接、インタビューや取材、エンゲージメント(対話)を行うことができる。しかし、個人投資家が発行体にエンゲージメントすることは一般的に不可能に近い。

これでいいのか。本来、機関投資家の運用資金は個人が資金提供している。規模の大きいファンドも個人投資家から資金を集めている。また、生命保険会社の運用を扱う機関投資家も、元々は個人の生命保険加入料が反映されている。さらに発行体の株主は、法人およびファンド受益者ともにドリルダウンしていくと個人に行き着く。本来の実質最終株主は突き詰めると個人だ。その個人が機関投資家と違う立場にある。そんな、個人と機関投資家の立場の違いをなくしていこうというのが、マネックス創業以来の思いでありミッションだった。

市場アクセスだけでなく、個人投資家と発行体との距離を縮めていこうという思いから、2019年初頭から「マネックス・アクティビスト・フォーラム」の啓発活動を開始して、2019年5月には実際にセミナーとしての「マネックス・アクティビスト・フォーラム」も開催して1000人近くの投資家の参加につながった。フォーラムでは、世界のアクティビストを招聘して「アクティビストとは」というテーマで講演した。会場では個人投資家の熱気を肌で感じた。閉会の言葉では、「マーケットと個人投資家の皆さんを近付けることを推進してきたが、今後は発行体と個人投資家を近付けることをしっかりやっていきたい」と話すと会場の高い関心を感じることができた。

このフォーラムの熱気から、「個人投資家の声を受け止めるには自分たちマネックスグループで直接ファンドをやるべきではないか」ということに行き着き、昨年9月から人材を集め始め、今年1月には具体的な活動が始まり、今回のファンド募集・設定につながった。

アクティビスト・ファンドチームは精鋭プロフェッショナル集団

――運用を始めファンドチームはすご腕のプロ集団と伺っています。