6月25日に新規設定されたマネックス・アクティビスト・ファンド(愛称:日本の未来)は、

①変革期を迎える日本企業を中心に投資
②日本拠点のプロフェッショナル集団による総合的なエンゲージメント(対話)を実施
③国内初となる個人投資家とのエンゲージメント(対話)

も行うファンド、という3つの特徴を持つ。

6月に行われた当初募集は好スタートを切り、今後は投資家の権利を最大限に活用し適切な財務リターンを実現しつつ、長期的かつ継続的に投資家と企業の双方の利益となるような投資助言とエンゲージメントを如何に展開していくかに関心が向かう。松本大マネックスグループ代表執行役社長CEOにファンドの舵取りと今後をインタビューした。

グループのシステム活用で個人投資家の声を収集

ついに個人投資家も“モノ言う株主に”
(画像=末松正義)

――具体的に個人投資家の声をどうファンドに集め、反映するのか。

松本:個人投資家の声を拾う方法としては、グループ会社であるマネックス証券におけるプラットフォームを活用することが可能だ。マネックス証券にはいろいろな形で個人投資家からアンケートなどで声を現在進行形で蓄積してきた財産がある。

このプラットフォームを活用すれば今後も広く個人投資家から声を拾っていくことが可能だ。また、一般的な声や意見だけでなく、特定の銘柄、特定の企業に対する声も収集することができる。すでにあるこのプラットフォームを進化・活用させていくことを考えている。たとえば、我々が意見を一方通行的に受けるだけでなく、個人間でも意見をフォーラム上でぶつけ合うことができるようなシステムを、今後の様子を見ながら検討、発展させていきたい。さらに、条件が整えば物理的な「マネックス・アクティビスト・フォーラム」も開催したい。

ポートフォリオ構成における「親子上場」の存在

――ポートフォリオのイメージ構成比(案件数ベース)では、「事業計画の見直し」40%、「親子上場等」25%、「株主還元強化・IR強化」20%、「その他」15%が示され、「親子上場」にスポットが当たっているが……。

松本:実際の運用に対しては、特定のテーマに特化せず限定はしたくない。しかし、親子上場に関しては、新型コロナウイルス感染拡大の影響でマーケットが大きく動き、親子上場の株価から計算できる親の価値が低くなるケースも出てきた。

特に、新型コロナの影響でこうした「歪(ひずみ)」が表面化して、理論的にみると株価が超割安になるケースも散見される。もちろん、割安株は割安株のままに放置されるケースもあり、エンゲージメントをしっかりして「歪のトラップ」から抜けるための案をきちんと発行体に提案し、それに賛同してくれるようであれば投資の機会はあると思う。具体的な例として親子上場をピックアップしているが、このテーマのみを追うわけではない。

アクティビストファンドに2つの発展型

――高い注目度の中、設定がスタートしたことを受けて第2弾などシリーズ化はあるか。

松本:アクティビストファンドは当初募集期間を終え、現在は日々毎日売買ができる。現在のアクティビストファンド自体を大きく育てることを考えていて、追加でファンドの数を増やしていくことは想定していない。しかしスタート時は、個人投資家が主体ながら、日本企業に対して日本のオンショアのマネージャーが表に立ってアクティビズムを実施というのは珍しいためか、日本の企業を育てたいという海外のアセットオーナーやファミリーオフィス、年金などの関心が意外と高かった。

こちらからマーケティングはしていないが、興味があるという話がすでに来ている。そうした海外の機関投資家も買えるような仕組みを作っていく予定だ。また、日本の個人資産家でも資金的な余裕が大きい投資家用の私募などにオーダーメードしての提供を考えている。この2パターンに取り組んでみたい。