(本記事は、堤ゆかり氏の著書『もう内向型は組織で働かなくてもいい 「考えすぎるあなた」を直さず活かす5ステップ』世界文化社の中から一部を抜粋・編集しています)
今の仕事を続けるべき?7つの判断基準
私のInstagramやLINEには、内向型で悩んでいるたくさんの方からメッセージが届きます。なかでも圧倒的に多いのが、仕事に関する悩みです。
「電話や人の声が気になって、仕事に集中できません」
「会議では意見を考えている間に、議論がどんどん進んでしまいます。やる気がないと思われて、よく上司から注意されます」
「周りに比べて仕事のペースが遅く、迷惑をかけてばかりいます。要領よく仕事ができるようになりたいです」
この先も、今の仕事を続けるべきなのか……。本書を手に取った皆さんが、今まさに悩んでいることではないでしょうか。
今後の働き方を探る判断材料として、私は次の「7つの判断基準」をもとにカウンセリングを行っています。次の7つのうち、現在のあなたに当てはまるものはいくつあるでしょうか?
さっそく自己診断してみましょう。
(1)今のお給料がもらえればそれでいい
仕事を変えた場合、今の会社に比べて待遇や条件が悪くなったり年収が下がったりする可能性があります。あなたは仕事環境よりも、お給料を重視しますか?
今のお給料に満足しているのであれば、リスクを負ってまで今の仕事を辞めなくてもいいかもしれません。
(2)やりたいことに挑戦できている
「今の会社だからこそ、自分ひとりではとうていできないような大きなプロジェクトに挑戦できる」など、興味のある仕事にチャレンジできる環境であれば、もろもろの職場のストレスを乗り越えて仕事を楽しめるかもしれません。
会社が予算を出してくれて、上司もフォローしてくれる。そんな環境でやりたいことができる状況は、非常に恵まれているといえます。
(3)一緒に働きたい人がいる、会社のビジョンに共感している
「この人の仕事の進め方や考え方を吸収したい」「会社のビジョンを実現するために自分も役に立ちたい」。そんなふうに、社内に尊敬できる人がいる、会社の事業内容に共感できる、という環境で働けている状況は、あなたにとって大きなプラスになっているはずです。
(4)経験を積むことを目的にしている
「今の会社でこの技術を身につけたい」「この業界の現状を知っておきたい」など、将来の夢を叶えるための経験値を積むことを目的にして仕事をしているケースです。ときには、辛いことや納得できないこともあるかもしれませんが、そういったことも「経験のうち」と割り切り、自身の目標に向かって気持ちを切り替えられることが大事です。
(5)内向型に適した環境が整っている
外からの刺激に敏感な内向型は、職場環境が仕事の進捗・効率に大きな影響を及ぼします。「パーテーションで個々のスペースが区切られている」「デスクとデスクの間隔が広い」「電話対応業務が少ない」「ひとりで進める仕事が多い」など、プライベートな空間が保たれ、じっくり集中できるオフィス環境であれば、会社勤めのストレスは少ないでしょう。
始業時間や終業時間を自由に決められるフレックスタイム制や、会社に出勤せず自宅などでも仕事ができるリモートワークなどの制度も、内向型にとってはうれしいものです。
(6)裁量権があり、ある程度自由に仕事が進められる
外向型に比べ、慎重派でじっくり考えてから行動に移したいタイプが多い内向型は、自身でスケジュールや仕事のやり方をコントロールできる状況のほうが、ストレスなく仕事に取り組めます。「自分が責任者となって仕事の進め方を決められる」「しっかり結果を出せば、仕事の進め方や方法に口出しをされることはない」という環境は、内向型にとって働きやすい職場だといえます。
(7)社内で悩みを解決できる可能性がある
「チームや部署の異動希望が受け入れられやすい」「近々リモートワークが認められる」など、今の会社にいながら仕事の悩みを解決できる可能性はありますか?たとえば、「営業職に配属されたが、いつも商談で緊張してしまい契約がとれない」と悩んでいる場合、わざわざ転職をしなくても事務職に異動することで悩みは解消されるかもしれません。
社内規定を確認したり上司に相談したりするなど、今の会社で改善できる可能性を探ってみましょう。
いかがでしたか?
当てはまるものが多ければ、今の会社での仕事を継続したほうがいいといえます。前向きに仕事に取り組んでください。
反対に「当てはまるものがなかった……」という方は、今こそこれからの働き方を真剣に考える絶好のタイミングです。
組織は外向型のためのもの?
新卒入社した企業を1年強で退職→憧れのウェディング業界に転職→仕事のストレスで適応障害と診断され休職→退職→働きたくないという理由で専業主婦を熱望するも、夫の猛反対により仕方なく金融系企業の営業事務職に→28歳から副業に挑戦→30歳で退職し、フリーランスに→半年後に夫婦で会社設立。
私は新卒入社のころから10年間、ずっと働き方に悩んでいました。「自分の居場所はここじゃない」「自分に合う職場はほかにあるはずだ」と、答えを探し求めていました。
内向型にとって、ひとりの時間は非常に大切なものです。外向型の人は気にならないような音や人の気配にも敏感で、知らず知らずのうちに疲れてしまいます。
外の世界よりも自分の内側に意識が向く傾向があるため、しっかり集中できる環境を好みます。ひとつのことに没頭する研究家や、独特の感性や感覚をもつ芸術家も、内向型に多いといわれています。
協調性がないわけではないのですが、チーム制や団体行動よりも、自分のペースを保てる環境での単独行動のほうが生き生きとしていられるように思えます。
会社組織は団体行動の最たるものです。組織で働く場合、内向型の私たちが集中できるような静かな空間を確保するのは難しく、ひとりの時間も十分にとれません。
子どものころを思い出してみてください。
私たちは外向性を「良し」とする教育を受けて育ってきたと思いませんか?
「友だちをたくさんつくって、みんなで一緒に遊びましょう」 「積極的に手を挙げて発言しましょう」
その価値観は、会社でも引き継がれています。誰とでも分け隔てなく話せるコミュニケーション能力やノリ、素早い判断力や行動力がある人が評価されやすいですよね。
dodaエージェントサービスが約3000社・1万5000件の求人情報をもとに行った調査では、「企業が人材に求める人物像」の第3位が「外向性」という結果が出ています(求人情報・転職サイト『doda』連載「採用担当者のホンネ―中途採用の実態調査」より。ちなみに1位は「積極性」、2位は「柔軟性」です)。
多くの会社が外向型の社員を好み、外向性を良しとする風土が根強いことは明らかです。外向性を求める会社では、内向型が不得意とする要素が評価基準となるケースが多く、「外向的でない自分はダメだ」と劣等感をもってしまうのも、無理はありません。
「内向型は組織に合わない」
あのころ、自分の内向性についてきちんと向き合えていたら、もっと早く自分に合った働き方やワークスタイルを見つけられただろうと思います。
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