「複利」を理解する

ところで、金融商品には「複利」と「単利」があります。

単利とは「元本」にのみ利息が付くというもの。100万円を投資し、利息が10%だとすると、1年に10万円ずつリターンがあるという計算になります。

一方、複利は「元本+利息」に利息がつきます。1年目は単利と同じですが、2年目からは1年目の(元本+利息)に対して利息が掛け算されます。

先ほどと同じ条件だとすると、1年目は100万円の元本が110万円になります。2年目はこの110万円に利息が10%付くので、11万円増えて元本は121万円になります。単利の場合は120万円ですから、1万円ほど増えるのです。

これはわずかな違いのようで、時間をかければかけるほど、大きな違いになります。

30年後は、単利では400万円なのに対し、複利では1600万円。なんと4倍もの差がついているのです。

計算が苦手な方は、「複利電卓」や「Compound計算機」(Compound コンパウンドは英語で複利という意味です)などのワードで携帯アプリを探してみてください。利回り年数などを打ち込めばすぐに算出されますのでオススメです。

運用元の金融機関(銀行や証券会社)が、その金融商品に対して複利運用をしてくれるかどうかを聞いてみるといいでしょう。

私産を日本と海外に分散するのは、デフォルト(日本で発生する確立は非常に低いですが)、インフレ、円安の3つのリスクを回避するためです。

デフォルト(債務不履行)とは国家が累積債務を返済できなくなりことです。直近では、アルゼンチンが6年ぶり9度目のデフォルトを引き起こしています。デフォルトが起こってしまうと世界的信用格付け機関からその国の格下げが行われ、その国の通貨の価値が下落します(通貨安)。そうすると一気にインフレーション(相対的にモノの価格が上昇する)が加速します。

元々、借金が国民一人当たり800万円を超えている日本ですが、このコロナ渦でさらに多くの税金の支出が増えています。日本のデフォルトの可能性は低いと申し上げましたが、今後どうなるかは誰にもわかりません。

私産運用しているプロは格付けがAAA(トリプルエー)の国を選択しています(例えばスイス、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン、シンガポール、カナダなどがあります)。

ただし、外貨預金は日本の銀行ではペイオフ(預金保護制度)の対象外になることも覚えておいていただければと思います。

富裕層などは海外のプライベートバンキングなどのサービスも活用しています。ただ、日本の大手銀行では、日本にいながら海外の口座を開設することができるところもありますので、ぜひ検索してみてください。

鈴木隆史(すずき・たかし)
日本私産運用協会代表理事
明治大学商学部卒業。食品(飲料メーカー)の営業と開発、青果物商社の営業マネージャーを経て、現在はファイナンシャルコンサルティング企業で活躍する。20代後半にビジネスにチャレンジするも失敗。クレジットカード7枚のリボルビング払いまで手を出し、一時は借金返済のためにトリプルワークを経験。自身がお金に関して何も知らなかったので、これから私産について勉強していく方々に分かりやすく伝えたいという想いが強い。子供向けファイナンシャル教育の底上げのためにも、まずは大人から基礎を学ぶ必要があると考えている。日本私産運用協会の理念に共感し、2013年に協会認定講師資格である私産運用プランナーに合格。以降、協会の講師とし公演活動を行う。ファイナンシャルプランナーの有資格者でもある。協会の理念を深く理解し、分かりやすく正確に伝えるその姿勢は、協会を代表する私産運用プランナーとして称賛を得ている。2015年より日本私産運用協会の代表理事に就任。また同年にファイナンシャルカンパニー日本法人の代表に就任。日本私産運用協会( http://j-pama.org/ )(『THE21オンライン』2020年07月03日 公開)

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