ロビンフッド・マーケッツは「収入に関わらず誰もが利用できる金融サービス」を目指し、2013年に設立したスマートフォン証券だ。同社が提供する株取引アプリ「ロビンフッド」は「誰でも、簡単に、手数料無料で、少額から」投資できるのが特徴である。すなわち、口座はスマホで簡単に開設、取引は「ワンクリック」、手数料は無料で、「1株未満」でも売買できる。

ロビンフッドの利用者は2019年末時点で1000万人であったが、新型コロナ危機を背景に2020年上半期だけで300万人増加、2020年4~6月の取引件数は1~3月に比べ2倍に拡大した。ちなみに、ウォール街ではロビンフッドを利用する個人投資家を「ロビンフッダー」と呼んでいるが、その大部分を占めるのがミレニアル世代だ。

今回は米株式市場で存在感を増す「ロビンフッダー」についてリポートしたい。

ロビンフッダーは「巨大IT企業」がお好き?

ロビンフッド,株
(画像=まちゃー / pixta, ZUU online)

ロビンフッダーのお気に入りは「巨大IT企業」だ。ナスダック総合指数が年初来の安値を付けた3月23日のGAFAM(グーグルの親会社アルファベット、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)5社の時価総額は合計で約4兆ドルであったが、6月には約6兆ドルと約50%増加した。この間、ロビンフッダーのGAFAM保有者数は100万人弱から150万人弱へと同じく約50%増えている。中でもアマゾンの保有者は2倍以上に拡大した。

S&P500の時価総額に占めるGAFAMの割合は今年8月末時点で26%で、たった5社で4分の1を占めている。2013年末時点で11.6%だったことを踏まえると、GAFAMの影響力が急速に高まっていることが分かる。

給付金バブルで米株式市場はカジノに変貌!?

ロビンフッダーの急増をもたらした一因として指摘されるのが「給付金バブル」だ。今回の新型コロナ危機を背景とした失業(コロナ失業)では、従来は対象外だったフリーターにも失業手当が給付された。その結果「定職に就かずに親元で暮らしていた多くの若者がまとまった資金を手にすることになった」(アナリスト)と指摘される。