単語帳は知っている単語が7割のものを
では、音声で単語を暗記する方法とは、どのようなものなのか。
「音声を聞いて文字に書き取る『ディクテーション』をするとともに、真似をして自分で発音する『シャドーイング』をするのが、主流の勉強法です」(濱崎氏)
星名氏も、聞こえた通りに発音することの重要性を強調する。
「学生時代、daughter(娘)のスペルを覚えるために『ダウッチャー』と繰り返し口に出している友人がいたのですが、それでは、読めるようにはなるかもしれませんが、聞き取れるようになるうえではマイナスです」(星名氏)
また、単語帳の選び方にもコツがあるという。
「知っている単語が7割くらいを占めるものを選ぶのがいいと思います。知っている単語が多いと、買うのがもったいないと思ってしまいがちなのですが、そのほうが、勉強が続きますし、早くコンプリートできます。すると、自信が生まれます」(濱崎氏)
英語の勉強の中で、単語を覚えるのが一番嫌いだったという星名氏は、単語帳を最初から完璧に覚えていってはいけないと話す。
「1ページずつ完璧に覚えていくと、最後のページを覚えるまでにかなりの時間がかかり、その頃には最初のページの単語を忘れてしまっています。先ほど濱崎先生もおっしゃったように、重要なのは単語と出会う頻度ですから、ある程度覚えたら次のページへと進み、単語帳を何周もして、同じ単語に高頻度で出会うようにしてください」(星名氏)
星名氏は、BGMとして単語の音声を流すこともしているという。一度理解した英語なら、聞き流すだけでも、繰り返すことで記憶が定着するそうだ。
「TOEICで満点を取れたので、今は英検1級の勉強をしているのですが、必要な単語が全然違います。中には、単語帳に書いてある日本語訳の意味がわからなかったり、どこで使うのかわからないものもあったりするんです。けれども、米国の高校生向けのニュース番組『CNN 10』や『CNN English Express』、TEDなどを聞いていると、そんな単語が使われていたりします。試験のための勉強だけをしていると暗記のモチベーションが上がりませんが、ニュースを観て『昨日覚えた単語だ!』と気づいたりする経験をすると、ずいぶん違いますね」(星名氏)
40代、50代になってくると、「暗記はもうダメ」と諦めてしまう人もいるだろうが、その必要はないと濱崎氏。
「60代の普通の会社員でもTOEICで満点近くを取る人はいます。会社員なら、一般的には700点も取れれば十分でしょうから、そのために新たに覚える必要がある単語数は、大学受験の記憶がどれだけ残っているかによりますが、1000ほど。しかも、英検1級と違い、TOEICの場合はビジネスパーソンが日常で使う語彙だけです。『歳を取ったから覚えられない』という思い込みさえなくせば、まったく問題ありません」(濱崎氏)
濱崎潤之輔(大学・企業研修講師)・星名亜紀(英語コーチ)
(『THE21オンライン』2020年07月22日 公開)
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