年収2,000万を超える「新富裕層」に向けて不動産を活用した資産形成の提案を行っているプラン・ドゥ。

同社では、多様な不動産投資手法の中でも「首都圏×中古×一棟RC」の組み合わせを推奨している。この手法を可能にしている背景には、「法定耐用年数」の問題があるという。法定耐用年数の考え方と、今後の見通しについて同社のオーナーコンサルティングチームの中原氏が解説する。

中原 駿
監修者・中原 駿(ナカハラ シュン)
株式会社プラン・ドゥ。オーナーコンサルティングチーム。 一橋大学社会学部卒。2019年新卒でプラン・ドゥに入社以来、オーナー様の資産コンサルティング業務に従事。

【取得資格】
宅地建物取引士,賃貸不動産経営管理士

融資の鍵を握る「法定耐用年数」

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(画像=プラン・ドゥ提供)

法定耐用年数を簡単に説明すると、財務省・国税庁が発表している税法上の耐用年数です。企業会計では、長期間にわたって使用される固定資産の取得にかかった支出を、その資産が使用できる期間(耐用年数)にわたって費用配分する減価償却をすることができます。この減価償却を行う際に用いられるのが耐用年数です。

RC物件の法定耐用年数は現状では47年です。どんな建物も当然使っていれば、劣化していきますが、その度合いは管理の状況などによって様々です。丁寧に管理・メンテナンスすることで、何十年も使うことができる物件もあれば、10年、20年でボロボロになる物件もあります。しかし、税金を徴収する上で、こうした個別性を反映することは困難です。そのため税金を計算する上で必要な耐用年数として国税庁が定めているのが47年というわけです。

不動産投資において、法定耐用年数が重要な理由は、一般的に金融機関の融資条件に大きな影響を及ぼすからです。金融機関や融資を受ける人間の属性にもよるのですが、大原則としては残存年数の範囲内(築30年の物件であれば、47-30で17年)で融資期間を組むということが多いのです。

そのため、不動産投資を検討されている方の中には、「築浅とか築17年までのRCだったら紹介してください」という人も多いのですが、その背景には「残存年数が多く残っているから銀行からの融資が受けやすいだろう」というロジックがあるのです。

法定耐用年数の考え方は今後変化していく可能性が高い

ただ、こうした法定耐用年数の考え方は変化しつつあり、融資基準も変わっていく可能性が高いと我々は考えています。これは推測ですが、融資に法定耐用年数という指標がいまだに存在する理由の一つに、政府が、昭和57年以前に旧耐震基準に基づいて建てられた物件をなくしたいと考えていることがあると思います。47年という法定耐用年数がないと旧耐震基準の物件が残ってしまうため、融資に関してもこの基準にそって判断しているのではないかというわけです。

新耐震基準に基づいて建てられた物件のなかにも、すでに築35年以上のものがありますが、旧耐震基準時の築35年の物件とは比べ物にならないくらいの耐震性・耐久性が担保されています。にもかかわらず、 これまでのように「耐用年数が残り15年なので融資期間も15年まで」というのは時代錯誤的な考え方だといえるでしょう。

実際に、今は当たり前のように使われている「RC造の耐用年数は47年」という基準も歴史を振り返ってみると、過去に何度も改訂されています。

法定耐用年数

また、RCの耐用年数が長いという点については、国土交通省が平成25年に発表した資料の中にも記載があります。法定耐用年数ではRCの耐久力が47年とされていますが、実際はそれ以上あるという知見が多数紹介されているのです。

国交省によるRC造の耐久力についての知見

テーマ分野等 得られた知見 根拠論文名等
鉄筋コンクリート部材の損傷程度の実態調査 実態調査を行った結果、鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上あると認められた。 篠崎徹 毛見虎雄 平賀友晃 中川宗夫・三浦勇雄「約50年を経過した鉄筋コンクリート造の調査」日本 建築学会学術講演梗概集
鉄筋コンクリート造建物の減耗度調査に基づく物理的寿命の推定 実際の建物の減耗度調査のうえ、建物の減耗度と実際の使用年数との関係から、鉄筋コンクリ-ト造建物の物理的寿命を117年と推定。 飯塚裕(1979)「建築の維持管理」鹿島出版会
構造体としての鉄筋コンクリートの効用持続年数 鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造の構造体の耐年数は、鉄筋を被覆するコンクリートの中性化速度から算定し中性化が終わったときをもって効用持続年数が尽きるものと考える。鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として 、一般建物(住宅も含まれる。)の耐用年数は120年、外装仕上により延命し耐用年数は150年。 大蔵省主税局(1951) 「固定資産の耐用年数の算定方式」
鉄筋コンクリート造の住宅・事務所等の平均寿命 固定資産台帳の滅失データを基に、区間残存率推計法を用いて、家屋の平均寿命(残存率が50%となる期 間)を推計した結果(2011年調査)、RC系住宅は68年、RC系事務所は56年。 小松幸夫 (2013)「建物の平均寿命実態調査」
(「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」 国道交通省土地・建設産業局不動産業課 住宅局住宅政策課、平成25年8月)


さらにRCは解体費が以前と比較すると5倍程度高くなっており、非常に高額です。解体における環境問題(粉塵)や、建築業界の人手不足、人口減少による空き家問題などを考慮すると、国としてもできるだけ耐用年数を長くしたいと思っているはずです。そのためには既存の47年という規制を緩和するしかありません。スクラップアンドビルドではなく、既存の物件をいかに長く使うかという視点が大切になってきます。

実際、2016年には建物現状調査(インスペクション)の活用を促すことを義務付けるなど、国としても中古物件の流通を促進するような動きが見られつつあります。このような流れを考えると、「RC物件は47年しか価値がない」とする見方は改めざるを得ないのではないでしょうか。以前は耐震性の問題がありましたが、新耐震基準になってからは基本的に安全な建物だけが建てられています。

現在、木造の耐用年数22年ですが、長期優良化住宅や耐震等級、劣化等級などで22年以上であっても価値が維持される方向に進んでいます。こうした背景をふまえると、将来的には、現在の「法定耐用年数」という指標は融資基準から外れる可能性が高いと我々は考えています。

新富裕層ならばアービトラージが狙える

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(画像=Sergey Nivens / Shutterstock.com)


メガバンクなどでは耐用年数を厳格に確認する傾向がありますが、法定耐用年数とは別に「経済的耐用年数」という考え方を採用する金融機関も出てきています。これは、物件の本来の残存年数を税法と切り離して、不動産鑑定士などが判定するものです。「経済的耐用年数についてのレポートがあれば、融資期間をプラス●年できます」というケースもあります。また、土地と建物の加重平均で融資期間を決める金融機関や融資を受ける人の属性を見た上で、「お金を貸したい」と考える金融機関もあります。

実際に、我々の顧客の中にも、いくつかの地方銀行から耐用年数を大幅に超える融資を受けることができたという方が、たくさんいます。そのため、これまでは「法定耐用年数から見て残り●年しかないので、融資はこれくらいだな。これだとキャッシュが回らないから価格はこれくらいだな」と値段が抑えられていた物件が、基準が見直されて長期融資が受けられるようになった瞬間に、価格が上昇するという可能性も十分にあります。

ルールが変わる瞬間は大きなチャンス

これまでは「法定耐用年数の残存が短くなった物件」は「売る」という考えが主流でしたが、これまで解説してきた背景を踏まえれば、「あえて購入する」という選択肢が有効になってくるのではないでしょうか。しかし現状、そのことに気づいており、 さらにそれを購入できるだけの資産力を持っている人はまだまだ少数派です。

これまでお話ししてきたようにRC物件は、 構造上は100年の耐久性があるといわれていますが、「法定耐用年数上は47年で価値が0円になる」という既存のルールに基けば、「新耐震基準を満たしていて、まだ後50年は使えるマンションの担保評価がまったく出ない」もしくは「極端に短い融資期間しか設定できない」という案件が大量発生することになります。

そんなことが起きれば、日本経済も大きな打撃を受けるため、近い将来、このルールは改定される可能性が高いでしょう。そして、このルールが変わったとき、バブル期に建てられた仕様のいいRCマンションの価格が大きく見直されることになり、それは投資家にとっては大きなチャンスです。

我々の顧客の多くは、自ら起業して資産を築いたり外資系企業でキャリアアップしたりして高収入を得ている新富裕層です。こうした方々は、金融機関にとって「ぜひ、融資をしたい人」といえるでしょう。

国税庁の「民間給与実態統計調査(2018年)」によれば、給与収入1000万円超1500万円以下3.6%、1500万円超2000万円以下0.8%、2000万円超2500万円以下0.3%。2500万円超0.3%という結果となっています。 新富裕層の年間給与を2000万円以上とすれば、日本の給与所得者の1%未満であるため、ライバルが少なく、圧倒的に優位なスタンスで不動産投資を行うことができるのです。

こうした状況に新富裕層だからこそ受けられる有利な条件での資金調達を掛け合わせることで、効率的なレバレッジ効果を得ることができ、労力をかけずに安定収入を手にすることができるのです。

目先の利益ではなく、長期的な資産形成を

これまで説明してきたように、我々の顧客である新富裕層の方々は、属性がよいため銀行の融資を受けやすいという傾向があります。さらに金融機関と良好な関係を築いていくためには、「マネーリテラシーの高さ」も大きなポイントになってきます。

不動産を運営する中では、様々な不測の自体の発生も想定されます。それらに対応する資金を確保するためにも、不動産投資で得たキャッシュの使い方には慎重になるべきです。我々が提案している投資法は「生活資金を稼ぐため」ではなく、あくまで本業で培った高収入を背景とした資産形成なので、毎月得たキャッシュフローは預金口座に入れておくことをお勧めしています。

「不動産投資で利益を生み出して、高級なものを買って贅沢な生活をしたい」と考える人もいるかもしれません。しかし本当に成功している人は、浪費などせず、地道に資産を築いています。そして、細かいテクニックに走るのではなく、長期収支、または収益不動産投資の本質的な部分を理解しています。

また、本業で高い収入を得ている「新富裕層」の多くは、目先の所得税節税や将来不安の解消などが目的に不動産投資を行っていません。あくまで本業の給与所得でより高みを目指しながら、充実した資産形成のために安定した収益物件を長期保有するといったケースがほとんどです。つまり「不動産を買って豊かになろう」と考えている人ではなく、「既に豊かさを享受しているなかで、さらにそれを強固にしていこう」と考えているのです。

そのため「なにがなんでも不動産投資をして、人生を逆転させたい」という人はまずいません。不動産投資は表面利回りだけ見れば割のいい投資商品のように見えますが、修繕費や賃貸募集費、借入返済や税金などを差し引くと決して手残りが潤沢に残るケースばかりではありません。さらにいうなら、多くの入居者の「住まい」「生活の場」を提供するという意味での社会的な責任もあります。

「不動産を使って目先のキャッシュを増やすというより、資産価値のある物件を長期保有して安定収益でローンを返済して、優良な資産形成をしていくー」。このことに本質的価値を見出していくべきでしょう。