年収2,000万を超える「新富裕層」に向けて不動産を活用した資産形成の提案を行っているプラン・ドゥ。

同社では、多様な不動産投資手法の中でも「首都圏×中古×一棟RC」の組み合わせを推奨している。同社が物件を選ぶ際に重視している「資産性」と「収益性」のバランスとは、どのようなものだろうか。同社のオーナーコンサルティングチームの中原氏が解説する。

中原 駿
監修者・中原 駿(ナカハラ シュン)
株式会社プラン・ドゥ。オーナーコンサルティングチーム。 一橋大学社会学部卒。2019年新卒でプラン・ドゥに入社以来、オーナー様の資産コンサルティング業務に従事。

【取得資格】
宅地建物取引士,賃貸不動産経営管理士

投資する物件を検討する上で重要な「資産性」と「収益性」

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(画像=プラン・ドゥ提供)

「不動産投資」と一口に言っても、「区分・戸建て」「アパート・マンション」「地方・都市圏」「築古・新築」などの切り口で分類される様々な手法があります。投資目的によってどの手法が最適なのかは変わってきますし、投資を検討する際の指標も、利回り、キャッシュフロー、キャップレートなど多岐にわたります。

不動産会社のコンサルタントによっても様々な見解がありますが、プラン・ドゥでは投資すべき物件を選ぶ際のポイントとして「資産性」と「収益性」の2つを挙げています。

まずは資産性について考えてみます。不動産は株や債権などの他の投資物とは異なり、土地・建物という「実物」があるという点が最大の特徴であり、面白い点でもあります。そして建物は経年によって価値が減少し、最終的には0とみなされますが、土地がなくなることはありません。

このように考えると、不動産の資産性を考えるときに重要なのは土地の資産性であると言えます。土地の資産性は、大まかに言うと「エリア」と「広さ」によって決定されます。

弊社が扱っている物件の多くは、郊外ではあるものの長期的に賃貸需要のある地域です。そして、一棟マンションを建てられるだけの広さがあります。

具体的には、以下のような「環八×R16」エリアです。

環八――環状八号線の正式名称は東京都道311号。東京を走る幹線道路で大田区羽田空港から、世田谷区、杉並区、練馬区、板橋区を経由して北区赤羽に至る環状の都道

R16――国道16号線。神奈川県横浜市西区を起・終点とし、首都圏を環状に結ぶ一般国道

具体的な地名を挙げると、東京都下の小金井市、武蔵野市、三鷹市、調布市、府中市、西東京市、埼玉県の川口市、戸田市、さいたま市、蕨市、越谷市、千葉県の船橋市、柏市、松戸市、浦安市、市川市、神奈川県の川崎市、横浜市、相模原市などです。

このエリアは東京郊外でありながら都心への通勤も可能なため、底堅い賃貸ニーズがあります。また、こうしたエリアには同様のマンション(競合物件)が建つ可能性が少ないということもポイントです。なぜなら近年の建築費や人件費の高騰から、新築RC造では採算が合いにくくなっているからです。

地主の相続対策向けの木造や軽量鉄骨造の新築アパートは増えても、ある程度の規模を備えたRC造マンションが新築される可能性は低いと考えられます。

「賃貸需要のある場所」に「一定の広さ」の土地があるということは、銀行からみた担保価値が確保されていることを意味します。これは、不動産の「資産性」を考える上では重要なファクターになるでしょう。

銀行の担保価値については、別途詳しく説明します。

ただ、「不動産投資」という観点で見ると、「資産性」だけで考えるとバランスが悪くなってしまいます。仮に都心部の好立地の土地を購入できたとしても、年間のキャッシュフローが赤字続きになってしまうようでは問題があります。そのため、「収益性」にも注目する必要があるのです。

「収益性」を考える上では、売却益を得るキャピタルゲインと家賃収入を得るインカムゲインの2種類を考慮する必要があります。バブル期における「収益性」はキャピタルゲインが主でしたが、現在はそういう時代でありません。むしろ、長く物件を保有して、家賃収入を得ていくことが重要になります。そのため不動産投資における「収益性」を考える上では、賃貸物件の経営、管理が非常に重要になります。

単純に物件価格が安くて表面利回りが高いからと言って、「収益性が高い」とは言えません。例えば、「賃貸需要が少ないので、そもそも入居者を募るのにお金がかかる」「物件の構造に問題があるため、雨漏りや白アリのリスクがあり修繕費がかかる」といったケースも考えられるからです。「収益性」については、こうした要素も加味して考える必要があるでしょう。

資産性を考える上でのポイントは「積算評価」

資産性を考える上で考慮すべきポイントの一つに積算評価があります。一概には言えませんが、銀行が物件の担保価値を判断する際に基準とされることが多い評価方法です。

まず土地の積算評価について見ていきます。土地の積算評価に大きく関係するのは、その土地の接道状況です。

道路には、年に1回更新され相続税の評価基準となる路線価がついています。例えば、東京の青山のような一等地であれば、路線価は1000万を超える場合もあります。一方で、弊社の管理物件のある埼玉県の中浦和や千葉県の行徳の場合は、だいたい15~20万円前後になります。この路線価に土地面積を掛けたものが土地の積算評価になります。イメージが湧きにくいかもしれませんが、おおよそ路線価に基づく積算評価を1.2倍~1.3倍すると実勢価格になると言われています

これは土地の積算評価ですが、建物にも積算評価があり、以下のような計算式で求められます。

再調達価格 × 延床面積 ×(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数=積算評価

再調達価格は、「もう一度同じ構造の建物を建てる場合に一平米当たりいくらかかるか」という数字です。例えば、弊社が扱っている物件で利用されている鉄筋コンクリートは1平米あたり約19万円なので、19万円×延床の平米数、それに法定耐用年数(鉄筋コンクリートの場合は47年)に対して残存年数が何年あるかを掛けた数字が建物の積算評価になります。こうした土地と建物の積算評価の合計が、一般的に銀行が見る担保価値といった表現をされます。

積算評価の特徴の1つは、建物は年数が経てば経つほど価値が減っていくという点です。鉄筋コンクリートの場合は、47年経てば、その価値はほぼゼロになってしまうのです。一方、土地の積算価格は、地価の変動や経済情勢の変化、再開発などによって減少する場合も増加する場合もあります。

賃貸需要の安定性・将来性に優れており、都心に比べて広い土地を使って建てられている郊外のRC物件は、積算評価が建物の分だけ上がりにくく金融機関の評価が低くなります。そのため融資が出にくいために購入できる方が限られ、結果的に郊外にあるバブル期に建てられた、質の高い中古RCマンションの多くは割安で購入することができるのです。

資産性も収益性も長期的視点で判断するべき

不動産投資
(画像=Quality Stock Arts/Shutterstock.com)

資産性と収益性のどちらについても、長期的な視点で考えることが重要です。

そもそも不動産の売買には、一定の期間が必要になります。物件を買うまでにも「売主と合意をする」「銀行から借入をする」「管理の引継ぎをする」といった手続きが必要ですし、借入期間も20年から30年という長期間になります。それだけの準備をして購入するということは、自分が売却する際にも同程度の期間と手間がかかるということを意味します。

入居者の方にとってもオーナーがコロコロ変わるのは好ましいことではありません。オーナーが変わるタイミングで管理会社もかわるということがあるので、そのタイミングで「実はここ壊れていたんです」という部分が出てきて、修繕費がかかるということもあります。

このような事情で、不動産は株式などと比較して短期で売買しづらいため、選ぶときにも長期的視点にたって考える必要があるのです。

また、先程も申し上げた通り、今は不動産を保有して「次の年に売れば利益が出ます」という時代ではありません。長期間、物件を保有して家賃収入を得ていくという手法がメインになってきています。さらに日本は先進国と比較しても低金利の状態が続いています。そのため、低金利で長期の借り入れをして不動産に投資し、インカムゲインを得ていくことが、不動産投資における王道ともいえる手法の一つだと思います。

もちろん、「築古のアパートを買ってきて修繕を行い、利回り高めて短期で売って利益を出す」ということもできるかもしれません。ただ、それは不動産のプロが採るべき手法であって、本業のある方が採るべき戦略ではないと思います。しっかりと本業がある方だからこそ、金融機関から長期で低金利の融資をうけることができ、安定して収益をあげることができるという側面もあります。

資産性と収益性のバランスがよい「中古RC」という選択肢

これまで解説してきた資産性と収益性は、両者のバランスが重要になります。

例えば、非常に資産性が高い青山や銀座といったエリアの物件を持つことを考えてみましょう。こうしたエリアの物件は、確かに資産性は高いものの取得価格も高額になるため、利回り・収益性という観点からみると、どうしても低くなってしまいます。「増えすぎた手持ちのキャッシュを減らしたい」という場合には、こうした物件を選ぶという選択肢もあるかもしれません。

一方で、収益性、いわゆる表面利回りだけを考えるのであれば、地方の中古アパートなどでは、それこそ20%近い利回りの物件もあります。しかし、こうした物件は多くの場合、木造アパートで、いざ買ってみると高額な修繕費がかかるというケースも多くなっています。また、「利回りが20%という段階になるまで価格を下げても売れていない物件」ということでもあるため、購入後の売却も困難であると考えられます。

このように、原則として資産性と収益性は相反する場合が多いので、バランスのとれた「落としどころ」を見つける必要があります。

投資をする以上、収益性は非常に重要です。毎月の家賃収入から金融機関への返済や諸経 費を差し引いた上で利益が残る形を目指すべきでしょう。ただ、「見込みの総収入」だけに注目して物件を選ぶと、「購入後に多額の修繕費用がかかってしまう」「見込んでいた入居者の稼働率を維持できずに返済が滞ってしまう」というというケースも考えられます。最悪の場合、本業に悪影響が及ぶことも想定さるため、こうしたリスクをおかすべきではないでしょう。

また、現在、コロナウイルスが流行しているように、自然災害や異常気象、疫病など想定外の事態が起こることで、勤務先の企業や事業が悪影響を受ける可能性もゼロではありません。そうした場合に、毎月安定的に入ってくる家賃収入があることや、担保評価が高くいざとなれば換金ができる資産があることは、大きな支えになるでしょう。

こうした考えに基づき、弊社では、「新富裕層」の方に向けて、毎月のキャッシュフローを 確保したうえで、長期的に安定した賃貸需要が見込めるエリアで、担保評価が高く換金性 もあるというバランスを重視した投資物件を専門に扱っています。

弊社は、「首都圏×中古×一棟RC」の組み合わせを推奨していますが、中古物件に対して「融資条件が悪い」という点もチャンスとなりえます。築年数の経過した中古物件は、物件の法定耐用年数の残りが少ないことがネックになり、多くの場合、銀行から融資を受けることが困難になるからです。

そのため、中古RC物件に対して、「キャッシュフローが回らない」という結果になることも多いのですが、個人の属性によって有利な条件で融資を受けることができる新富裕層にとっては、資産性と収益性のバランスの取れた物件を割安で購入できるチャンスとも言えるのです。

もちろん、郊外中古RCが唯一の正解だと言えないかもしれませんが、本業に注力しながらら 副業として不動産で資産形成をしたいという方々にとっては、賃貸ニーズのある郊外 で資産性の高い中古RCマンションを運用する手法か「最適」であると考えています。